ep.6ライバルとの遭遇
美咲が加入し、練習が一層活気づいたある日、顧問の先生から驚きの知らせが入った。「聖龍学園と練習試合をすることが決まった」という言葉に、部員たちは一瞬息を呑んだ。聖龍学園は県内でも屈指の強豪校として知られ、その実力は誰もが知るところだった。
「聖龍学園か…」翔太は興奮と不安が入り混じった気持ちでその名前を反芻した。彼らと対戦することは、実力差を見せつけられるかもしれない。しかし、それは同時に、自分たちがどれほど成長したのかを確かめる絶好の機会でもあった。
「どうする?」田中が冷静な声で尋ねた。
翔太はすぐに決断した。「やるしかない。今の俺たちがどれだけやれるか、試してみたいんだ。」
そして、試合当日がやってきた。聖龍学園の選手たちは見るからに屈強で、全員が統率の取れた動きを見せていた。特にエースである吉村凛太郎の姿が目を引く。彼はまだ試合が始まっていないにもかかわらず、存在感だけで圧倒していた。
「こいつが吉村凛太郎か…」翔太は緊張感を隠せなかった。
試合が始まると、聖龍学園はまさに強豪校らしいプレーを見せ、圧倒的なスピードと正確さで翔太たちを攻め立てた。吉村凛太郎はボールを持つたびに観客の注目を集め、その一つ一つの動作が洗練されている。彼のドリブルは軽やかで、ディフェンダーをいとも簡単に抜き去り、正確無比なシュートで次々と得点を決めていく。
「何だこの人は…」翔太は凛太郎のプレイに圧倒され、ただ立ち尽くすしかなかった。彼のスピード、シュート、判断力はすべて完璧で、どこにも付け入る隙がなかった。
点差はどんどん広がり、翔太たちは次第に心が折れかけていた。