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説得の難しさ



 俺は今、寮のベットで寝転がっている。

 ふかふかとした感触に包まれ、今にも寝てしまいそうになる。


 この寮の部屋は全て個室であるのは当然で全ての部屋の設備は最高級なものである。


 このベットも当然最高級の品であり、安眠促進の魔法が付与されている。


 他にも入れた物を冷やしておける箱型の魔法道具があったりするなど、とても学院の寮とは思えないような部屋である。



 この寮に住むような人は将来の国を担う人物であり、ほとんど全員が貴族のご子息なので、なるべく快適に過ごして貰えるような部屋を目指した結果がこれなのだろう。


 部屋の温度を自分の望んだ温度に設定できる魔法具は貴族の屋敷でも中々お目にかかれないようなものである。



 このままベットで寝転んでいるとうっかりそのまま眠ってしまいそうなので、俺はベットから降りて、部屋の反対にある机の椅子に座った。


 

 俺は今、頭をフルに回転して考え事をしている。



 他でもない、もちろんこれからに関することだ。



 まず、ルルがニーナに決闘で負けた場合はルルの国外追放は回避できるのかということだ。


 未来ではルルが勝ったことが引き金となり、トライゼンが動き出したのだが、もし、負けていた場合は何もしずにこれから大人しくしていたのか?



 おそらく答えは否であると思う。



 あいつはいずれルルを陥れようと動き出すだろう。


 そうだとするならばルルが決闘で負けるように俺が動いたところで本質的に問題を回避したことにはならない。


 いずれその未来は引き起こされてしまうのではないだろうか。



 そうだとするならば俺はどう動くべきなのだ?



 これを考えているのだが中々方針が決まらない。


 だがとりあえずルルに頼んで決闘では負けるようにお願いしよう。



 負けることは悲劇の本質的な回避にはならないが、先送りにすることはできる。



 時間があれば俺がうてる手も増えるし、力を蓄えることができる。


 

 明日の朝ルルにあって説得してみようと思う。









 今、女子寮の前で待機中だ。


 今俺は猛烈に悩んでいる。


 なんて、ルルを説得しようか。



 あいつは一度決めたら、自分の意見を変えようとはしない。


  

 かわいい見た目とは裏腹に中々の頑固者なのだ。


 そういう所も俺は好きなのだが‥‥。

 こういう時ばかりはその性格が俺を困らせる。


 そしてついにルルがきた。



 「おっはよー!アール君」


 いつも通りのかわいらしい笑顔で俺に抱きつこうとしてくる。

 

 俺はそれをいつも通りに回避する。


 「もうー!今日は人あんま居ないしいいじゃん!」


 お前の目は節穴なのか?


 俺の目には10人ばかりの生徒が近くにいるように見えるんだが?



 「どこがだ!皆こっちを見ているだろうが!」


 そんな感じでいつも通りの会話がはじまって結局俺は説得するのを忘れ教室までついてしまった。





 





  くそぉ。


  完全にルルのペースに持ち込まれてしまった‥‥


  まあ、説得する機会はまだまだあるのだが‥‥‥‥。

  出来ればこういう嫌なことは早いうちに済ましておきたい。



  よし、昼休みの時間に言うぞ!



  

  そして昼休みになると俺とルルとエトリアの3人で食堂に向かう。

  

  そして、それぞれ料理を注文して席についた。


  「なあ、ルル‥‥」


   俺がルルに話を持ちかけようとすると、


  「ねぇ、エトリアさん!」


  「なんですの、ルルさん」


  「私ね、この前‥‥」


   ってな感じで女子トークがはじまってしまった。


   くそっ、なんてタイミングだ。


   まさかルルのやつわざとやってるんじゃないのか!?


   結局昼休みの間ルルとエトリアの女子トークが終わることはなかった。





   午後の授業は全く頭に入らなかった

  

  よしっ、下校こそは、下校の時こそは絶対に言ってやるぞ!!

 




  放課後。

  ルルをむかえに2組にいった。


  すると、教室の前でルルが3人の男に囲まれているのを見た。


  俺はルルを助けようと近づいていく。

  するとルル達の声が聞こえてきた。


  「----だから、私は生徒会のフレイ様とも仲が良いんですよ?いいんですか?私は将来フレイ様の妹になるんですよ?今は平民とは言えそんなことを言っていると将来どうなっても知りませんよ?」


  「チッ。お前ら行くぞ」


  そう言ってルルを取り囲んでいた男達がこっちにきた。


  俺のことを見つけると不機嫌そうな顔で睨み付けてきたが、そのまま通りすぎていった。


  それよりも俺はルルがあんな強気で言い返していたことに驚いていた。



  いつもルルはあんな風に絡まれても何も言わずにただずっと耐えているだけだったのだ。

 一体どうしたと言うのだろうか?


 不思議に思い俺はルルに声をかける


 「ルル、一体どうしたんだ?いつもは何も言い返さないのに‥‥」


 するとルルは俺がいると思っていなかったのか、少しばつの悪そうな顔をした後


 「アル君‥‥。聞いていた?」


 「ああ、途中っていうか、最後のところだけだけどな」


 「そっか‥‥。あのね、皆最初は私の悪口だけしか言わなかったから、私は特に何も思わなかったんだけど、最近はそれが面白くないみたいでアル君の悪口を言ってくるの‥‥。」


 ---でもね


 「今までは必死に我慢していたんだけど。この前ニーナ様に決闘を申しこまれてからね、私決めたの!もう、アル君の悪口を言われるのを黙って聞いているだけは嫌だって、それに、アル君の悪口を他の貴族が言うこと事態本当はまずいことでしょ?なら別に黙って聞いてる必死はないってね!」


 「そ、そうか‥‥。」


 「うん!だからね、ニーナ様との決闘に勝ってニーナ様にもアル君の悪口をもう絶対にこれからは言わせないのっ!」


 そうルルは言い切った。

 これはまずい、かなりまずい‥‥。

 ルルが言っていることは正しい。


 そもそも平民相手とは言え、爵位が上の家の子供を馬鹿にするようなことを言い、それが露見するのはかなりまずいことだ。

  



  だが、ルルが反発すればますます、トライゼンに目をつけられるだろ‥‥。



 



  結局、女子寮の前まで俺はルルに話を切り出すことはできなかった。



  あんな話を聞いた後で言える訳がなかった。



  しかし、このままではいけない、言わないと。


  俺はそう思い別れ際にルルに話を切り出した。



  「ルル、ニーナとの決闘、負けてくれないか?」



  「いやだ」



  ですよねーー。







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