妹が願いを叶えてくれるみたいなので、願うことは唯一つ。
私は九重音衣という。
今の生活は基本的にいいと思う。
一つを除き。
「妹よ、この問題の答えは何と言う?」
私は今、自室で妹、九重唯と一緒に勉強をしているところだ。
「お姉ちゃん、そんな問題の答えもわからないの?」
「……悪かったな、My Sister。頭の悪い姉で。」
私は結構頭が悪い。運動も結構苦手なほうだ。
それなのに私の可愛い妹は勉強も出来るわ運動も出来るわ、男子にもてまくるわおまけにドジっ娘属性アリの、言うなれば『神の愛娘』。
だが、すごく優しいので憎めない。
『音衣、唯。夕飯の時間よ~』
私と唯は「は~い」と返事をし、勉強道具を片付けた。
そして、私のおなかが早く食べたいと言わんばかりに鳴るのでそそくさとリビングに向かう。
「お姉ちゃん、待ってよ~」
唯はパタパタと私の後ろを走ってくる。
ただえさえ、存在自体があざといのに、そんな走り方したら、あざといの上、きわどいになってしまうではないか。妹よ。
私は妹のきわどい姿を想像してしまったので、実現してしまわぬように、早歩きをやめる。
――――
今日の夕飯。
私の好きな味噌汁、唯の好きなエビフライ、野菜サラダ、そしてご飯だ。
「やった~エビフライだぁ」
唯は口元を綻ばせて喜んでいる。
という私も味噌汁+妹の天使の笑顔でかなりテンションが高いのだがな。
「「いただきます」」
唯はエビフライ、私は味噌汁を真っ先に口に運ぶ。
「ほひひ~(おいし~)」
妹は口から海老の尻尾みたいなのをはみ出させ、感動の声を漏らした。
そんなこんなで食事は進み、あっという間に食べ終わった。
「ごちそうさん。」
「ごちそうさまでした。」
妹は律儀に手を合わせ言った。
つくづく可愛いやつめ。
―――
「唯~風呂上がったらさっきの問題の続き教えて~」
「りょーかーい。」
妹は先に風呂に入るようなので、私はソファに腰掛け、テレビを見ることにした。
『音衣ちゃん、お母さん急用できちゃったからちょっと行ってくるね。』
「いってらっしゃい。」
適当にあしらって、私はテレビのリモコンのボタンをとりあえず押しまくる。
最近のアニメは深夜以外おもしろくない。
――――その時だった。私はたしかに聞き取った。
ヤツ……世界の敵、Gが動く音を…!
「G……だと……?どこだ……どこにいる!隠れてないで出てくるがいい!!この私が成敗してさしあげましょう!!!」
……中二病とは言わせない。
だが今はそれどころじゃない。
ヤツを抹消しなければいけない。
私の大事な妹…唯がここに来る前に……!
それが私、唯の姉の使命なのだから……
私は片手にゴキジェット、もう片方にはスリッパを持った。
私は耳を澄ます。
「聞こえた……!!G!貴様は台所にいる!!」
台所に私は颯爽登場し、Gに向かってスリッパを投げつけた!!
「…クソッ!はずしたか…強敵だな!!」
私はスリッパを取り出し、空いた右手に持ち直した。
何処からだしたかは問題ではないのだ。
ただヤツを葬ることができるか出来ないかだ……!
私は腹いっぱいに空気をすいこみ、そして…
「超必殺!!!ジェットスリッパァァァアアアア!!!!!!」
Gは動かなくなった。
だが背後から
「お姉ちゃん……何してるの…?」
と声がきこえた。
その声は紛れも無く妹の声で――…
「妹よ…私は使命を果たしたぞ…」
「何のことか分からないんだけど……」
妹は呆れている。
だが、妹の怖がる姿を見なくて済んだのである意味良かった。
「……お姉ちゃん…」
「どうした?唯…」
妹は何か大切な事を言わなければいけないような複雑な表情をしている。
「今まで黙っててごめんね……唯…実は……魔法使いなの…」
自分の事を唯って言うなんていちいち可愛いヤツめ……ってはああ!?
「妹よ…今なんと…」
「だから魔法使い……なんなら一つ、願いを叶えてあげるよ?」
私は考えるよりも先に口が動いていた。
「じゃあ…この世からゴキ○リを消し去って…」
「わかったよお姉ちゃん☆まじかるいりゅーじょん☆お姉ちゃんの願いを叶えて…!」
沈黙。
電話が鳴った。
私はすぐさま受話器をとった。
『もしもし?音衣ちゃん?ちょっと聞いてよ!!』
「ど……どうした?心葉。」
まさか…そんな訳は無いよね。うん。ないよね……?
『今のいままでゴ○ブリと闘ってたんだけど…』
……この流れはまさか……
『急にゴキ○リが消えたの!!』
「参りました!!!!」
妹よ…姉は一生あなたについていきます。