ついていきます異世界先生!
どうも!自分は生まれ変わったら、魔法が使えるファンタジー世界の住人になっておりましたアレンと申します。
転生当初は、「ラノベの主人公のごとくハーレムを!」だとか「内政チートしてみせる!」だとか意気込んでいましたが、日本で生きてきたころからすごい特技があるわけでもなく、転生チートもなかった自分には無理な話でしたね。つら。でもまだ完全にあきらめたわけじゃあない。かつて大人だった自分は勉強の必要性を誰より自覚してるわけだから、良い大学入って、大企業に入ってエリートコース目指してやるんだ。
まあ、そんな感じで、基本的に前世の記憶があるだけで今のところごくごく平凡な自分は、特に何かストーリー性のある過去をもってたりもせず、ごくごく普通に国立魔法学園高等科に入学して、現在は担任が来るのを座って待っているってわけですよ。あ、でもこの魔法学園は偏差値高めの学校だし、頭は悪くないんですよと言い訳しとく。
「アレン、担任どんなやつだと思う?」
「えー、どんなんでも一緒だろ。厳しくねー奴ならいいなってくらい。」
「美人な女教師とかでも当たりじゃねー?」
しゃべりかけてきたのは中等科から一緒のエドワードとオースチン。というか、持ち上がりだからメンバーも知った顔ばっかりだ。高等科入学とは言っても、気持ち的には進級ぐらいのもん。でも、高等科の先生とは全然関わりなかったし、新鮮ではあるなー。まあ、魔法学校ったって、授業自体は前世と何ら変わりない。教科書見て、ノートに板書写して、みたいのだしな。
―――ガララ
担任ぽいの入ってきた!おお、きつめの美人だ。まず目につくのがその長身、180cmはあるんじゃないだろうか。ロングヘアをきっちりとまとめ上げていて、多少のおくれ毛がなんだか色っぽい。顔は眼鏡をかけた知的な美人顔で、年齢は二十代後半くらいに見える。
「私はアナスタシア=アドロフ。このクラスの担任だ。科目は創作魔法学。一年間よろしく頼む。」
アナスタシア先生はつっけんどんな感じで、最低限の自己紹介をした。よろしくと言っているが、全くよろしくする気はなさそうだ。こんな先生に当たるのは初めてで少々面食らう。え、美人だけどこれは当たりなんだろうか??どちらかというと外れでは??
「さて、高等科ではホームルームは存在しない。早速だが創作魔法学のオリエンテーションを始めさせてもらう。」
そうなのだ、驚いたことにこの学校、高等科からホームルームがない。全体のオリエンテーションは事務的なものをすでに受けていて、今日からもう普通にそれぞれの科目の授業が始まるわけだ。そして、担任ともその科目で初めて会うってくらいの関係なのだ。高等科からは担任の先生っていうよりはこのクラスで問題が起こった時に担当する先生くらいの扱いが普通らしい。
「まず、この授業を受ける気のないものは受けなくて結構だ。」
はあ!?え、突き放しすぎでは??いや、必修なんだから受けなかったら卒業できないだろう!?
「あ、あのー質問良いでしょうか。」
「かまわない。」
勇気ある女子生徒が手を挙げて発言する。結構かわいい子だ。おさげで丸眼鏡の委員長ちゃんタイプってとこだろうか。
「この授業は、受けないと単位が取れなくて卒業できない必修授業ですよね。受けなかった人は留年して受けなおせってことですか。」
困惑した様子で質問する委員長ちゃん。そうそう、それが聞きたかった。大人しそうな見た目のわりにきっぱり聞いてくるな。この場では正直助かるぞ。
「ああ、すまない。言葉が悪かったな。受けなくても卒業に必要な単位は出るから問題ない。つまり、今ここにいる全員、退学にでもならない限りは、次回からこの授業に出なくても単位をやろうというわけだ。」
ええ!?いいのかそれ、え、そんなこと言ったら絶対明日からさぼる奴いるだろ。
「もちろん、テストも存在しない。」
「教科書も、ノートも必要ない。」
「ずっと着席している必要もない。」
「生徒間での会話を制限もしない。むしろ、推奨している。」
「飲食も好きに取ってもらって構わない。」
ええ、なんだよそれ、授業になるのかよ。授業料払ってるんだから、いくら楽ちんでも学べないのはごめんなんだが…
「ちなみに、この授業を最後まで受講したものは、私が受け持った授業の半数程度だが、そのうちの9割は難関大学への合格を決め、就職でも大手企業に引っ張りだこな優秀さだ。それが、このめちゃくちゃな授業を行うことが私に許されている理由だな。」
最高です!!!ついていきます先生!!!
作者の昔の実体験をベースに書いてみました。
授業って、先生次第で面白さとか理解度とか本当に変わりますよね。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。