出口
ヤンデレ⚠️
駅前は、人で溢れていた。
学生。
会社員。
買い物帰りの主婦。
普通の光景。
なのに。
隼人には遠く感じた。
「ちょっとコンビニ行ってくる」
紬とエマに背を向ける。
返事は聞かなかった。
振り返ったら、行けなくなる気がしたから。
自動ドアが開く。
中は明るい。
店員もいる。
客もいる。
なのに。
誰も隼人を見ない。
横を通っても反応しない。
ぶつかっても謝られない。
まるで空気。
レジに立つ。
「すみません」
声をかける。
無視。
「……すみません!」
大きな声。
店員はそのまま別の客の会計を始める。
隼人の前を通り過ぎて。
存在しないかのように。
怖くなって外へ出る。
息が荒い。
胸が痛い。
周りの音が遠い。
「隼人」
背後から声。
振り向く。
紬とエマが立っていた。
まるで最初からそこにいたみたいに。
「どこ行ってたの?」
優しい声。
責める気配はない。
それが逆に怖い。
「……コンビニ」
「一人で?」
紬の目が細くなる。
「私たち、いるのに?」
手首を掴まれる。
強い。
逃げられないほど。
「もう離れないで」
エマが言う。
「迷子になっちゃうから」
駅へ向かう。
今度は三人で。
改札を抜ける。
電車が来る。
乗る。
座る。
扉が閉まる。
動かない。
いつまで経っても。
アナウンスもない。
周りの人は静止している。
瞬きもしない。
まるで時間が止まったみたいに。
「降りよう」
紬が言う。
三人だけが動く。
ホームに戻る。
その瞬間。
電車が動き出す。
人々がまた動き出す。
音が戻る。
世界が再生される。
隼人は理解した。
ここは。
三人が離れようとすると
世界が壊れる。
エマが手を握る。
「ほら」
紬が反対側を握る。
「一緒にいれば、普通だよ」
逃げ道はない。
最初から。
その夜。
隼人は一人でトイレに行こうとして、気づいた。
ドアの前に。
二人が立っていた。
「どこ行くの?」
逃げることすら、許されない。
――箱庭に出口はない。
こんにちはゆうとんかちです。
今回の話はいよいよ隼人が行動を起こそうとしてるところ迄書きました。よろしければ感想やブックマークなどをしてください。




