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彼女と結婚するために神族を目指す  作者: 鳳ちゃん
1章:強すぎる新人冒険者
5/14

5.広場とギルドカード

 ライラの街の入り口付近はかなり広い広場になっていて、市場が出来ている。柑橘系の果物や焼き物系、馬糞や人の匂い等が混ざって混沌とした匂いがしている。

 俺は鼻を摘みながら周囲を見渡す。大型スーパーの店内程度の混雑具合に買い物客がいる。馬車が移動する際に、馬が歩きながら糞を落とすようだ。


「ユイ、めちゃくちゃ臭いな。我慢できるか?」

「私は色んな世界移動したことあるからね。この位の匂いなら慣れたよ」

「日本が潔癖なほど清潔だって外国から言われるのが、本当の意味で理解できたよ」

消臭魔法(デオドラント)かけてあげようか?」

「頼む。マジメに吐きそう……」


 ユイが消臭魔法(デオドラント)をかけてくれたお陰で、匂いがほとんど感じなくなった。


(魔法とか本当にファンタジー世界って感じだな。ユイも火の玉とか出せるのかな)


「便利な魔法だな。俺も覚えることできるかな?」

「まずは普通の属性魔法覚えてからかな?」

「その魔法は普通の魔法じゃないのか?」

消臭魔法(デオドラント)は私が作った魔法なんだよ! 私もハヤトと同じで初めて異世界に行った時に匂い我慢できなくて作ったの。だから属性魔法よりちょっと難易度が高いんだー」


(魔法って自分で作れるものなのか)


 そういう事なら今は我慢するしかないだろう。すぐに魔法覚えるとか無理そうだし。


「オヤツ代わりに果物でも買わない?」

「うん、そうしようか」


 俺たちは近くにある果物屋に向かう。店員の30代女性の頭を見ると犬耳がついている。俺の体に電流が走った気がした。


「ユイ、あの人犬耳ついてるよ!」

「ハヤト、人に向かって指を刺すのは失礼だよ。犬人族の人じゃないかな。犬耳かわいいよね」

「にゃはは、気にしなくてもいいにゃ。犬人族に会うのは初めてかにゃ?」


(何で犬なのに語尾に「にゃ」がつくんだよー!!)


「はい。初めてなんです。耳触ってもいいですか?」

「いいけどにゃ。その代わり果物いっぱいくれるかにゃ?」

「はい。買うのでお願いします!」


 俺は興奮で震える手で犬耳を触らせてもらった。


(もっふもふやー、もっふもふやでー!)


 俺が幸せそうにとろけるような顔で犬耳を弄っていると、ユイがじとっとした目で見つめてきた。美人に睨まれると怖い。


「いい加減、離したら?」

「はい、すいません。ありがとうございました」

「にゃはは、満足してもらえたようで良かったにゃ。いっぱい果物買ってくれにゃ」

「ハヤト、犬好きだし仕方ないとは思うけど女性にそういうことしたらダメだよ?」

「はい、すいませんでした」


 ユイにはいろんな意味で勝てない。将来尻にしかれそうだ。果物を色々鑑定することにする。



【アプリの実】

 アプリの木に生える果物。甘酸っぱい味がする。

【耐久】8/8

【価値】42


【レンジの実】

 レンジの木に生える果物。少し酸っぱい味がする。

【耐久】6/6

【価値】36


【モモンの実】

 モモンの木に生える果物。とても甘い味がする。

【耐久】5/5

【価値】120


【レモの実】

 レモの木に生える果物。とても酸っぱい味がする。

【耐久】6/6

【価値】50



「どの果物買うかにゃ?」


 4つ鑑定したところで話しかけられた。多少色と形は違うがアプリはリンゴ、レンジはミカン、モモンはモモ、レモはレモンのような果物だ。ユイの方を見るとユイはモモンを見ていた。


「ではアプリ2つとレンジ2つ、モモン4つください」

「はいにゃ、全部で銅貨8枚にゃ」


 俺はズボンの後ろでアイテムボックスを起動し銅貨を取り出し、店員に渡した。


「まいどありにゃ、またきてにゃ」


 店員と別れ、ユイにモモンを2つ渡し、俺もモモンにかぶりつく。残りの果物は邪魔なので、アイテムボックスに一時しまう。


「ありがと! モモンが一番美味しそうに見えたからちょっと食べたかったの」

「ユイはわかりやすいからなー、甘くてこれ美味しいな。地球のモモよりも味が濃い感じがする」

「私のこと良く見てくれてるのはハヤトだけだよ、でもこれ食べると手がベトベトになるね。食べ終わったら魔法で綺麗にしてあげるから手を出して」

「わかった」


 モモンを食べ終わり、ユイの方に手を出した。ユイが呟きながら何かの魔法をかけてくれた瞬間、手のベタベタが消えた。


「今度は何て魔法?」

清潔魔法(クリーニング)だよ! これも私が作ったんだ」

「何でもありだな、ユイの魔法」

「えへへ、すごいでしょ!」


(余裕が出来たら俺も魔法覚えたいな)


「これからどうしようか? お金もあるしまずは宿探しかな?」

「んー、やっぱり異世界に初めて来た時はまず冒険者ギルドじゃない? テンプレ的に」

「テンプレ言うなよ。俺もそう思うけど」

「場所わからないから、とりあえず何か買って店員さんに聞いてみようよ」

「そうだな」


 俺たちは近くにあった何かの肉を焼いている店の店員に話しかける。40代のムキムキした筋肉の虎耳男性店員だ。耳を触りたいとは言えない。


「すいません、冒険者ギルドってこの街にありますか?」

「ああ? あるがる。教えて欲しいなら買っていくがる」


(虎は語尾が「がる」か、普通だな)


「はい、じゃその串焼き2本ください」

「ああ、まいどがる」



【コケッコーの串焼き】

 飛べない鳥コケッコーの串焼き。塩ダレで味付けされている。

【耐久】4/4

【価値】97



 毎度のごとく鑑定するとコケッコーの串焼きと出る。店の脇には血抜きされているコケッコーの死体がある。


(コケッコーってどう見ても鶏だよな。タケルさんが作った世界だから似た物が多いのか?)


「それで冒険者ギルドってどこにあるんですか?」

「ここの広場を抜けてまっすぐ道なりに5分ほど歩けば、右側に冒険者ギルドって看板が見えるよ」

「ありがとうございました」

「ああ」


 俺たちはコケッコーの串焼きを食べながら、冒険者ギルドに向かった。右手に大きな看板がある建物がある。日本語ではないが何故か冒険者ギルドと書いてあるのがわかる。おそらく異世界文字が自動で翻訳してくれているのだろう。


(異世界言語と異世界文字はパッシブスキルか)


 俺たちは冒険者ギルドの中に入っていく。建物はかなり広い木造2階建て、入り口から入って右手には依頼ボードが壁いっぱいにあり、依頼書が張り出されている。左手には少し小さめの酒場が併設されている。暇な時間なのだろうか、あまり冒険者はいないようだ。

 俺たちは入り口からまっすぐ移動し、まずは受付をすることにした。受付には10代後半から20代前半で、かわいいといえるだろう女性が2名いる。


(テンプレならここで絡まれたりするんだろうけど、人も少ないしそれもなさそうで安心だな)


 俺は2人の受付を見比べて猫耳と普通耳の受付だったので、猫耳受付さんのほうへ向かう。


「冒険者登録したいのですが」

「いらっしゃいませですわん、初めての方ですわん?」


(猫耳なのに今度は語尾が「わん」だとー!! タケルさんが設定間違えたとかなのか? 無理やり語尾にわんつけてるようで不自然だろう!)


「はい。冒険者について良くわかってないので説明して頂けると助かります」

「それじゃ簡単に説明するわん。当ギルドは冒険者―――」


 猫耳受付さんの説明を省略して簡単にまとめる。

1.冒険者はランクGからスタート。ランクを上げる場合1つ上位ランクの依頼を10回クリアするか、ギルド上層部以上の推薦が必要

2.ランクはGからSまであり、Sランクはほとんどいない。Sランクでさらに大きな功績を打ち立てると最大SSSまで上がることもあるが、歴史上SSSになった者は1人もいない

3.依頼を失敗した場合、成功報酬の1割の支払い義務が発生する。達成不可能等悪質な依頼があった場合にはその限りではない

4.依頼の成功率はギルドカードに表示される

5.ギルドが知りえる個人情報は基本的に開示されないが、ギルド上層部以上の要請があった場合には開示される

6.緊急依頼が発生した場合、全ての依頼は即時停止され、緊急依頼が優先される

7.緊急依頼は基本的に断ることはできない。断った場合、ギルドランクダウン、罰金、ギルド資格剥奪のいずれかの罰則が発生する

8.冒険者同士の争いにギルドは不介入

9.ギルドカードは本人の魔力で認証される身分証代わりになるが、紛失した場合には速やかにギルドに届けること。届出をせずに不利益が発生したとしてもギルドは関知しない

10.ギルドカードの再発行手続きには大銀貨5枚が必要


「――以上の説明理解できましたかわん?」

「はい、多分」


(説明長いよ!)


「よく理解できない冒険者の人多いから、そちらに張り出されてるわん、わからなかったら見るといいわん」

「はい、わかりました」


 猫耳受付さんの指が指す方を見ると、ギルド規約についてまとめた紙が張ってあった。


「初回登録手数料は銀貨1枚になりますわん。登録しますかわん?」

「はい、お願いします。ユイもするだろ?」

「んー、私は今回パス!」

「なんで?」

「ちょっと理由があってねー」


(一体どうしたんだ)


 ユイは冒険者登録を何故かしたくないようだ。仕方ないので1人ですることにした。


「それではこれに血をたらしてくださいわん。この針でチクっとやってくださいわん。消毒してあるから安心してやってくださいわん」


 猫耳受付さんの言うとおり、針で自分の指先をちょっとだけ刺し、出された紙の上に血を垂らす。紙に文字が浮かび上がってくる。どうやら俺のステータスのようだ。スキルや魔法は表示されていない。


(もしかしてユイはステータスを見られたくないってことか?)


「少しだけまっててくださいわん」


 猫耳受付さんは受け取った俺のステータスが浮き出たカードを持ち、裏に下がった。少しして戻ってくる。


「これがハヤトさんのギルドカードですわん。冒険者登録完了ですわん。引き続きジョブの取得もされますわん?」


 俺のレベルと年齢、ステータス、依頼成功率が表示されたギルドカードを渡された。依頼達成率は0/0になっている。やはりスキルと魔法は表示されていない。

 カードはプラスチックのような物で出来ていて、文字が書かれているのではなく浮き出ているように見える。自動で鑑定が発動してしまったようだ。



【ハヤトのギルドカード】

 古代の遺物を使用して作成されたカード。材質は空気中に存在している魔力を固めた物。使用者のステータスを読み取り自動で更新される。

【耐久】1,924/1,924

【価値】32,298



(古代の遺物……タケルさんが昔作った物かな)


「ジョブってなんですか?」

「ジョブを知らないですわん? 魔法陣の上に乗って適正ジョブを調べてジョブを選択するわん。とりあえずやってみればわかるわん」

「え? なんですか?」


 俺は猫耳受付さんに後ろを押されながら階段を登っていった。

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