7.満腹亭と初めての・・・
俺たちは冒険者ギルド猫耳受付さんお勧めの満腹亭にやってきた。
冒険者ギルドから満腹亭まで徒歩5分、1階が料理屋、2階が宿屋を営んでいる木造2階建て。宿泊可能部屋数10部屋もないようだ。
入り口に入ってすぐの場所に20代のウエイトレスがいたので、話しかけることにする。
「2名ですけど、席空いてますか?」
「2名様ごあんなーい」
ウエイトレスの後ろをついていくと席に案内される。店内はそれなりに混んでいる。どこを探してもメニュー表がないようだ。
(日本と違ってメニュー表と言うのがないのかな?)
「ハヤト、何探してるの?」
「メニュー表ないのかなって」
「こういう店って多分メニューの数も少ないからないと思うよ。ウエイトレスさんに何食べられるか聞いてみよう」
「そうだね、すいませーん! 今日のメニューは何があります?」
ウエイトレスに聞こえるように少し大きめの声で呼んでみると、すぐにやってきた。
「今日のランチは豚人の内臓ソーセージと黒パン、野菜スープのみだよ。2人前でいいかい? 1人前が銅貨5枚、パン追加は銅貨1枚だ」
(人型の内臓食うのかよ! 気持ち悪いが郷に入っては郷に従えって言うし我慢して食べるしかないのか、無理そうだったら残そう)
「2人前お願いします。パンも2個追加で」
「銅貨12枚だ」
俺はウエイトレスに大銅貨1枚銅貨2枚支払う。
「すぐ持ってくるからちょっと待っててくれよ」
ウエイトレスが食事を取りに行ってくれるようだ。
「ユイは豚人の内臓食べるのには抵抗ないのか?」
「うーん、私も最初は気持ち悪いって思ったけど慣れたかな? 味は豚ソーセージ食べるのと同じだよ。むしろ豚ソーセージよりおいしいかな」
「そっかー、俺も慣れるよう頑張るよ」
「豚だと思って食べればいいよ」
ウエイトレスが2人前+パン2個持ってきてテーブルの上に置く。
「足りないものないね?」
「はい、大丈夫です」
早速実食である。まずは黒パンから味わうと酸っぱくて硬く、ゴリゴリ音がする。パンに思えないので野菜スープに浸してから食べることにした。豚人の内臓ソーセージは日本のソーセージなんかよりずっと美味しい。
(一番食べたくなかった豚人のソーセージが一番美味しいのか、ここの食生活に早く慣れないと厳しいな)
「ユイ、果物何が欲しい?」
「んー、アプルで!」
俺はさっき購入したアプルをユイに差し出した。口直しが必要だろう。俺もアプルを食べることにした。
(青リンゴ味だ、果物にハズレはなさそうだな。果物は大量に仕入れておいてもいいかな、アイテムボックス内時間停止みたいだし)
「今日これからどうする? ハヤト疲れてるならここの宿とって休憩でもいいよ! ギルドの受付さんに聞いたけど、ここの宿がかなりマシな方だって。ここ以上だと高級宿になっちゃうって言ってたよ」
「今日はここの宿が空いてたらここに宿泊しようか。お金どれくらい稼げるかわからないし」
「お父さんからもらった金貨売ればお金はどうとでもなるかな? 高級宿に止まる時は身分証がいるらしいから、今のままだと私が泊まれないんだ」
「そういえば何でギルドカード作らなかったんだ?」
「私のステータス公開されちゃうのはちょっと問題なんだ。私が目立つのは私たちの目的を叶える上で支障が出るから、ハヤトのサポートに徹するつもりなの」
(俺に信仰が集まるようにユイは影に徹してくれるつもりなのか)
「それだと身分証どうするつもりなんだ?」
「後でハヤトのギルドカードを模倣魔法で複製した上で、改竄魔法で私用のギルドカードにしてみるつもり。上手くいかなかったら商業ギルドの方でステータス公開が必要ないギルドカード作れないか調べてみるつもり」
「色々考えてるんだな。とりあえず宿を取って魔法で作れるか試してみようか」
「うん、わかったー」
食事を終え、ウエイトレスに声をかける。
「今日の宿取りたいんですけど、空いてますか?」
「1部屋でいいなら空いてるよ、2人同部屋でかまわないだろ?」
「………ユイ、どうする? 俺はかまわないけど」
(そういえば怒涛の展開で忘れてたけど、ユイと俺恋人同士になったんだよな!? やばい、どうすればいいんだ!)
俺は顔が赤くなるのを感じながらもユイの方を見る。ユイも薄っすらと赤くなっている。
(ユイがかわいすぎて死ぬ!! 俺の心拍数上がりすぎだろう!)
「……私も同じ部屋でいいよ?」
「2人は恋人同士なんだな。初々しい感じが羨ましいねー。2人で大銅貨6枚だ。食事はなし、欲しければ別料金だ」
ウエイトレスがニヤニヤしながら俺たちを見ている。俺はすでにそれどころではない。感情を押し殺しながらウエイトレスに大銅貨6枚支払う。
(今日俺は大人の階段登ってしまうのか?)
「それじゃ部屋に今から案内すればいいか?」
「はい、お願いします」
俺たちはウエイトレスに案内され、2階の部屋に移動する。
「鍵はこれだ。それじゃお楽しみに。あんまり激しくするなよ? 音が響くからな?」
ウエイトレスはからかいながら下に戻っていく。俺たち2人とも意識してしまって顔は真っ赤になっている。童貞と処女の組み合わせなのだから仕方ない。俺はとりあえず部屋にはいって鍵を閉めた。
「ユイ、俺たち付き合ってるってことでいいんだよな?」
「う、うん」
「幼馴染から恋人に関係を進めたい。いいか?」
「う、うん」
ユイは顔を真っ赤にして緊張で体が強張っている。
(俺がリードしてやらないと)
「キス、するな」
「うん……」
ユイと俺は触れ合うだけのキスをした。初めてのキスはアプル味だった。
(うれしい、夢が1つ叶った。泣きそうだ)
俺は感動で泣きそうになりながらキスを2度、3度と繰り返す。ユイもだんだん緊張がほぐれてきたのか体の強張りが徐々になくなっていく。
ユイの大きな目から涙が落ちる。
「ごめん、うれしくて。涙が止まらないかも」
「俺もうれしすぎてその気持ちわかるよ」
徐々にキスを激しくディープにしていく。ユイも受け入れてくれているのか、とろけるようなキスだった。
俺はベッドにユイを押し倒した。
「ユイ、いいかな?」
「うん……優しくしてね?」
「当たり前だろ」
俺はキスをしながらユイの手のひらサイズの胸に触り、弾力のある感触を楽しむ。
「んっ、んっ……」
(やわらかい、これが女の子の…)
押し殺したようなユイの声に我慢が出来ず、俺はユイの衣服を1枚ずつゆっくり脱がせる。その間にもキスをしながらゆっくり自分の服も脱いでいく。
(綺麗な体だ。今日俺はユイと1つになれる)
「ハヤト、恥ずかしいよ…」
ユイは顔に手を当てて真っ赤になっている顔を隠している。そんなことをいわれて我慢できるわけがない。激しくしたい衝動を抑えながら、俺は大事な息子をユイの大切な場所にあてがう。ユイに辛い思いだけはさせたくないのだ。
(濡れてる…、あててるだけでも気持ちいい)
「ユイ、いくよ?」
「うん……」
俺はゆっくりと侵入していく。硬い感触がする、これが膜なのだろう。突き破ろうと力を入れるが一向に進まない。
(あれ? おかしいな。どういうことだ?? 場所が間違ってるとか?)
混乱しながらも何度も繰り返すが、硬い感触の場所から先には進めない。
(これはこれで気持ちいいけど何でだ?)
「ハヤト、ごめん……、私たちレベル差ありすぎて私にダメージ入らないから、これ以上できないみたい」
「え? 俺のレベルが足りないから最後まで出来ないってことか?」
「う、うん……。このままだとハヤト、辛いよね?」
俺はあまりの出来事に呆然とした。もう1つの夢が叶ったと思った瞬間、夢が遠のいた。
「今日は手と口で頑張るから、許してね。初めてだから上手くできなかったらごめんね」
「ありがとう……ユイ。謝らないでくれ。俺がこれから頑張ればいいだけのことだ。無理はしなくていいからな?」
「うん、ハヤトも痛かったら言ってね?」
結局今日はユイに口でして貰って終了した。拙いながらも頑張ってくれたユイには感謝の気持ちでいっぱいだった。
俺は心の中で血涙を流すほどの悔しさに慟哭をしながら、レベルを必死に上げることを誓った。
「ユイ、少し仮眠取らせてもらうな」
「うん、わかった」
気持ちを整理するためにも少し寝ることにした。