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世界をなんとかする簡単なお仕事です  作者: ユナ
満点の星空の下で
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 獣肉の解体には明るい訳でない。が、一応の解体は出来る。哺乳類なら、大体解体の方法は変わらない。が、専門の人間には遠く及ばない。どこまで通用するかわからないが、こういった依頼を受けた方が良いだろう。

 薬草採取なんて明らかに専門の知識が必要なものは手を出すべきではない。

 確実に、より単純な事から始めるべきだろう。それに、正直薬草採取なんてやっていたら確実にそういった類にも出くわすに違いない。

 だったら初めからそれらを対象としていた方がまだ気が休まる。

 クエストナンバーを確認し、受付へと向かう。


「おや、早速ですか。討伐クエスト、ですね。少々お待ちください」


 先程の受付嬢にクエストナンバーを伝えると、また、裏へと引っ込んだ。何かあるのだろうか。

 数分と待たずに、戻ってくる。


「お待たせしました。ノジマユーゴ様は討伐クエストへの参加経験がございませんでしたので、当方にて補助者を選定させて頂きました。つきましては、補助者に同行して頂き、指南を受けていただく、という形になります。当然、報酬も減少してしまいますが、次回からは報酬を形通りに受け取って頂けますので、初回に関してはお許しください」

「いえいえ、こちらこそそういった方をつけてただけるのは非常に助かります」

「それでは、この札をもってお待ちください。補助者と合流しましたら札をまたこちらへとお返しして頂ければ、クエストを開始して頂けることとなります」


 受付嬢が何かの木材で出来た札を差し出す。これを下げていろ、と言う事か。


「当ギルドでは食事処と併設する形で、待合所を作っております。其方の方でお待ちください」


 いやはや、このギルドに来てからは本当に驚かされる。

 ファンタジーの世界に来ているというのに、現実の世界以上にシステムがしっかりしている。本当にそこまで考えていて作ったのかどうなのかは分からないが、向こうでは新人研修をしっかりとしている所なんて、そこまで多くはなかった。

 まして、公務員なんて適当にやれば出来るだろう的な発想で乱雑な教え方をしていた。


「君が、討伐クエストの受注者かな?」


 惚けていると、声がかかった。若い女性の声。

 その方をふと見ると、見た限り十代前半の幼い少女に見える。


「え、と……君が僕の補助者、になるのかな」

「そうだよ、私はエル。見た目は気にしないで、こう見えても私成人しているのだからね?」


 どう見ても幼い。身長もおよそ百三十程度、顔や体つきだって平らで、子供にしか見えない。


「ドワーフと、エルフの血が流れているからね。必要以上に若いんだ」


 ここにきてさらにファンタジー要素が追加された。まさかドワーフとエルフという種族までもいるのか。

 よくよく観察すると、髪の間から尖った長い耳がのぞいている。


「これは失礼しました」

「わかればよろしい。一応私、ギルドクラスはBなんだからね?」


 上から二番目、と言う事はかなりのベテランか。人は見た目によらないというか、常識で語れないというか。

 唐突にファンタジーを追加された気分だ。こう、近代的なシステムを結構目の当たりにして、唐突に純粋な異種族を追加されると、頭が置いてけぼりになった気分だ。


「それじゃあ早速、行こうか」


 待合の札を受付へ返却し、ギルドの外へ出る。

 元々、ある程度の準備は整っていたので、そのまますぐに出発をする。クエストの場所は、王都の町から三日ほどの場所にある宿場町だ。

 定期的に出ている乗り合いの馬車で途中まで乗せてもらう。

 エルと名乗った少女は、その背丈と同じ程の大剣を軽々と背負い、レザーチェストプレートといった、軽めの装備をしていた。どんな筋肉をしているのだろうか。


「そういえば、まだ自己紹介をしていませんでしたね」


 馬車に乗り込んだユーゴは口を開く。


「自分の名前は、ノジマユーゴです。最近こちらに来たばかりで、勝手も分からないのですが、今回はよろしくお願いします」

「へぇ、おのぼりさんか。でも、見た感じもう若くはなさそうだけど、どうして冒険者になろうと思ったの?」

「いや、まぁ、色々ありまして」


 言葉を濁す。他の世界から来た、なんて話は信じてももらえまい。もし話をしたら、なんと思われるか。


「まぁ、生きていれば色々あるわよね」

「所で、エルさんは魔法は使えるんですか?」

「え? そりゃ使えるけど。もしかして何、魔法使えないの?」

「その、なんというか。多分使えるんだと思うんですけどね」

「なんか曖昧だなぁ」

「壁、みたいなものを作ることは出来るんですけど、それ以外がいまいちよく分からなくて」

「へぇ、魔力検査とか属性適性検査とかはしてこなかったの?」

「え、そんなものあるんですか」

「まぁ、その日の体調によって左右されたりもするから、大まかの目安としてだけれどもね。属性は別だよ? 最も伸びやすい属性っていう事を証明するわけだから。別に他の属性が使えないわけではないけどね。まぁ、利き手みたいな感じかな」


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