プロローグは終わりを告げる
『刀技』を会得してから1ヶ月近くがたった。
俺の生活といえば相変わらず鍛練ばかりだったな。
変わったことと言えば模擬戦でルルに前ほど一方的にはやられなくなってきた。
ルルが本気を出してるかは俺にはわからないのでなんとも言えないが、確実に成長を実感できている。
俺も『一刀爆閃』はまだ使っていないので、やはり模擬戦では使える攻撃が削られるので本格的な戦闘になった時に俺がちゃんと戦えるのは疑問だな。
学院で行われるクラス対抗戦の戦闘では先生達が決闘専用の闘技場で特殊な魔法を使うことでその問題点を解決している。
闘技場はクラス対抗戦で使う他にも学院に正式に依頼すれば決闘での使用も認められる。
決闘とはいわゆる相手の了承がいる喧嘩みたいなものだと思ってくれればいい。
これは学院内での暴力行為を禁止するかわり気に入らない相手がいるのならばこの決闘で勝って自分が強者だということを証明しなさい。
というコンセプトのもと決闘という仕組みがある。
特に決闘に勝ったからといって相手をどうこうできると言うわけではないが、決闘は学院側に正式に日時を決められて行われる他、他の生徒達も決闘の様子を見学することも可能である。
最近では決闘はあまり行われていないが、もし行われたら全校生徒に近い数がほぼ間違いなく、見に来るであろう。
その前で無様に相手に負けるところを見られるのは誇りをやけに重要視する貴族にとっては最大の屈辱となるのだ。
なので決闘を申し込んでも自分が負けるような相手からの申し込みを受けるわけがない。
なのでこの決闘はあまり行われるのことがないのだ。
そろそろ俺とルルにとって重大な出来事が起こるはずなのだ。
いつもは一人で登校するのだが、
最近は女子寮まで向かいルルを待っている。
しばらくまっていると
綺麗なブロンズと茶色の混ざったような髪をゆらし、クリクリしてかわらいらしい目の中の薄い綺麗な緑色の瞳がこちらを見つめ、ついでにその小さな体とは不釣り合いの巨乳を揺らしながらこちらに近いてくる女の子--ルルの姿が見えた。
「おはよう!ああ~朝からアル君が私を待ってくれるなんて‥‥、最近わたしは幸せだよ~」
そう言って俺に抱きつこうとしてくる。
ここは女子寮の前で俺達以外にも女子生徒の姿が多々あるので、当然抱きつかせたりなんてしない。
正直最近では人目の無いところでは抱きつくくらいなら許容してしまっている‥‥。
未来を見る前は本気で結婚するまでは紳士に~~とか思っていたが、未来を見てからは触れ合えるならできる時に触れあっておいたほうがいいと思いはじめている。
ルルのペースに乱されてきていると言えば否定できないがね。
ルルはとても魅力的な女の子であり、そんな彼女から甘い誘惑を受け続けているのだ。
しかも、その未来を回避しようと動いているのだが、命の危機がいつ訪れるかわからないという状態では生物的な男としての本能が少しずつ強くなってしまっているように感じる。
つまりこれからは命の危機に陥るかもしれないような場合がでてくるかもしれないと言うことだ。
そろそろ彼女の悲劇のはじまりとなるような出来事が起こる頃なので、
俺は最近では彼女と放課後だけではなく、登校の時も一緒にいるようにしている。
あれからマーフィーがちょこちょこ俺たちに絡んだりしてきているが、お兄様の名前を出してからはそこまで強くは絡んでこない。
せいぜいすれ違う時に肩をぶつけてくるくらいだ。
そんなんだったらもうなにもしなくていいんじゃない?マーフィー君。
登校中には特に何もなく教室までたどり着いた。
おそらく『奴』が絡んでくるとしたら放課後の下校中だろう。
授業が終わったらすぐに合流するようにルルにはいってある。
『そんなに私と一緒にいたいのー?もう~しょうがないな~』っと
とっても嬉しそうに了承してくれたよ。
面倒なので訂正はしなかった。
てか、アビリティの制約で細かいことまで説明できないしね。
正直『奴』との接触は避けられないだろう。
だがせめてルルが一人でいるときに接触するのはやめてほしい。
これが最近俺がルルを一人にさせないようにしている理由だ。
案の上昼休みには特に何もなくルルとエトリアと昼食をとって終わった。
そして問題の放課後になった。
俺は急いで2組に向かおうとするのだが-------
「おい!無能ここは俺達が通るんだ。あっち行けよ」
もう、セリフだけで誰だかお分かりなのではないでしょうか。
そうです。皆大好き(笑)マーフィー君です。
ほんとタイミング悪いよこいつ‥‥。
どうやら廊下を通す気はないようだし、こいつと絡むと逆に時間をとられそうなので反対側の階段から一回降りてもう一度2組方向の階段を昇るという選択肢を俺がとろうと振り返り走り出そうとすると、肩を捕まれた。
「おい!待てよ!!なに俺の話を無視しようとしてんだ!」
さっきの明らかに会話のお誘いではないよね!?
「なんですか!今急いでいるんです」
結局マーフィーはしばらくの間俺を解放してはくれなかった。
そしてついに2組の前までたどり着いた時--------
「いいですよ!その決闘お受けします!」
ルルのかわいらしい、しかし一番聞きたくなかった言葉をのせた声が俺の耳に響いた。
俺の目にルルと向かいあう位置に取り巻きをひきつれた『奴』がうつった。
そこにいたのは1組のリーダー
水色の髪を後ろで2つに結び、顔立ちはかわいらしいが我が儘そうな印象を感じさせ、身長はルルより少し小さい。体のわりには胸はツルペタではなく少し膨らみを感じさせる。
彼女はダーナニウス公爵家の長女、ニーナ=ダーナニウス。
この世界は俺が少しばかり動いたくらいじゃ変わらない。
俺という理からはずれた存在が引き起こした世界の歪みはまるでそれを修正し、本来の形に戻そうとするかのように世界が動く。
それを変えるには相等の努力が必要なのだ。
世界にとって重大な出来事ほどそれを変えることは難しい。
ちょっとの妨害なんてまるで無かったかのように起こってしまう。
これがもし物語であったなら俺の今までの行動はプロローグってところか。
------この瞬間プロローグは終わりを迎えた。
これからが本当の悲劇のはじまり。
≪悲劇の序章≫がはじまりを迎える。




