四章 〜異世界からのいざこざの始まり〜
「……なんで、わかったんだ?」
俺は内心の驚きがばれないよう冷静を装いながら言った。百合子は無表情になって相手の出方を伺っている。恭弥は笑いながら
「お前らさ異世界に言った奴がなんで百合子ちゃんだけだと思ったの?俺も行ってたんだよ。」
「どうやって行ったんだよ?」
「次元の穴に落っこちちゃってね」
確かに何十年かに1人奇妙なところから人が出てくることがあると聞いたことがある。
「いや〜大変だったよ。落ちたところが王座でさ〜危うく死刑にさせられそうだったんだでもあんたらが作ってくれた地球帰還への扉のおかげでなんとか帰ってこれたんだ。」
なるほど、こいつはそうやって帰ってきたのか。次元の穴は不安定だからこいつのほうが早かったのだろう。
と、ここで初めて百合子が口を開いた
「で、何の用よ?」
「一応、知らせておかないといけないかなって思って。」
「なにをだよ?」
「俺転移する前に聞いちゃったんだよね。王様の計画をね」
恭弥が聞いた計画とは、百合子を連れ戻す事だった。俺がつくった転移魔法を使ってさらっていくそうだ。ついでに俺を国家反逆の罪で殺すらしい。
「なんで知らせてくれたんだ?」
「そんなのそっちの方が面白そうだからに決まってるじゃん。国家相手にどこまで足掻けるか見物させてもらうよ。」
と言って俺らに背を向けて帰っていった。
家に帰るまでの間ずっと無言でいたが家に帰ってから俺は百合子に一つ提案した。
「なぁ、お前まだ俺のこと完全に信用してないだろ」
「まあね。正直あなた見てたらあなたの過去話を疑うくらいにはね」
「うん……うんだからねここらで本当に完全に信用してもらうためにある魔法を作ってみたんだよ」
百合子は呆れて言った
「普通魔法って手軽に作れるものじゃないんだけど……で、その魔法って何?」
「記憶共有魔法です」
「はあ?ねぇそれ作るってどういうことかわかってる?それあっちの世界でできるまであと数十年かかるって言われている魔法の一つよ?」
「知ってるよでも、俺これ5年前から考えているからね」
「そういう問題じゃないんだけど……」
「俺が使うよりお前が使う方が信用できそうだろうし魔法教えるからやっちゃって」
俺は百合子に魔法を教えた百合子はあっちで大将やっていただけあってすぐにこの魔法の本質を見抜き覚えた。
百合子はこの魔法を信用したようだが自分の記憶も見られることに対する葛藤があったようで使うのは明日にするといった。
あぁ、眠い、だるい、めんどくさい。
この世界に来て働かずにむしろ勉強できるなんて、それは素晴らしいけどここに来てあっちの世界のことが絡んでくるなんて……
俺はそんなことを考えながら、またこの世界に来る魔法を残したことを後悔しながらベッドで寝た。