外のない世界
ヤンデレ⚠️
翌朝。
いつもの朝だった。
トーストの焼ける匂い。
コーヒーの湯気。
窓から差し込む光。
何もかも、昨日と同じ。
違うのは――
テレビがついていないことだった。
「ニュース見ないの?」
隼人が言うと、紬が首を傾げる。
「必要ある?」
エマは微笑むだけ。
「三人でいるなら、いらないよ」
意味が分からない。
隼人はリモコンを手に取り、電源を押した。
画面はついた。
でも、映らない。
真っ白なまま。
音もない。
「……壊れてる?」
「そうかも」
紬の声はあまりにも軽かった。
まるで最初からそうだったみたいに。
学校へ向かう道。
人はいる。
車も走っている。
日常は動いている。
なのに。
誰とも目が合わない。
近くを通っても、避けられる。
まるで、最初からそこにいないみたいに。
「なあ」
隼人が小声で言う。
「俺たち、無視されてないか?」
二人は顔を見合わせる。
「気のせいだよ」
エマが笑う。
「普通だよ」
紬が言う。
普通じゃない。
教室。
先生が出席を取る。
「——田中」
「はい」
「——山本」
「はい」
名前が呼ばれていく。
隼人は待つ。
呼ばれない。
最後まで。
静寂。
「……先生」
思わず声を上げる。
しかし。
誰も反応しない。
先生は教科書を開き、授業を始める。
まるで隼人が存在しないかのように。
手を上げる。
立ち上がる。
声を出す。
誰も見ない。
誰にも届かない。
心臓の音だけがやけに大きい。
そのとき。
袖を引かれた。
紬だった。
「大丈夫だよ」
優しく微笑む。
反対側から、エマの声。
「私たちは見えてるでしょ?」
放課後。
校門を出る。
誰もいない。
いや、いるのに。
関わらない。
世界から切り離されたみたいに。
隼人は立ち止まる。
「なあ……」
声が震える。
「これ、絶対おかしいだろ」
紬は隼人の腕に絡みつく。
エマは反対側の手を握る。
二人同時に言った。
「何が?」
その瞬間。
世界がやけに静かに感じた。
風の音も、車の音も、遠い。
残っているのは三人の気配だけ。
紬が囁く。
「ねえ、隼人」
エマも続く。
「もう外なんていらないよ」
隼人は振り払えなかった。
なぜか。
本能が理解してしまったから。
ここには出口がない。
――箱庭は完成している。
なんか作ってる途中で、現実すぎるとありきたりかなと思って、少しだけファンタジー系いれてみました。




