ep.2新しい仲間
翌日、体育館に集まったのは翔太と田中大輝、そして2年生の部員が数人。田中はどこか冷静で、周りをあまり気にしないタイプのようだ。身長が190cmもある彼は、自然とチームの中心に見えた。翔太はまず彼との連携を意識して練習に臨むが、どうにもかみ合わない。
田中は淡々とした口調で、「練習はもっと本気でやったほうがいい」と言った。今までただ形だけの練習をしていた他の部員たちにとって、その言葉は刺激的だった。彼は県内の強豪校からもスカウトされていたが、あえてこの弱小校を選んだという。「理由は聞かないでくれ」とだけ言ったが、その眼差しには何か特別な決意が感じられた。
翔太は田中の指摘を受け、自分ももっと真剣に取り組むべきだと感じた。しかし、他の部員たちはなかなかそのペースについてこれない。休みがちだったり、集中力を欠いたり、翔太の頭の中には「本当にこのメンバーで強くなれるのか?」という疑念が浮かぶ。
「次の試合までに、何とか形にしたいんだ。」翔太は自分に言い聞かせるように呟く。試合は1週間後に控えている。相手はそこそこの実力を持つチームで、翔太たちにとっては現実を見せつけられる機会になるだろう。
「俺たち、勝てるのか?」田中が静かに尋ねた。翔太は自分でも答えがわからなかったが、「やるしかない」とだけ返した。新しい仲間とともに、翔太の挑戦が本格的に始まろうとしていた。