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これは“痛い”

微グロ注意



前衛的な装飾の馬車と出会った翌日、正午を過ぎたところ


「―――姫様、そろそろ目的地に到着いたします」


「あら、もう到着ですの?もう二日ほど掛かると思っていましたのに」


「アクロの奴が馬に回復魔法を掛けてたんで、あまり馬を休ませる必要が無かったんですよ」


その代わりといっては何だけど、一定の間隔で魔法を掛けるから寝れなかった


「HeyマックYouはSHOCK!ハッハッハ・・・ハッ!?はぁ・・・」


「いや、意味わかんねぇ」


「どうしましたの?彼」


徹夜明けの妙なテンションで会って間もない奴と話すとか高レベルすぎてもう・・・


ともかく、もうすぐ目的地とやらに着くらしい。


「・・・すまん、徹夜明けは何時もこんな感じなんだ」


無理やりテンション上げていかないとやってらんね


真夜中でテンション上げるために危うく【花火(広域殲滅魔法)】上げかけたのは内緒にしておこう


「それはともかく、目的地っていったい何処なんだ?」


知ってる地名なら良いけど・・・


「迷宮遺跡都市・プレイヤ ですの」


何か、自信満々のドヤ顔で言われた。


「なるほど、まったく判らん」


何故か姫さん(フレイヤ)に呆れた顔をされた。何言ってんだコイツ・・・みたいな


「あ、貴方本当に何も知りませんのね・・・」


「気付いた時から昨日まであそこに居たからな、世情やら何やらには疎いんだよ」


「・・・そうですの」


嘘は言ってないが・・・ちょっと雰囲気が暗くなったな、話題を変えよう


「で、迷宮遺跡都市って結局どう言う所なんだ?」


「そうですね、200年前に発見された初めの頃は、2000年前の【伝承時代】の都市の建造物が、ほぼ綺麗な状態で残っていて、遺跡都市と呼ばれていたのですが、今から約5年前、その遺跡都市の中心に迷宮の入口が出現したんです。なので、迷宮遺跡都市と呼ばれるようになりました」


「姫さんはそれに挑みに?」


「いえ、私は今年から、そこにある学園に入学するんです」


ふむふむなるほど、そこに拠点を置くのも悪くない


「ふむ・・・マックのおっさんはどうすんだ?」


何の脈絡も無く話題を振ってみる


「あ?そりゃお前、ギルドに報告して、別の依頼うけるに決まってんだろ・・・いや、ダンジョンに潜ってみるのも悪くねぇか」


ですよねー


「おぉ、見えてきたぞ、あれが迷宮遺跡都市だ」


「日が落ちるまでに着けてよかったですわ」


「また徹夜とか勘弁」


二人が都市に目が行っている今のうちに武器変えとくか・・・


武器換装【インベントリ-AKUROのバスタードソード←魔道連結刃・禁式】


ぱっと見でも聖遺物として判断されそうだからな


――――――――――――――――――――――――


―――――――


「――それにしても、本当に2000年も経ってるんだな、あの商業都市が今では遺跡かよ・・・」


ふと、小声で漏らした俺の言葉は、運良く誰にも聞かれずに消えていった



―――――


―――



面倒な手続きが要るのかと思ったら、街にはあっさり入れた。


身分証明とか必要なのかと思ったけど、一定以上の身分を持った同行者が持っていれば入れるらしい。


身分証明を持っていないと、その辺のチンピラに絡まれて問題になっても、身分証明を持っていない方が圧倒的に自分が不利になるから気をつけろとのこと


問題が起こらないように気をつけつつ、学園まで姫さんを送り、ギルドに報告の序でで俺の冒険者登録を終わらせ、宿を紹介してもらい、この街に起こっている問題解決の依頼を一つ受けた。


今は酒場で食事中といったところ。


「ところで、お前ぇはこれからどうすんだよ?」


「まぁ冒険者ランク上げかな、当面の生活費はあるし、しばらくは此処で適当に暮すことにする」


=俺=はほぼずっとソロだったらしく、生産とか生活系技術は全部取って極めているみたいだし


俺も俺で一人で行動するほうが圧倒的に多かったから、そういった技術も自然と身に付いた


魔法も魔法でそれなりに極まってるのがチラホラあるし・・・


接近戦系なんて得意中の得意だし


いろいろと超えちゃいけない壁も超越しちゃってるし、基本的にやろうと思えば何でも出来るな


「うへぇ、冷めてんなぁ、なんかもっとこう、でっかい夢とかねぇのかよ?」


おっさんのフォークがさりげなく俺の肉を狙っている・・・甘いわ!


「たとえば? それぁ俺んだ、ちゃっかり取ろうとしてんじゃねぇ」


まったく、油断も隙も無い・・・


「ちっ、ほら、世界最強!とか、伝説の武器~とかあんだろ?」


「・・・あ~、伝説の武器って、仮に手に入れたとしても本来の持ち主にしか扱いきれんだろ」


んな欠陥品をわざわざ危険を冒してまで手に入れるバカはそう居ないだろ


と言うか、俺自身そういうのは何度か経験して懲りてるからパスしたい


「見つけることに意味があるんじゃねぇのか?」


それも一理ある・・・けど


「見つけて報告しても教会とやらに狙われて、いざって時に使えずに終わってパクられるのがオチだろ

それに、何の実績もない今の俺じゃあ生活費稼いで終わりだろうから、まだまだ先の話だよ、そういうのは」


「それを言っちゃあおしまいだろうがよ・・・」


同感ではある、まぁやるにしても、まずは自分の足場を固めてからじゃないとお話にならない


「世界最強に関してもそうだ、純粋な戦闘なら此処の誰にも負ける気はしないよ」


嘘でも強がりでもなく、本心であり事実であり真実だ


「ほぉ、そりゃまたずいぶんな自信だなぁ」


話を聞いていたらしい後ろの席にいた冒険者から声が掛かった


それなりの修羅場をくぐって来た、鍛え抜かれたマッチョな、それなりにlvが高いと思えるおっさんだった


周囲の喧騒が一瞬静まるが、再び話し声による喧騒が戻る


ただしその話題は、あぁあいつ死んだな とか、ヤベぇんじゃねぇの?だとかの


所謂野次馬話である。


「初めから負ける気でやったら、勝てる戦いも勝てんよ」


これも事実ではある、神みたいな、人間からしたら反則じみた連中を相手に殺しあってるときなんかが最たる例だ、最初の頃は気合以外何もかもが劣っていたから、実際に体験して至った真理でもある


「そりゃそうだ、相手が魔物なら敗北=死だからな、自殺志願者なんてヘタレは此処には居ねぇよ」


「ははっ、違いない。 俺はアクロ ついさっき登録したばっかのランクEだ、こっちのちっこいおっさんはマクガイル、ランクは聞いてないから知らん。 おっさんは?」


「俺はグラム、Sランクだ。 ここまで上がってきたら、一緒に冒険しようぜ」


こりゃまた、大物が出てきたな


「あぁ、その時はよろしくたのむ」


お互い手を差し出し、握手をする


「あぁ、此方こそよろしく」


―――――――――――


―――――――――


―――――――


―――――


―――



「たしか、この辺りだって言ってたよな、お、これかな」


マッチョのおっさんと友人になった後すぐ、仲間の人が来て依頼が入ったとかで酒場を出て行った。


マックのおっちゃんも自分の宿へ戻って明日の準備をするのだとかで、飯食って帰っていった。


そして俺も、頭の整理をするために、紹介された宿へと向かった・・・んだが


「――――!―――――!!」


「――――――!」


なにやら宿の中が騒がしい。


と言っても、泊まれる宿が他に無いので入ることにする。



「ちわーっす、ギルドに紹介されて来たんすけど、部屋空いてマスカット」


我ながら寒い駄洒落でかるく挨拶をする。


=俺=も俺も、こういった才能にだけは恵まれないな・・・まぁいいさ


第一印象って大事だよな


それにしても、なかなかの美人さんだ


こう姐御肌ッ!って言いたくなるような、眼福眼福


「だからさァ女将さん、こっちも―――んだテメェ!?見せモンじゃねぇんだ、失せろ!」


おおこわいこわい、さて


「いらっしゃい、ちょっと立て込んでるけど、宿泊かい?」


「あ、女将さん、とりあえず、4日ほど大丈夫ですかね?」


ククッ、我がスルースキルをなめてもらっちゃァ困る


「四日宿泊の朝と夕の食事つきなら銅貨10枚、抜きなら銅貨4枚さね」


おう無視かコラ とか言いながら思いっきりガンつけてきてるおっさんが居るが気にしない


「ふむふむ、あ、この硬貨って今でも使える?」


問題なのは、金を両替し忘れたことか


確かめるために、懐から俺に馴染みのある銅貨を10枚、女将さんに渡した


「何言ってんだい?硬貨は硬貨、今も昔も変わることなんて無いだろうに」


なんだ、それなら安心した


「それは良かっ―――」


後ろから誰かに肩を置かれた。


十中八九さっきのおっさんだろう


塵を掃い除けるかの如く、肩に置かれた手を掃い


肩に付着した汚いナニカを振り払うよう仕草を実行した


所謂挑発というヤツである


「・・・ッ!!おうボケコラァ・・・シカトォブッこくのもええ加減にしろやァ・・・」


「女将さん、このおっさんって客なわけ?」


「・・・あー、地上げ屋みたいなモンかねぇ、ギルドに許可は貰ってるんだけど、そいつの一派が難癖つけてくるんだよ、正直迷惑でねぇ・・・」


あ、そうなんだ、なら


「さっきから下手に出てりゃ言いたい放題ぬかしやがって・・・上等だブチ殺してやる!!」


ナイフを抜いて構えるチンピラ


そっちがその気ならやるしかないか。


「阿呆が、チンピラ風情が誰に喧嘩売ってやがる、表出ろ」


「ぁあ?―――っでっ!?ッテェ!?離せボケが!!」


ナイフを奪い髪を引っつかんで苦も無く引きずりながら外に出た


人間、髪を引っつかまれたら大抵の奴は動けなくなる


何の訓練も受けていないチンピラがそうそう対処できるようなものじゃない


「おいおっさん、ツメるって言葉知ってるか?俺の故郷の言葉でな、今回の例で言うと、テメェ等みたいな半端物がカタギに手を出して多大な迷惑を掛けたことに対する、まぁ一種のケジメみたいなもんだ、お前にはそれを受けてもらう。なに、死ぬようなものじゃない、ただちょっとダルマになるだけだ、ちゃんと治療はしてやる。 まぁ?さっきの女将さんに土下座して誠心誠意謝罪して?お前の飼い主にちょっと俺の伝言を伝えてくれれば、まぁ小指の一本ですむかなぁ?」


かならずこけるようにしてぶん投げ、頭を踏みつけて腕の一本を押さえる


そして顔の真横スレスレの地面に、さっき奪ったナイフを突き刺す


「ひっ!?ひぃぃぃぃぃ!?バ、バケモン・・・!」


「ああそう、そんなこと言っちゃうわけだ、そうかそうか、さて、まずは一本目、右小指」


跳ねた血が自分に付かないように避けながら、一気にナイフの刃を小指に落とす


ドッ!プシッ!


一瞬勢いよく血が噴出し、勢いが衰えたものの、それでも夥しい量の血が流れる


「ギッ!?あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?!?!?!?」


それに遅れて何をされたのかを理解したらしく


襲い来る激痛によって断末魔のような声を上げるチンピラ


「まぁ、一本ツメるのは確定だったからね、じゃあ次、左小指」


今度は一気ではなく、じわじわと撫で切るように


「あああああ・・・ッ!!!わ、わかった、謝るッ!土下座して誠心誠意誤るから許してくれ!!」


指をじわじわ切られる恐怖に屈し、チンピラは条件を飲んだ


「そうか、判ってくれてよかった、なら行って来い、しっかり謝ってくるまで本格的な治療はしないからそのつもりで、早くいかねぇと血が足りなくなって死ぬぞー」


血が垂れ落ちないように固定して急かす。時間の無駄遣いはしたくない


「は、はひぃぃぃぃぃぃッ!!」


さすがに死にたくないらしく、血相を変えながら宿に入っていった


俺も続いて宿に入り、様子を確認する


「このたびの事は、誠に申し訳ございませんでしたァッ!!」


うん、足りない頭で必死こいてしっかりと土下座で誠心誠意謝罪の言葉を述べている


そして女将さん、ちょっと引いてる


「い、いや、謝ってくれるんならそれで良いんだけどさ、アンタいったいどうしたんだいその指」


「ひぃっ!?」


そしてこのおびえよう、かなりの恐怖だったようで


「よかったじゃないか許してもらえて、じゃぁ、ちょっと伝言頼めるか?」


治療魔法を掛けてやり、小指の傷を塞いだ。これで失血で死ぬなんてことにはならないだろう


治療と同時に、罠をいくつか仕掛けるのも忘れない


当のチンピラは壊れた玩具のようにカクカクと頭を何度も上下に振る


「『暗い夜道にゃ気をつけろ』とでもいっておいてくれるか」


それを伝言を聞いたとたん、チンピラは悲鳴をあげながら逃げ去って行った


「よ、良かったのかい?あんなにあっさり返して」


「えぇ、問題ありません。実はアレの飼い主を生死問わずでギルドに突き出す依頼をうけてまして」


「・・・まぁ良いさね、部屋に案内するから、そこで寝とくれ」


「はい」





翌朝、犯罪組織【チンピラ一派】を指をツメた一人を除く全員を鎖と縄でがんじがらめにして引きずりながらギルドへ報告に向かうアクロの姿が見られたとか見られてないとか。





                           つづく



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