SIDE1 幽霊おじさん
痛った!
嗚呼、やはり死んでしまったか……
アイツには手の内はバレていないので取り敢えず一安心。
私はこの世界の闇を解明する為旅をしていた。
そして今回、大きな賭けに出た。
私の手でこの世界を変えるのは無理がある。
そして、私の名は広く知られていて、知っている者の大半からは疎まれている。
世界を変えるのにも協力が要るが、疎まれてた私では無理という訳だ。
――それなら、誰かを巻き込んでしまえば良いだけの話。
「転生者」、正確には「転生の被害者」、はここの知識は無い代わり、絶大な力を持っている。
通常であれば私を見殺しとは相当な無知か愚かかのどちらかだろう。
なんて言ったって私を捕獲すれば有効に活用できてしまうからな。
この事から、アイツに賭けても問題は無い。
死後一年間は魂が残り続けるので、何処かで情報を得て、
緑の宝箱の所までまた来るだろう。
そうすれば必然的に守護者と戦うことになる。
アイツには申し訳無いが、私の計画の駒として動いて貰おう。
こちらだけに利益があるという訳ではないので、駒とはいえ実質の協力関係だ。
だがしかし面倒臭い人物が来たものだ。
救援には感謝してもしきれないくらいだが、よりにもよって、私を追跡していたのが彼女とは……
――死んで良かった気もするな、これなら。
あやつの顔をあまり見たくないのだ。
見るなら百歩譲って良いとして話したくないのだ。
まあ、話す間も無く捕まるだけだが。
因縁の敵だ。
何故私だけに執着するのか、何故私を見つけられるのかが分からない。
アイツもアイツで条件は突破したものの自力で乗り越える力があるかは微妙だ。
この後が心配になるな。
いずれ私が帰ったときに教えてやらねば!
いや、私がアイツに教える義理はあるか?
まあ、眼の前の目標は違えど私とアイツの動く目的は同一。
この世界からの脱出。
私もまた、「転生の被害者」である。