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箱庭  作者: ゆうとんかち
5/6

外のない世界

ヤンデレ⚠️

翌朝。

 いつもの朝だった。

 トーストの焼ける匂い。

 コーヒーの湯気。

 窓から差し込む光。

 何もかも、昨日と同じ。

 違うのは――

 テレビがついていないことだった。

「ニュース見ないの?」

 隼人が言うと、紬が首を傾げる。

「必要ある?」

 エマは微笑むだけ。

「三人でいるなら、いらないよ」

 意味が分からない。

 隼人はリモコンを手に取り、電源を押した。

 画面はついた。

 でも、映らない。

 真っ白なまま。

 音もない。

「……壊れてる?」

「そうかも」

 紬の声はあまりにも軽かった。

 まるで最初からそうだったみたいに。

 学校へ向かう道。

 人はいる。

 車も走っている。

 日常は動いている。

 なのに。

 誰とも目が合わない。

 近くを通っても、避けられる。

 まるで、最初からそこにいないみたいに。

「なあ」

 隼人が小声で言う。

「俺たち、無視されてないか?」

 二人は顔を見合わせる。

「気のせいだよ」

 エマが笑う。

「普通だよ」

 紬が言う。

 普通じゃない。

 教室。

 先生が出席を取る。

「——田中」

「はい」

「——山本」

「はい」

 名前が呼ばれていく。

 隼人は待つ。

 呼ばれない。

 最後まで。

 静寂。

「……先生」

 思わず声を上げる。

 しかし。

 誰も反応しない。

 先生は教科書を開き、授業を始める。

 まるで隼人が存在しないかのように。

 手を上げる。

 立ち上がる。

 声を出す。

 誰も見ない。

 誰にも届かない。

 心臓の音だけがやけに大きい。

 そのとき。

 袖を引かれた。

 紬だった。

「大丈夫だよ」

 優しく微笑む。

 反対側から、エマの声。

「私たちは見えてるでしょ?」

 放課後。

 校門を出る。

 誰もいない。

 いや、いるのに。

 関わらない。

 世界から切り離されたみたいに。

 隼人は立ち止まる。

「なあ……」

 声が震える。

「これ、絶対おかしいだろ」

 紬は隼人の腕に絡みつく。

 エマは反対側の手を握る。

 二人同時に言った。

「何が?」

 その瞬間。

 世界がやけに静かに感じた。

 風の音も、車の音も、遠い。

 残っているのは三人の気配だけ。

 紬が囁く。

「ねえ、隼人」

 エマも続く。

「もう外なんていらないよ」

 隼人は振り払えなかった。

 なぜか。

 本能が理解してしまったから。

 ここには出口がない。

 ――箱庭は完成している。

なんか作ってる途中で、現実すぎるとありきたりかなと思って、少しだけファンタジー系いれてみました。

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