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私は、強くなりたい。  作者: 星野 美織
藤堂ゆまり編
8/8

恐怖

次の日、瑠夏は学校を休んだ。熱を出したそうだ。

「あーあ。標的が休んじゃうなんて、つまんない」

「ズル休みなんじゃなぁい?」

クスクスと恋歌グループが話す。

心優は相変わらず端っこで関係なさそうに本を読んでいる。昨日の帰りとはまるで別人。

「あ……っ」

私は口を開いて声を出そうとしたが、結局閉ざされた。怖いんだ。ターゲットにされる事が。

だけど、瑠夏はそれ以上の恐怖を味わっているはず。

そんなもどかしそうな私を、恋歌は見ていた。

「ねえねえ、ゆーまり」

恐ろしく、可愛らしい声で恋歌が話しかける。

「本音、言ってみなよ」

上目遣いで聞いてくる。

恋歌(ボス)グループ以外の生徒はザワザワとこちらを見るだけ。

「え……」

やばい。目つけられた。

「ほら、はやくはやくぅ」

「……その、……る、瑠夏は、……ず、ズル休みするような、子では……」

「えー?聞こえなーい」

くそ。最後まで人の話を聞けこの野郎。聞こえてるくせに。どれだけ私のメンタルを潰せば気が済むんだ。

「瑠夏は、ズル休みするような子じゃない」

「……そっかぁ」

震える声で、やっと言えた。と思うと、恋歌は驚きの行動に出た。

本当に女子かというほどの力で、私の座っていた椅子を引きずって振り回し、私は転倒した。

そして、私の鞄の中身を全部出して、さらに蹴った。

「うっ……!」

何度も、何度も蹴りを入れてくる。

「瑠夏ちゃんは、こーんなにも痛い思いしても、学校来ると思う〜?」

クスクスと冷たい笑い声が聞こえる。

額から血が出てきた。教科書の角が当たったんだ。

さすがに心優も焦ったようで、立ち上がった。

そして廊下を見て、

「恋歌、先生近付いてきてるよ」

と言った。

「……」

恋歌は無言で私のすぐ近くにあった掃除用具箱を開け、中にあったほうきを倒して私に降りそそいだ。

痛い。

「どうしたの!」

ほうきの倒れた音に気付いた教師が駆け寄る。

「きゃあ。先生、掃除用具箱が勝手に開いちゃって……」

なにもなかったかのように愛花が両手を口に置く。

「ゆまりちゃん、大丈夫?」

恋歌が手を差し伸べる。

別人だ。私は自力で立ち上がる。

「まあ、大変。おでこから血が。先生、私が藤堂さんを保健室にお連れしますわ」

お嬢様口調でご丁寧にお話する。

怖い。こいつと一緒にいるとなにされるか。

私は不安と恐怖しかなかった。この先どうなるのか、誰にもわからなかった。

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