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魔法少女と二代目。  作者: ささかま 02
魔法少女と解体業
26/41

26 未熟なままで

さくら視点。


 孝樹さんはよく、私に危ないことをするなって言う。


 それについてはまぁ、反論できないのでいつも大人しく頷いている。だっていつも魔法少女プリズムトリニティとしてバイデントと戦っているし。

 いくら変身を解くと怪我が治るとはいえ、怪我をするようなことをしている自覚がある。


 でもさ、それはそれとして十分危ないことしていると思うんだよね。

 何かあった時、孝樹さんは絶対誰かを助けようとする。自分一人が襲われた時は動けなかったのに、守らなきゃいけない人がいたら簡単に自分を投げ出せる人。その対象は赤ちゃんを連れたお母さんだったり、その、変身していない時の私だったり……。


 守ってもらえるのは嬉しいのよ。純粋に、心配してもらえて。

 だけど、私はフェアリーピンクに変身できるし、バイデントに対抗できる力がある。むしろ心配なのは孝樹さんの方! この間だって私を庇って怪我していたし、それに、カロンとも会っていたみたいで……。


 何も、されてないよね? 孝樹さん、怪我とかしていても絶対話してくれないし。

 心配されたり、守ってもらえたり。いつもバイデントと戦っている時にはない感覚だし、嬉しいのは本当。でもそれは、孝樹さんに子供扱いされてるんだなぁって。


 すっかり秋めいて肌寒くなってきた。孝樹さんと出会って半年くらいになる。その間、ずっと会う度に話して、時々アプローチ、してたのになぁ。何を言っても子供が何か言ってるって流されちゃう。

 孝樹さんにとって、子供は守るものらしい。そして私も、……カロンも。孝樹さんにとっては、子供でしかないんだと思う。


 ……もしかして、バイデントを操ってるカロンもただの子供だと思ってる? 孝樹さんはカロンがプルート側の存在だとは知らないはずなのに、人間に擬態する前のカロンとも普通に話していたみたいだし。

 だとしたら本当にこの人大丈夫? 子供のフリをした悪い人に騙されたりしない?


「え、何? なんかついてる?」

「ううん。何も」


 隣を歩く孝樹さんをじっと見る。孝樹さんが眉を顰めて不思議そうにこっちを向いた。この前カロンと二人で話していたけど、怪我とかしてないよね?

 何を話していたのか聞きたい。でも私がフェアリーピンクだというのも話していないし、孝樹さんがカロンと一緒にいたのも知らない態ではちょっと話を聞けない。


 チュチュはプリズムトリニティのことやイノセントジュエルについて、人に話ちゃダメとは言っていない。

 けど話せばその分、戦いに巻き込んでしまうかもしれないし、話せない。よね。私だって、孝樹さんを巻き込みたくないもん。


 孝樹さんは、私にとって大切な人で、この人がいるからもっと頑張ろうって思えるの。孝樹さんのいる街を、守りたいって。

 だからって、これ以上カロンと関わってほしくない。なんて、何も知らない孝樹さんに言えるわけがない。


「孝樹さんは……カロンのこと、どう思います?」


 苦し紛れに吐き出してみたけど、孝樹さんは目を丸くするばかりで。

 孝樹さんはきっと知らない。気が付いてない。そのはずだし、そうであってくれないと困る。何も知らないまま、守られていてほしい。


「どうって、別に……どこにでもいる子供だろ」


 少し考えるようにして返された答えに安心する。

 どちらの姿のカロンとも、孝樹さんは何度か会っている。それでも気が付いていないのなら、きっとこれからも気が付かないままでいてくれるはず。


 孝樹さんの横で解体現場を見てはしゃいでいたカロンが、孝樹さんに何かするとは思いたくはない。でもなんだか様子がおかしかったし、やっぱり気になる。

 よくないことだけど以前は楽しそうに街を壊していたのに、最近は切羽詰まったみたいに苦しそうで。


 この間の、バイデントが暴れている現場から孝樹さんを引き離していた件もあるし、孝樹さんにだけは何もしないって、信じてもいいんだよね?


「なんだ? まだケンカが長引いているのか? 気になるなら早く仲直りしろよ」

「そういうのじゃないですよ」

「アイツもまだガキだから、ここはさくらちゃんが大人になって」

「だからそういうのじゃないってば!」


 自分で思っていた以上に大きな声が出た。

 ハッとして視線を上げれば驚いたような、困ったような顔をする孝樹さんがいて。


「わ、悪い。無神経だったな」

「え、あ。私こそ……ごめんなさい」


 咄嗟に謝るけど、出た言葉は戻せない。

 いたたまれない。孝樹さんは私のカロンに対する態度が可笑しくて気にかけてくれてるだけなのに。


 孝樹さんは何も知らないのにこのままカロンから離れて、なんて言い出せるわけない。

 私はただ、孝樹さんを巻き込みたくなくて。カロンが何を考えているのかわからなくて。どうしたら、どうすれば。


「まぁ、その、なんだ。言いたくないなら無理には聞かないけど、……一人で抱え込むなよ」


 困ったように、孝樹さんが笑いかけてくれる。大好きな笑顔のはずなのに、とても苦しい。

 慰めようとしてくれているのはわかる。でも、子供扱いしないで。

 私ちゃんと戦えるんだよ? 皆のことも、孝樹さんのことだって守れるんだよ? だから。


「私、今日は帰ります! ごめんなさい!」


 何も知らないまま。気が付かないまま。

 私に守られていて。



気付いてほしいけど気付いてほしくない。そんな乙女心。

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