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2話

安定の夢オチでいきなり主人公の青年期が始まります。

かと思ったら2話ぐらい後には再び少年期へと・・・

オ◯ニー小説に「時系列は大切に」なんて概念は存在しないのです。


ちなみに、この話は情景描写が序盤多めなので、皆さんの普段なに考えてるかわかったもんじゃない豊かな想像力をちょこっとだけ、多めに働かせて読んでもらえるといいと思います。

「あー、やな夢見た。」


青年は少年時代の記憶の断片の想起を、一言そう吐き捨てた。


今夜は満月だ

庭に通じる襖を両面とも開けっ放し、畳の上に片肘をついて寝そべり、外の様子を眺めていた僕は、開いた襖から差し込む月光に誘われて、庭から一段上がった縁側に腰掛けた。

青白い光が広大な庭の真っ白な砂に映えて、影さえ蒼く見える。その庭の中心にある池に映った満月は、池の傍の小さな松の木が風に揺られるたびに、隠れたり隠れなかったり、また、池にいる魚が突然何かに驚いたように動くたびに、揺らめいたりしている。

今日は年に数回しかないお祭りの日。

村の高台に建つこの屋敷から眺めていると、土手道にそって並んだ木に、一つずつ掛けられた提灯の灯りがぼやけて、一本の列をなしているように見える。

土手から河原の方に視線を下ろしていくと、窮屈そうに並んだ屋台のぼんやりとした明かりが、

川で蛍と戯れる子供達をやはりぼんやりと、そして見守るように優しく照らしている。

土手から、次は奥に視線を移して行くと、この屋敷ほどではないが、少し高台になったところに広場がある。広場の中心には、昨夜一晩で築き上げられた(やぐら)があり、その上で屈強な男たちが太鼓を叩く音は、毎年ここまで聞こえてくる。里の大人たちは皆、あの広場で踊っているようだ。

とまぁ、祭りの様子はこんな感じ。我ながらなかなかの情景描写じゃないかと思う。


「毎回こっから見てりゃ、説明も上手くなるよね!」


「ほんっと、毎回毎回なにやってんのよあんたは」


「・・・夏姫じゃないか、びっくりしたなぁもう」


さっきまで風に揺れていた小さな松の木の、枝分かれが始まる部分の小さなくぼみに、もみじの柄の入った、明るい赤色の浴衣を着た女の子、 神楽 夏姫が腰掛けている。さぁ、ここからは皆も想像力を働かせてみよう。彼女の碧い瞳は今夜の蒼い満月のごとく、金色の髪は、蒼白い月光をも金色に照り返す。

いわゆる『金髪碧眼』ってやつだ。ここまで想像できた?じゃあ、あとは彼女の左右の髪の一部を赤い紐で結んで、彼女の腰ぐらいまでたらしてみよう。ほら、あっという間に皆大好き金髪碧眼ツインテ貧乳◯リータ少女の出来上がり!

え、出来上がらない?特に貧乳と◯リは聞いてないだって?兄さん、世の中には「定番」って言葉があるんですぜ。すなわち、妹キャラはだいたい実は血が繋がってないとか、清楚キャラはだいたいパンツ履いてないとか、逆に体育会系の方がスパッツ履いてて健全だよねとか、まぁ、つまりそういうことだ!


「どうせまた屋敷に引きこもってんじゃないかって来てみたらこれよ」


「家が好きなんだ。家にいるのが一番だよ、涼しいし」


「お祭りのときぐらい外に出たらどうなのよ。しかももう秋だから涼しいのは当たり前」


「秋は『読書の秋』っていうでしょ?読書ってのは基本家でするもんだ。あと、『お月見の秋』、とか『芸術の秋』とか、あとは・・・えっと・・・『浴衣からこぼれる太ももの秋』とか」


「4つ目は何よ!秋関係ないじゃない!相変わらずねこの変態っ!」


僕を指差してナイスなツッコミを入れながらも、太ももの中ほどまでにしか届いていない浴衣の裾をもう片方の手で必死に下に降ろそうとしている仕草はたんまらないですね。


「あと僕を普段家から一歩も出てないかのように言うのはやめてくれないかな。僕だって毎朝詩を考えながら散歩ぐらいするんだから」


「いつもあまり集中できてないようだけど?むしろ道端ですれ違う女の子達に集中してるように見えるんだけど?」


「失敬な!詩を考えている最中の僕はそんなもの眼中にないんだ!待ってろ、すぐに君を失神させるほど素晴らしい詩を考えてやる・・・そうだな・・・よし!『君に問う〜・・・』


「あれー、あんなところに可愛らしい女の子がー」


「『その女の子〜 何処(いづこ)かな〜 』・・・あッ!?」


「この、ケダモノが」


「あッ・・・あひィイッ!!」


女の子の「ケダモノが」なんて僕にはご褒美ですぅ!


「ほんっとバカ、あんた犬よ、犬。」


「じゃあ僕、君のペットになるよ!」


「い、いらないわよっ、こんな鼻息の荒いブタ」


「ぶひィッ!?」


個人的にはブタ扱いの方が嬉しいかも。


「でも、ペットになれば君の言うことなんでも聞くよ、僕!」


「な、なんでもっ!?いいの!?ハァハァ・・・!」


「もちろんさ!僕にできることならなんでもだよ!さぁ、なんでも言ってごらん?」


「じゃあ、里の健全な未来のために今ここで自害しなさい」


「ブヒィゥウウっウー!!」


「っていうかあんた、今の私を見て何か一言でも言うことないわけ?」


「ぶひ?」


「これ!浴衣よ!」


「ぶひ?ぶひぃ!ぶひひ、ぶひ、ぶ・・・イテテ、イテテテ、イタイ、イタイですぅ!」

僕の耳をちぎれそうなほど引っ張って彼女が囁く


「お前丸焼きにすんぞ」


「あ、あぁ!見た瞬間から思ってたっすけどすごく似合ってるっすよ!柄も季節に合ってますし!いやほんとに・・・」


いやらしいよ!その短い裾の長さをミリ単位で測ってついでに君のスリーサイズも測るっていうのはどうかな!って言うのはどうかなと思ったけどやめときますね。


「それでいいのよ、フフン♪」


なんて娘だ。


「な、何よその目は・・・、っていうかあんた、感謝しなさいよね!これ着てる姿見せたのあんたが初めてなんだから!」


「ぶっ、ぶひゅ」


あなたは女の子がそんな軽々と「初めて」なんて言葉使っていいとお思いですか裁判長!いや、有罪だこの娘は・・・ッ!


「じゃあアタシそろそろ行くから」


急にそう言って何かから逃げるように、彼女は夜の闇に消えていった。


「え、あ、ちょ・・・」


唐突すぎて反応に困る。

急にどうしたんだろうか・・・んー、まぁ、いいや、っていうか大体見当ついてるし。


「さぁてと、双眼鏡はどこかなーっと・・・あった!どれどれ・・・ムフ、ムフフ、やっぱ夏は浴衣に限りますなぁムフ」


川で戯れる子供達の浴衣から伸びる御御足(おみあし)、御御足、御御足・・・白い肌についた水滴に光が反射しキラキラと輝く。、まるで星空にある天の川の中で生意気に輝く恒星のようだ。・・・ハッ!?そうか、そうだったのか・・・!

「幼女の足は天の川だったんだッ!!」



中二の頃まで金髪碧眼ツインテ◯リ貧乳は男ならみんなが愛せるジャンルだと本気で思ってました。近頃はヤンデレも良いなぁと思いつつ…

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