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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

アリオン

作者: 破魔 七歌 
掲載日:2023/08/11

──アリオン。


迎えに来て


あの遥か遠い空の彼方から


天使のようなその翼で いつか微笑んで


そんな風に 空を見上げる


会社の昼休み 夏空


白い入道雲が押し寄せる


あの雲の彼方に なんて


いつかのあの日 あの人は消えて


静かに風が吹き渡る ビルの街並みの向こう


空と海の間 押し潰されそうな心臓 高鳴り


水平線の光る彼方 鳥たちの姿も消えて しばらく


アリオン……


現世とは違う時の流れ 時を背負う者


いつか誰か そう言った 


私に── 風が吹く 会社の昼休み この屋上


遥かに望む 青空 積乱雲の彼方


耳もとを指先で掻き上げる


黒髪が風に靡く どこか 空 漂うように


遥かな時の流れは いつも


人の命を巻き添えにする


アリオン── 


胸に刻まれた想い出 


私には見せようとしなかった


人でも機械でも無い あなたの


心臓 


この国を守るため


確かに感じてた あの時と同じ


見上げる夏雲 


吸い込まれそうな彼方


俯いた私の視界 


足もとのコンクリート 風に靡くリボン 会社の制服


白い人工皮膚 生体識別番号 私の 胸の谷間


アリオン


あなたと同じ 


いつか日常を置いた


今 


遠ざかる地上 


私は時を選べない


アリオン──


ここから飛んだ 


灰色の地面


誰も知りえない暗証番号コード 開くゲート 承認


光る波紋 水面に石 投げ入れたよう 広がる


打ちつけられるより 引き裂かれる心


あなたの居ない世界 私には……


だから


アリオン──ずっと探してた


ごめん……。


「──次元通過システム接続。作動……開始します」 


……きこえるデジタル音声 


何処から? 


耳の奥で 鳴り響いて


あの人の空に抜ける 


白い空間 


見たことのない前世


置いてきた過去


鼓動さえ感じた今


あなたとの未来


超えて──


「──解除。高度5000メートル。着陸時衝撃、一万Gt……」


彗星は──、かつて人類の進化よりも太古


地表に落ちた 


この星より重く 命を削った


もう誰も居やしない


それなのに


アリオン──、私には 


人なんて 姿無くした 心さえ 


アリオン 私には……


何も見えなくて


無くすことなんて 出来なかった


過去よりも 未来よりも


時を超えて


今──


夜になる 


暗黒の空 黒の地平線 雷鳴 光る


どこまでも命絶え どこまでも心忘れ 屍の連なりゆく砂礫


誰が誰なのかさえ分からない


生きてるのか 死んでいるのかさえ


……アリオン


どこにいるの?


生まれ変わろうとしているの? 


もはや 誰も居なくなった荒野 


暗闇の地平線に 赤く輝く大地


灯火の衆群 まるで火の玉のような 


誰かを迎えるような 誰かを送るような


燃え尽きる命 人でも機械でもない その心臓 


残骸に灯る 幾多の灯火


私の体内の 機械デジタル音声──


「──ライフゲージ、確認。残存個体数、1797001。地対空敵機械天使、2525464──……」


まだ 命運ぶ 黒色の天使 なれの果て 人の命も心もない機械天使 


私たちとは 心通わなかった けれど


アリオン……


あなたは


私たちは


誰と戦っているんだろう?


誰かを犠牲に? あなたを犠牲に? 


もう いいはず 


私との 未来は──?


誰かがそう叫んだ


いいえ。 


私が、そう望んだ


機械デジタル音声── 耳の奥の? 頭の中の?


それから


私しかいない 空の真ん中


会社の制服が 風と共に 地表に迫る


秒速


白い人工皮膚 私の


生体識別番号 刻まれた紋様デジタルタトゥー 胸の谷間 


あなたと同じ


影 


アリオン……


広い広い 青空 この空の


ただの真ん中


積乱雲の立ちのぼる彼方 


遥か雲の向こう──


地上からは 見えなかった その先


──いた。


片翼の天使 背負われた大剣 


翼とともに 折れた残骸 


破壊された半顔 


月のような 夜のような


あなたに触れる


アリオン……


それから 雨に

 

空は黒く 


鳴り止まない


鳴り止まない


私みたい


 雷鳴 豪雨 


虚空から生み出された 叡智の犠牲者 


大戦の英雄 今は誰も 知られることのない


かつて


いつかの あの日 私といた


それは──


許されたはずよ 


アリオン……


あなたを


見つけた その背中 黒い片翼


折れた大剣 


どれだけを 終わらない永遠


その中に、闇に 深く 赤く 地に染めて


黒色の雲間より 雨が吹きすさぶ 


未だこの星は 時を刻む


赤い大地


横たわる黒い片翼 天使のよう 白い微笑み と あなた


その寝顔


何度も呼びかけた


アリオン…… あなたの名前


教えてくれた。そう


いつかの屋上 会社の?


それさえも美しく惑わせて


想い出は 知らない誰かが まるで


自分が誰かを知ろうとしてむさぼる それ


世界大戦。


人の命も 機械も 人でも機械でも無い私たちも


その裸も その微笑みも


全てが風と共に奪われた 赤い大地


そんな風に見えた 


地表から雲の残影が削り取られる


もう 日が落ちていた 


黄昏時──、誰そ彼。 


習った 軍人高等学校 この国の言葉 


あなたといた あの時 幸せだった まだ 十代の


許されていた


アリオン──


あなたは居なかった 終焉には誰も 命を燃やす


命の欠片すら残らず


それが 


世界との約束だから


アリオン…… 


アリオン……


あなたの名前


あなたの亡骸


あなたの声を


何度でも呼ぶ


返事が聴こえるまで


あなたに会いたい


アリオン……


アリオン──


私の手の中の アリオン


その残骸


















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― 新着の感想 ―
[一言] かっこいい〜(*´Д`*) アニメーションで360度ぐるぐる視点が変わる映像がイメージ的に湧きました。
[一言]  アニメで、見たくなりました。  絵がついてほしいですが、まずは小説で読んでみたいですね。  神話や天使っぽさに、メカが絡むとか、最強!
[一言] 本格ファンタジー小説みたいで、小説としても読んでみたいと思いました。 まだ全文読めていませんが、また読みにきます!
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