6 インフレがインフレを呼びまくる
……それにしてもなぜおじさんは宝箱の在処を知っているのだろう?
それが永遠の謎だが指示に従っとく。
クマもおじさんも怖いし。
怖いし怖いし怖いし。
「ん?顔が引きつってるようだが」
ヒェッ。
「いーやクマが怖いものでですねえー。クマ恐怖症なんですよねーあはは」
脊髄反射で話してしまった。
脊髄がフルマックスしてるなこれ。
自分でも何言ってんだか分からない。
まあ何とか凌げた様なので良かった。
また暫く歩いた。
やっぱりクマは沢山いたが、おじさんが全て倒してくれた。
おじさんやっぱり物理も強い。
クマが飛びかかったときに腹パンでふっ飛ばしてますよ。
存在自体がチートってスゴインダナー。
怖いけど頼もしい。
本当に頼もしい。
でも怖いが勝ってる気がする。
魔王の側近の気持ちを今なら理解できる気がするぞ。
そして、歩くこと合計二時間程度、無事緑の宝箱があるという場所に着いた。
広すぎでしょ、この森。
山登ってるんじゃないんだからもうそろそろ町に出ても良いと思うんだけどなー。
んで着いた場所もそれはそれでヤバい。
なんだかプロレスのフィールドみたいなフィールドだ。
ゲームで見たことあるやつ。
森の中では無かったけど。
……絶対ボスが現れるな、これ。
と想った矢先にやっぱり派手に地面が爆発し、おじさんに負けないぐらいガタイのいい人が飛び出してきた。
ドッカーンって。
しかもそいつ大きい。
ジャイアントかな?
にしては小さいか。
まあ巨人もどきでいいや。
巨人もどきは言う。
「俺とプロレスで勝負しろ!しなければ殺す!やらなかったら殺す!」
どっちも一緒の意味じゃないか……
唐突に表れては命がけの勝負挑むってバーサーカーかな?
うん、バーサーカーだね。
脳筋極めてるね。
「いいだろう」
かっけーよ!
我らがおじさん!
流石だ、おじさんなら倒してくれるだろう。
……でもあんな重要な宝箱の所にいるボスを一人で倒せるのですかね?
なんか嫌な予感がする。
怖いな、離れておこう。
多分チートVSチートになるからあんま意味ないけど。
その気になれば一瞬で距離詰めれそう。
「コインが落ち次第スタートだ。いいな」
巨人もどきがコインを飛ばす。
物凄い回転がかかりながら落ちていく。
そして地面に触れ、音がした。
試合開始だー!
両者激しく睨み合っている。
両者が動き出す。
両者一気に突撃しております!
爆風みたいなのがすごいです!
うわ、目がやられそうです!
現場の私は目を閉じたいと思います!
でもすぐに爆発音がしたので目を開く。
すると、おじさんがコブラツイストを決められ全身強打していた姿があった。
あっという間でした!
リポートする時間はあったけど。
遠目から状態を確認する。
ピクリとも動いてない。
おじさん、まさかだけど死んだ……?
意外とあっけなくやられてしまったな。
あんな強キャラ序盤に死ぬってどんなインフレ世界だよ。
まあ宝箱ボスなだけある。
他の人はそうでも無い気がする。
てか、自分もこのまま死んでしまうんじゃね?
あ、終わった。
完全にこっち見てる。
そう思っていたら、誰かの影が見えた。
また救世主現る、のか?
「札技・猪鹿蝶」
その瞬間、奴の動きは止まった。
眠ったみたいだ。
一ミリも動かない。
完全に固まっている。
ご都合主義万歳ですわ。
うわ、時間停止じゃん、欲しいわー。
止まってる間に攻撃当てまくってみたいわ。
これはこれでチートしてるな。
どんな人がチート技使ったのか気になるし、技が撃たれた方向を見てみるかー。
その人は、体の一部が機械の女性だった。
なんじゃこれ。
やっぱりファンタジーじゃないではないか。
しかし!
その機械人可愛い。
正直可愛い。
ファンタジーもう既にあのおじさんが壊してたから全然良いんだ。
ちなみに女神とは違ったベクトルの美しさをしている。
女神が神聖な感じだとすれば
こっちはクールビューティー。
これはこれでありかも。
オタク出てるな。
スチームパンク物かよと一瞬思ったが、気にしないでおく。
ここはアニメっぽく言うとするか。
「一体、あなたは……」
よし決まっ
「アンタ馬鹿なの!?いや、馬鹿!馬鹿ね!」
……?
へ?
どういうことですか?
初対面でコレハナイ。
散々ですやん。
散々いわれとりますやん。
「アンタ自分が何してるのか分かってんの!?」
うへぇ、分かりませんわ……。
まさか妄想してたことバレた?
嘘でしょまともに思考すらさせてもらえない世界なの?
いや、ここに来た直後だからこれ以外心当たりが全く無い。
そうやって慌てる自分のことを気にもせず彼女は言葉を続けた。
「あのおじさんは私達に悪影響を与える存在よ、何故協力していたの!?」
知らんがな。
まあ思考読まれてないってことで安心した。
丁寧に知らないってことを言うとしよう、うん。
「いや……まあ仕方なーく、ですね。あんまり分からないので」
怖いので小声で。
陰キャ出てるけど仕方が無い。
この人、他の人と別の意味で怖い。
ゴーイン先輩とも熊ともおじさんとも巨人もどきとも違った意味で怖い。
何があったら短時間でこんな色々なベクトルからの恐怖を感じられるんだ?
下手なホラゲーより怖いぞ?
「聞 こ え な い !」
あ、ぶつぶつ呟いてしまった。
でもそんな怒ること無いだろ。
貴女と会ってまだ5分程度ですが。
夢の美少女が壊れていく……
少女ではないか。
どちらかというと戦闘系の人っぽい。
夢の美軍人壊すなや。
見た目はいいんだけどなあ。
妻にすると面倒臭いやつです、これは。
毎日怒鳴るタイプの人。
家にもこんな感じの奴が居たなあ。
はあ、面倒臭いけどどうにかしなきゃなあ。
「あのおじさんにクマに襲われたの助けてもらったからついていったんです!」
とにかく事実だけ言っとく。
なるべく必死っぽく。
「あっそ。まあ信じないでおくわ。」
テンションの落差が酷いな。
さっきまでキレてた人と思えないや。
……ってか信じないだと!?散々怒鳴っておいて理不尽過ぎるぞ!?
もう既に理不尽な目に散々あってきたから今更変わらんけど。
「信じないって言われまし
「まあこれからアンタは忍耐力を鍛えてもらうわ。訓練場があるから、そこにいきましょ。」
ヒトノハナシサイゴマデキクッテワカリマスカー?
完全に聞く耳もっていないな……
せっかちかな?
せっかちという属性で済む程度のせっかちなら良いんだけど。
私は何を考えてるんだ?
まあとにかく何かしら対応をしよう。
「もちろん、よろしくお願い致します。」
「………なるほど。よし、これから料理はナビサブだけね。アンタ見た感じ筋肉もないヘナチョコだから。」
今私のことディスったよね?
ヘナチョコってなんだよヘナチョコって!
そんなことはさておきそれより重要なこと。
ディスりの件はスルーしてやろう。
優しいからな。
んで、結局ナビサブってなんだ?マップのアプリか?
って思ってたら脳内に、なんか画像が出てきた。
「これよ」
かがくのちからってすげー!
まあ、多分魔法的な何かしらなんですけどねー、
ってふざけてないで見よう。
おお、チャーハンだ!
画像だと量的に半チャーハンだけど。
この料理か、微妙だな。
まあ知らないやつ食わされるより百倍マシなので文句は言わない。
っていうか文句言ったら潰されかねない。
「これよ。分かった? 具材は体作りに最適だからこれを食べなさい」
説明だけして強制的に食わせるとか地獄かよ……
ま、チャーハンなのでよし。
あー、怖い。
怖いしか言えなくなったかも知れん。
こんな状況になったらそら語彙力も低下しますわ。
なんとか声を出してみる。
「は、はい……」
声が震えるよ……
いやいや怖い以外の感想出る人居ます!?
仕方ないだろ!
って私は誰に言ってんだ?
妄想し過ぎだな、恥ずかしい。
そんな妄想をしている間に、想定外の返事が来る。
「もっと声大きく!」
だってよ。
なんと。
このド陰キャに大きくと。
そうか、それは無理だな。
それは無理だろ。
流石に無理だろぉ!
機械人の顔を見ると、明らかに苛ついていた。
これは不味い!
なんでこんな事で怒るのか意味不だけど不味い!
もう勢いで言うしかない!
そうだ、勢いはとても大事。
何度勢いに助けられてきたか数えられないのだ!
いくぞ、さんにーいちっ!
無理!
やっぱ無理無理!
それでも、言わなあきまへんか?
あーそうですか。
大きく息を吸う。
スゥゥゥゥ。
運命をここに懸ける。
「はいっっっっ!」
ちょっと、裏返った、気がする。
返事までキビキビとかどこぞの軍隊かと思ってしまったわ。
いや、この人戦闘系の人だっけ。
まあ声が裏返ったのは仕方ない。
陰キャに大声出させるのが悪い。
とにかくこれでいいのだ。
そう信じるしか無い気がする。
うん、そう信じよう。
「………返事、遅いわよ」
「さーせん」
陰キャですのでねぇ。
越えられない壁なんすよ。
まあ落ち着いてくれただけ良かった。
まあそんなこんなで安地へ行ける気がするので良し。
この調子で果たして生き残れるのやら………?
「さーせんって何よ、あと普通に言えるじゃない」
………あ。
明日から学校始まるので投稿どうなるか分かりません。
なるべく頑張ります。
月曜は予定あるのでどうなるか分かりません。
なるべく頑張ります。