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句読点のない語りを執筆すること
彼は面会が始まるなり矢継ぎ早に話し出し周りにどう思われようが自分の言いたいことをすべて言いつくすつもりでいるようだった彼が話している相手は無精髭を生やした暗い顔をした男で私は男が男に対してこんなにも熱心に話を聞かせているところを見たことがなく彼らは見たところ同郷の幼なじみのようだったここには何人もの囚人がいたが彼らはそのどの顔にも当てはまらず好青年でそこには何かしらの悲劇が潜んでいると思った私がこの喧騒の中で彼らの声に耳を傾けたのはそのようなもの珍しさからだったが耳を傾けただけで私はその話をよく聞くことができなかったというのも私の前にもまたしゃべり続ける人間がいたからでそれは私の妻という立場で物を語り、ほとんどどうすることもできない話だった私の頭はぼんやりとし青年たちの声もいつしか聞こえなくなりだから最初に受けた印象以上のものは何もなかった
これは日本語でやらなくてもよかったか。