第四話
まずは魔力のコントロールから。
魔力とは体に流れている血のように体内を循環している。血管に流れている血をイメージしながらそのエネルギーを手のひらに持ってくる。そうしたら、まだ目にはみえないが魔力の塊が手のひらの上にできる。その魔力の塊に、そこに言葉を加えて属性をイメージしやすいようにして属性をつける。俺の場合はまず一番得意な水属性から。
「水よ」
大きな水の球ができた。それを魔力の調節で大きくしたり小さくしたりする。これが結構疲れる。最初は5分程度でヘロヘロになっていたが、日を重ねるにつれてだんだん持つようになってきた。ほかにリリアには水属性の基本から応用までを教わった。魔法は作り出せば種類は無限代なので、またいろいろ作ってみようかな。
他の水魔法の基礎を練習していると、いつの間にか昼になっていた。その時点でかなり疲れてしまっていたので今日の訓練は終わりにすることにした。
午後からは、魔法の勉強。しかしリリアが魔法の研究のため、ただ本を読むだけになってしまった。魔法の教本なんてどうせ学校の教科書みたいなやつなんじゃないの、と思っていたが中身を見るとファンタジーの小説を見ている見たいですごく面白い。
そして今気づいたが、この世界の文字や言葉がなぜか理解できる。頭の中で勝手に変換されていく感じだ。だが読みはできても書きはできなかった。なぜかは深く考えないようにする。めんどくさいから。でもこの先苦労しそうだな~。
こうしてかなりの時間本を読み続け、リリアの研究が終わる頃には読み終わった本がそこらじゅうに散乱していた。
「あらら、やっちゃいましたねえ。」
「ゴメンナサイ……」
必殺!上目遣いィィィ!
「っっっ!!……こういうときは、この魔法。」
そう言ってリリアが指を振ると、散らかっていた本が勝手に本棚の元あった場所に戻っていく。楽勝楽勝♪(黒)
そこで疑問がひとつ浮かんだ。
「今詠唱しなかったよね、どうやったの?」
「そこですか……。無詠唱は詠唱しなくても頭でイメージするだけで魔法が使えるんですけど、かなりイメージ力が要りますね。難しい魔法だとなおさらですね。でも今のは魔法回路というのを使っていて、もともと道をつくっおくとスイッチひとつで勝手に動いてくれるんです。ちなみに開発したの私ですよ?」
どうやらリリアは片付け魔法の方を褒めてほしかったらしい。あとで褒めとくか。それにしても便利だな、魔法回路というのは。応用すればいろいろできそうだ。ある程度1人で生きられる力をつけれたら旅もしたいしな。
とりあえず本で学んだことを簡単にまとめてみると、属性は基本7つで、回復、解毒、時空間など+α。それぞれの属性には初級、中級、上級、超級、その上に各属性の特別な階級がある。水属性の場合は「碧天」、火属性の場合は「極紅」などなど。他に魔法を発動するのに、魔法陣を書いたり、リリアの開発した魔法回路を作ったりする方法もある。魔法陣によって契約した生物を呼び出すこともできる。魔法陣については本に書いてあるものを全て記憶してしまっている。だって面白いんだもん。ハマッたら極めるという特徴がついに活きる日がきたかな。裏を返せばオタクだからな……。
無詠唱はもともとイメージ力があるから、すんなりできた。だがやはり詠唱や技名を言わないと発動までに時間が掛かるのであまり使えない。フェイントぐらいには使えるかなと思う。
そして俺は今森の中で魔法を使いながら魔物を倒している。動いている物に遠距離の魔法を当てるのは難しいので結構良い訓練になっている。もちろん、倒すのは食用だけだ。そんな毎日大量虐殺しちゃ生態系が壊れちゃうから殺しすぎないようにはしている。たまーに雑魚相手に超級使ったりするけど、その時は死体も残らない。南無阿弥陀仏。
そしてとった獲物をリリアと一緒に食べている。訓練はできるしリリアも罠をしかける必要もないし、一石二鳥だ。
こうして食料調達という名の訓練と魔法の研究を続けてはや一か月。なかなかいい感じになってきた。教えてもらったのは魔法回路と魔法陣のことについてだけだったな。他は本を見ながら全部自分でやちゃった。
それと並行して、これから出る旅の準備もこの一か月の間色々してきた。それのことについてはまた次で話すことになるだろう。