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6話

「一虎様、そろそろ起きて来られてはどうですかい?」


と今度は障子の向こうからしわがれた老婆の声が聞こえて目が覚めた、一時間は寝たかな。


「うぅん、うん」


布団から出て障子を開け、廊下に出ると、僕の乳母、つまり世話係である藍婆(あいばあ)が、正座して待ち構えていた。


「おはようございます、藍婆」


「おはようごぜぇます。朝食の用意は出来てますが、お召し上がりになりますかい?」


「うん、食べる」


「さようですかい、では、すぐお持ちしますねぇ」


のそのそと食事を取ってきた頃には、僕は着替えなど身支度を済ませていた。


「今日は何か大事な日なんですかい?」


もりもりと自分が作った食事を食べる一虎を柔らかい目で見ながら老婆が聞いた。


「・・・まぁ、大事っちゃ大事かな。別に僕はどうでもいいんだけど、兄様は朝から大騒ぎしてる。」


「ホッホ、龍一様は賑やかな方ですからねぇ」


「賑やかじゃなくて、うるさいだけだよ。」


「そうとも言えますねぇ、ホッホ」


「・・・今日は、僕らの師匠が決まる日」


「それは、大事なことでごぜぇますねぇ」


「そうかな、僕は師匠なんて必要ないと思うけど。自分で勉強して、修行すればそれでいいよ。」


「ホッホ、昔誰かが、『「学ぶ」ことの基本は「真似る」ことだ。』と言うておりましたが、「真似る」たなると、どうしても手本となるものが必要になってきますよねぇ。またその手本が間違っていたら元も子もねぇです。師を選ぶというのは、その手本を選ぶのと一緒じゃねぇですかい?」


「でも、真似てばっかりじゃ、自分らしさがないよ。そんなの武人じゃなくて、ただものまねが得意な芸人だよ」


「大丈夫でさ。自分らしさとかそういうもんは、後から勝手に滲み出てきますからぁ、と、昔誰かが言うておりましたのでぇ」


「そういうものかなぁ・・・」


「そうですとも、ともかく、良い師に出会えればええですなぁ」



朝食を済ませた一虎は、家を出て、道場へ向かった。道場と言っても木刀しか置いていない広い部屋しかないわけではなく、教室があり、食堂があり、二階、三階と、とにかくいろんな部屋がある、いわば学校である。

ここで子供たちは4才から10才まで、基礎的な教養、刀術を学び、卒業と同時に生徒一人一人に師匠が就く。

つまり今日は一虎のいる学年の卒業日だ。

卒業と言っても、この汗臭い道場とおさらばするわけではない。初等部を卒業した生徒たちは、中高等部へ昇格し、道場に隣接する寮で暮らすことになる。すなわち、おさらばするどころか、より一層くっつく羽目になるのである。


一虎が校門をくぐると、道場に隣接する寮の前に人だかりができていた。どうやらもう卒業生の部屋の割り当てが貼り出されているらしい。


『どれどれ、へぇ、二人部屋なのか。僕の部屋は・・・あった!』


六〇二と書かれた文字の下に天羽 一虎の名前があった。隣には近衛 臙脂と書かれている。


「『臙脂』?何て読むんだろう?」


視線を流すと六二◯の文字の下に天羽 龍一と書かれているのが目に留まった。


「これだけ離れてれば、朝起こしに来ることはないかな」


もっと視線を横にやると次は女子寮の部屋割りが見えた。男子寮と女子寮は建物自体は並立しているが、完璧に隔離状態である。何故か男子寮の窓だけに有刺鉄線の柵が付けられている。


「凛姉ちゃんと夏姫は同じ部屋か・・・」


六四七の文字の下に神楽姉妹の名前があった。


とりあえず一虎は自分の部屋に行くことにした。同室の子にも挨拶しておかなければならない。

まだ騒がしい人混みをかき分け、寮へと入っていく。

この寮は木目が剥き出しの木造建築で、何か出そうなボロ屋にと言っても過言じゃない。入り口から覗いても中は薄暗く、廊下の奥まで見通すことはできない。中に入ると、薄暗いせいか若干残暑の残る外に比べると涼しく感じられ、いよいよ本当に何か出てきそうだ。階段を五階分上がってようやく自室に着く。


「よしっ!こ、こんにちはー・・・」


そう言いながら部屋に入ると、誰もいなかった。


「なんだ、僕の方が早かったのか」


「いや、それはないでござる。何故なら拙者には、誰もいない朝早い時間を見計らってやるべきことがござったからな。」


誰もいないはずなのに、声が聞こえた。子供っぽい声が口調に全然合ってない。


「寝不足かな。卒業式まで時間あるし、寝よ。」


「いや、それはないでござるよ。なぜならこれから生活をともにしようという友の、バラ色の学園生活が今まさに絶望の危機に瀕しているからでござる。」


「やばいほんとになんか聞こえる。寝よ。」


「いや、ちょ、本当に助けてください。」


「なんなのさ!ってか君どこにいるの!?」


「窓でござる。」


よく見ると、窓の有刺鉄線が切り取られ、人が通れるぐらいの穴が開いていた。窓から顔を出すと、向こう側に女子寮が見渡せた。そんなに距離はないのでカーテンさえなければ女子の部屋は丸見えだ。


「下、下でござるよ。」


「下?・・ってなんじゃこりゃ!?」


そこには服が有刺鉄線にひっかかり、頭を下にして宙づりになっている男の子がいた。ひっかけて破れたズボンの穴から、彼の「彼」が顔を出してしまっていた。


「・・・こんにちは。」


「なにこの状況!?っていうかすでに「こんにちは」しちゃってるよ!」


「分かっているでござる。とりあえず、入学早々女子の皆さんに 「こんにちは」 してしまう前に早くコレをお家にかえしてやりたいのでござるが・・・」


「・・・」


さすがに同室の僕までも変態に思われるとやだな。

とりあえず彼の体を引っ張ると、


「イダダ、イダダダダダダッ!!」


ッ!?

こいつ、有刺鉄線がケツに食い込んでやがるッ・・・!


「駄目でござる駄目でござるッ!これでは私のケツが保たないでござるッ!」


「そんなこと言ったって、引っ張り上げるにはこうするしかないよ」


「クッ・・・ケツの粘膜かバラ色の学園生活、ということでござるかッ・・・!」


少し考えて彼は言った、

「天羽一虎殿でござったな、さぁ、一思いにやるでござる。」


「待てよ!お前・・・こんなとこでケツの粘膜やっちまったら・・・この先どうやって・・・う、う◯こするつもりだよッ!」


「いいんでござるよ・・・バラ色の・・・学園生活でござる・・・」


「でもっ!」


「いいつってんだろぁくしろよぉおっ!」


「・・・そうかよ」


「ん!?なにをしているでござる、おい!」


一虎は冷静な顔で彼の「彼」に手を伸ばし、まさぐりはじめた。


そろそろバトル要素が欲しいなと思いつつ筆を滑らすんですが、やはりコメディしか書きあがってきませんねぇ・・・


俺TUEにするか俺YOEにするか、、、


うー

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