歪んだ愛の理由
ヤンデレ⚠️
夕暮れの校庭。
部活の声も遠く、校舎の影が長く伸びている。
隼人はベンチに座り、両隣の二人を見た。
紬とエマ。
いつもの距離。近すぎる距離。
「……なあ」
二人が同時に顔を向ける。
「どうして、お前らは――」
言葉が詰まる。
でも、言わなければいけない気がした。
「なんで、そんなに俺にこだわるんだ」
風が止まった気がした。
紬は少しだけ目を伏せ、
エマは静かに瞬きをする。
最初に口を開いたのは紬だった。
「だって、隼人は私の全部だから」
あまりにも自然な声だった。
「小さい頃からずっと一緒だったでしょ。
隼人が笑うと嬉しかったし、泣くと苦しかった」
紬は手を伸ばし、隼人の袖をつまむ。
「でもね、小学校のとき……
隼人が他の子と遊んでるの見たとき、
胸がすごく痛かったの」
笑っているのに、目が笑っていない。
「そのとき思った。
ああ、この人は私だけのものじゃないんだって」
一瞬、指先に力がこもる。
「だから、奪われないようにしなきゃって」
静かな声。
冗談みたいに優しいのに、底が見えない。
次に、エマが口を開く。
「私はね、最初から一人だった」
日本語は流暢なのに、どこか寂しさが混じる。
「どこに行っても、浮いてて。
友達もできなくて」
隼人の方を見る。
「でも隼人だけは、普通に話してくれた。
特別扱いもしなかったし、避けもしなかった」
エマは微笑む。
「だから思ったの。
この人だけは、絶対に失いたくないって」
手が、隼人の手に重なる。
「一度好きになったら、
もうそれ以外いらないの」
隼人は言葉を失う。
理解できる。
でも、理解してはいけない気もする。
「……重いって思った?」
エマが首を傾げる。
紬も静かに見つめている。
逃げ場がない。
「いや……」
否定しきれない自分が怖い。
そのとき、紬が小さく笑った。
「大丈夫だよ」
耳元で囁く。
「隼人は、私たちから離れられないから」
反対側で、エマも微笑む。
「三人だけで十分だよね」
夕日が沈み、校庭が暗くなる。
その瞬間、隼人は確信した。
これは告白じゃない。
約束でもない。
――宣言だ。
逃げ道は、もうない。
5話目も、一緒に作ったのであとですぐ、出します。もしよろしければ感想などもよろしくお願いします。




