第八話 絡まれる
悪さが上手く表現できない。。。
それにしてもこの世界の食べ物ってどんなだろうか。
「ライアスは何が食べたい?」 カイルが話しかけてきた。
「カイルと同じやつでいいよ。」
「じゃあピスタでいいや。買ってくるから適当に空いてるイスに座ってて。」
「分かった。」
俺は適当なイスに座ると、どんな食べ物があるか周りの店を見ていた。
“ピッチコーク焼き” という看板が目に入った。店の中では焼き鳥のような串に刺した肉が焼かれているのが見える。そして隣には“ハフサン”という看板がある。パンのような茶色いものが見えるのでおそらくパン屋だろう。
「おまたせ~。」
色々な店を眺めているうちにカイルが帰ってきた。手にはピスタ、日本でいうパスタが皿に盛ってあった。色とりどりの野菜と細く切られたチーズのようなものがのっていて結構おいしそうだ。
「ありがとう。んじゃいた「おう! カイルじゃねえか!」ふぉえ!?」
いきなり大声が聞こえてびっくりしてしまった。しかもへんな声でちゃったし。不覚。
「うん、久しぶり。」
「またあえて嬉しいぜ~」
「嬉しいでゲス。」
「でゲス。」
ゲスってなんだよ。
「おいカイル、知り合いか?」
「うん一緒のパーティーメンバーだよ。」
パーティーメンバー? ってことはこいつらはカイルを見捨てた犯人トリオなのか。いかにもワルでザコな雰囲気を放ちまくっている。
「っていうことで食事中悪いが俺達クエストいく約束してたからよ。ちとこいつを借りていくぜ。」
カイルの肩をつかんで無理やり連れて行こうとしている。こいつらの言っていることは全部ウソだ。カイルだって嫌がっているは……
「ごめんライアス。約束を破るわけにはいかないから。また後で!」
と笑顔で言ってきた。そして声をかけるまもなくカイルとトリオはカウンターの方へ行ってしまった。あいつらカイルを見捨てたやつなんじゃないのか!? けどカイルは笑っていたし。犯人がトリオではないのか、それともカイルがなにかしらの理由で逆らうことができないとか。ああ! 面倒くせえなあ、もう。心配だからあいつらと一緒にクエスト行ってやるか。
俺は残りのピスタをさっと平らげ、駆け足でカウンターの方へ向かっていった。
カウンターにつくと、ちょうどクエストボードでどのクエストに行くか決めているところだった。
「おい、そのクエスト俺も一緒に連れて行ってくれないか?」
「あ? いいけどよ、お前その様子じゃ今日冒険者になったばっかりじゃねえのか? そんなんでこのクエストはクリアできねえぜ。」
トリオのボスらしき人が冷たい笑みを浮かべながらこちらの方を見つめながら話しかけてきた。
「いいんだ。これでもまあ強い方なんだ。」
どこまで通用するかは分からないが、あの森で数え切れないほどの魔物を討伐してきた。ちょっと危なかったときもあったけど。実力がついていないはずはない。もし危なくなったらカイルと一緒に逃げ出せばいいだけだ。
「そうかい。じゃあこの『洞窟の炎竜の討伐』でいいな?」
おいおい、大丈夫かこいつ。いきなりSランクのクエストいくつもりかよ。でもカイルは何も言わずにうなずいているだけだ。俺が行かなかったとしてもカイルは行ってしまう。しかもこんな高ランクのクエストでは全員が生きて帰ってくるとは限らない。もしかしてパーティーを見捨てたことが知られるのが怖くてカイルを始末するためだけにこんなクエストを受けようとしてるんじゃないか? それなら誰かが死んで帰ってきてもあまり怪しまれない。それならなおさら行くしかない。
「ああ。いいよ。」
トリオのボスが全員の了承を得たところでカウンターへクエストの紙を持っていく。
「お、ラッキー。」
いつも何人かはいるはずの受付けがなぜかいなかった。それを利用し、トリオのボスがクエストを受けるのを認めるはんこを勝手に押し、パーティーの名前を書き込んだ。そこでトリオのボスが名前を聞いてきた。
「お前の名前なんていうんだ?」
「ライアス・キュアノエイデスだ。」
「随分と長ったらしい名前だな。」
おっと危ない衝動で殴ってしまいそうだった。もし殴ったら龍の体の能力で強化された拳のせいで相手は生きてはいられないだろう。しかしさすがの俺ももう怒った。リリアにつけてもらった名前をけなされたのだから。こいつとはもう一生会いたくないな。
「教える意味はねえがまあいい、俺はジェイドだ。」
「さっさと行こうぜ。」
俺は始末するきまんまんのジェイドに怒り混じりの言葉で言った。
あ、そういえばギルドカード貰ってないままだ。まあいいか。