笛と子供と白黒猫探し
チンピラ一派をギルドにブチ込んでからはや三日
モンスター退治や護衛の依頼はあれど、そんな気分じゃないので却下し
ボードをチラ見した時に偶然見つけた依頼を受けることにした。
その依頼の名は――――
―遊びに出て行ったきり四日も帰ってきていないカールとミラを探して欲しい―
「ふむ、ならアレを使うか、正直使うとは思わなかったけど・・・」
――ハーメルンの笛とブレーメンの帽子――
ハーメルンの笛で対象動物を呼び寄せ、ブレーメンの帽子で整列、行進させることが出来る。
音楽スキル持ってないとあまり意味無いけど、暇なときに仲間内で演奏しまくってたからなぁ・・・
まずは、街の入口から初めて、適当に回って集めてみるかね
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―――――
―――
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~街の住人の反応~
―ギルドの酒場前―
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「んぁ?今日何か祭りでもあったか?」
「さぁ?大方この前の騒ぎのヤツがまた何かやってんだろ?んなことより酒だ酒!」
「お前・・・最近依頼こなしてないだろ、大丈夫なのかよ?」
「明日から本気出す」
「・・・・・・はぁ~・・・」
―商業地区―
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鍛冶屋の前を通って
「ん?なんだこの音?笛?」
「おいボサっとしてんな!はやく持って来い!」
「へ、へぇい!」
衣服屋の前を通り
「にゃっ・・・うにゃっ…う~むむむ、この音色には何故か惹かれるニャ・・・まさかニャ・・・」
「あらあら、如何かしたの?」
「い、いや、サボってたわけじゃないニャ、ホントニャ」
「あの笛の音楽が気になる?」
「あの音色はまさしく猫族の言い伝えにあるハーメルンの笛・・・2000年前に失われたはずニャ…」
「聖遺物・・・」
「人間達はそう言ってるけどニャ、あれはそんな大層な物じゃないニャ」
「あら、そうなの?」
「あれはただ、言葉も通じぬ、違う種の者達と遊ぶためのものと言われているニャ」
「そう、それはとても素敵ね」
「そうでもないニャ。やろうと思えばドラゴンだって呼び寄せてしまうからニャ、ふむ、此方へ来るみたいだニャ、丁度良いから吹いてるヤツのツラでも見てやるニャ」
「吹いている子は多分、男の子だな」
「旦那さん、こういう時だけは性別に合った喋り方するんだもんニャァ・・・」
「何か言ったかしら?ちょっと聞き取れなかったわぁ」
「ヌニャッ!?ななななななんでもないニャ!気にしたら負けニャ!!」
「あらそう?なら良いのだけれど・・・あ、ほら、来たわよ、まぁ可愛らしい、猫さんの行列ね!」
「にゅ?・・・ッ!?あ、あの帽子はッ!?」
「???」
道具屋の前を通った後
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「む、今日は祭日でも何でもなかったはず、あの変な帽子を被った男、この辺りでは見ない顔だ」
「変な帽子と侮ってはいけないよ、あれは昔君がよく読んでくれと持って来た物語の象徴のような帽子なのだから」
「・・・ブレーメンの帽子・・・?」
「そう、動物達の英雄を表す、2000年前に失われ、伝承でのみ存在が確認されていたはずの聖遺物―――獣人や知性ある動物達の伝承によれば、遠い昔の力ある指揮者がそれを被り、竜種の軍勢を引連れ戦場を駆け抜けたと言う・・・私が視た限り、あれは間違いなく本物だろう」
「ほ、本物!?急いで本国に知らせなくては!」
「やめておきたまえ、こう言っては何だが 教会程度の力では、彼を止めることなど不可能だ」
「何故!?あれが聖遺物と言うのであれば、最重要保護対象であるのはご存知のはず!」
「あぁ判っているとも、だが、彼が持っている聖遺物はまだまだ沢山ある可能性が高い。それだけでも厄介だというのに、彼自身の実力もまた底が見えん。もし無理やり君達の言う【保護】を実行しようとすれば、教会の全滅は確実だろう、なにより私の【この眼】で見て理解したよ、力で彼を止めることなど、まず出来ん」
「・・・貴方ですら・・・教国史上最強の貴方ですら勝てませんか・・・?」
「私が参戦したところで何も変わりはしないよ、こと戦闘に関して、彼の視点からすれば、我々など芥にもなり得ん 教皇様自ら聖遺物で装備を固めて、神々の祝福を受けてようやく闘えるか、と言ったところだろう」
「・・・」
「それに、あの光景をなくすのはあまりに惜しいのだよ。ゆえに、やめておきたまえ」
「・・・・・・了解しました」
依頼主の居る孤児院に到着する
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「あら、何の音かしら?」
「せんせー!あのねあのね!おそとにねこさんがいっぱいいるの!」
「それでね!へんなぼうしつけたおじさんがふえをふいててね!ねこさんたちがきれいにならんでるの!」
「へ、変な帽子を被ったおじさん・・・?」
「うん!カールとミラもかえってきたんだよ!」
「じゃあ、そのおじさんにお礼をしなくちゃね、案内してくれる?」
「うんっ!」
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軽快な音楽は猫を呼び、子供達の笑顔は満開に―――
ハーメルンの笛はは今まさにその役目を果たしている
続く
複線わかったかナー