五章 〜マジシャンになろう〜
次の日、朝起きてリビングに行くと百合子は言った。
「学校に行く前に魔法使っちゃいましょう」
おれはついにこの日がきたかと思いながら、百合子の額に自分の額をぶつけた。
魔法を使って変わったことといえば、翻訳魔法を使わなくてよくなったことと、この世界の常識がはっきりわかったことだ。
百合子は俺の記憶を見た後、気分が悪いから学校休むといった。その日の学校の最後に秋にある学園祭の出し物を決めることになった。いろんな意見が出ても決まらないなか、おれは一つの名案を思いついた。
「……手品にしようぜ。」
みんなは、賛否両論ありそもそも手品できる人いるのかという話になったそこでおれが、
「俺、できるよ?」
といったのでとりあえず見てみるという結論になった。おれは廊下に恭弥を呼び出して言った
「手伝ってくれない?」
恭弥にタネを説明すると呆れてこういった
「お前魔法をマジックに使うとか……」
おれは教室のカーテンを二つ取ってきていった。
「このカーテンにはタネも仕掛けもございません。」
それから恭弥に一つを広げて持ってもらい、俺も自分が持っていたカーテンを広げて身を隠しながら
「いまからこのカーテンから恭弥が持っているカーテンに瞬間移動します。」
言ったので、みんなは胡散臭そうに見てきたしかし、
「3.2.1……は‼︎」
といった瞬間、透明になる魔法を使ってカーテンを離して恭弥が持っていたカーテンの裏に隠れるとみんなはシーンとなった。
俺が魔術を解いてみんなの前に姿を現わすとみんなはびっくりして、悲鳴をあげた。
みんなが落ち着いてきた頃
「どう思う?」
と言うと、どうやったのかと聞き返されたので、
「タネも仕掛けもございません」
というと殴られた。本当にないんだけど……
みんなが納得しないのでタネをでっち上げることにした。
「俺がやったのはね、アメリカで習った特殊な歩法なんだよ。ほら、よく漫画でも縮地の法とかいうのあるじゃん、あれだよ。」
というと、みんなが半信半疑でも納得してくれたので、ついでに百合子も同じことができるし、恭弥もなんか他のだったら出来るよと言うと、OKが出た。
ということでとりあえず今年の文化祭はみんなで「マジシャンの館(仮)」をすることになった。俺はこの日の放課後に恭弥とどんなこと出来るかの打ち合わせをし帰りの道ではどんな魔法を使うか考えながら家に帰った。