プログラム
カ……カ……ン
クアーン
クアーン
……………………
…………ーン
クアーン
カ……カ……クアーン
駅から数百メートル程手前にある数十年手入れされていない踏切が、不規則で掠れた音を奏で始めた。
踏切の後ろを通り過ぎ、駅のホームに錆が浮いた車体を軋ませてコンピューター制御の無人電車が入って来る。
ホームにも電車の中にも、否、電車が通って来た線路際の住宅街にも商店街にも人の姿は皆無。
ただ、電車の中に人だった物の残骸が転がっている。
未知の伝染病で人類が死滅してから数十年経った今も、コンピューター制御された電車が入力されたプログラムに従って動き続けていた。