第二話
「うう……」
あれ?俺空飛んでなかったっけ?野宿した覚えはないし……しかもなんか頭が非常に痛い。
もしかして夢だったのかな。事故で気を失っている間の夢とか。それならアリだな……。でもかなりリアルだったなーあの夢。
コラ~! 起きろ~! という声が聞こえた気がした。
なんで病院の中でまで母さんに起こされなきゃいけないんだ?
いつものように
「あと20分……」
と言うと
「あっ、気がついたみたいですね。」
俺はどれだけ気を失ってたんだろうか。
目を開けてみると超デカイ人が座っていた。俺は何を思ったのかは知らないが、
「うわあああ!俺は食べてもおいしくないですよおお!」
と叫んでいた。
「何言ってるんですか、ドラゴンは食べられませんよ。食べられたとしてもお腹壊しそうですね。ふふふ」
あ、夢じゃなかったんだ。
俺を助けてくれた彼女の名前は、リリアというらしく、エルフという種族らしい。あと結構美人。森の中に小屋を建てて一人で魔法の研究をしているらしい。見た目は20くらいだと思う。若いのになんで?ときくと黙りこくってしまったのでこのことについては聞かないようにしようと思った。
小屋の中は質素な木造で、一人暮らしにはちょっともったいないぐらい。本棚がずらりと並んでいてそのほかにテーブルや食器棚、暖炉もあって落ち着いた雰囲気の部屋だ。
なぜ俺が倒れていたのに気が付いたのかについて聞いてみると、魔法の実験中に魔物などの邪魔が入らないように小屋に円柱状の結界を張っていたのだが、いきなり結界が壊れたので外に出てみてみると、俺が倒れていたという。小屋が見えなかったのも結界のせいらしい。
そんな俺は、今彼女に保護という形で小屋においてもらっている。
自分が一方的に質問していたが、今度はリリアが質問してきた。
「あなたの名前はなんていうんですか?」
う~む。相手がリリアなんて名前だから前世の名前言っちゃまずいよな。とりあえず名前はないという方向で行こう。
「名前はまだない。」
なんか有名な小説の一文みたいになってしまった。
「じゃあ私がつけてもいいですか?」
「別にいいよ。」
「青くてキラキラしてるから……。ライアス・キュアノエイデスとか。」
うん。俺的にはなかなかいい。
「それにしよう!」
「よろしく!ライアスちゃん!」
「ちゃんはやめてくれ。」
「ふふ、冗談だよ、冗談。」
それと、もうひとつ、魔法について聞いてみた。
この世界には基本的に火、水、風、雷、木、光、闇の七属性。他にリリアの使う精霊魔法。これはエルフが得意としている。それに空間時間など、がある。魔力がある限り誰にでも魔法は使えるが、魔力が少ないと、威力は落ちる。自分にも使えるのかと聞いてみると、
「使える使える♪ライアスは魔力が多い方だから結構使えますよ♪」
「また今度教えてくれるか!?」
「いいですよ。」
おお、これでも元17歳の日本男児。こんなことやってみたかったんだよなあ。お母さんとかどうなっているんだろうか。事件とかになってないだろうか。
「そういえば、人間になる魔法ってある?」
「あるにはあるけ……ど魔力のしょうひが著しいからまだライアスには無理ですね。」
「そうなのか……」
話してばかりなので外にでも行ってこようかな。リリアにそう言って、開いていた窓から外へと飛び出した。
「魔物に気をつけて下さいね~」
こうして俺のチョット危ない森探索が始まった。
次はたぶん魔法使います。