憎親【にくしん】
掲載日:2019/02/18
誰もが善い心のまま大人になるわけじゃない
誰もが親を敬い
誰もが親に愛されているわけじゃない
殺したいほど憎しみあっている家族も存在る
互いにその機会を探り合い
一日一匙
致死量に満たない毒を食事に混ぜ
じわじわと相手を弱らせて殺す手口を想像し
または
相手の出方次第でいつでも反撃できるよう
頭の中で何度も何度も想像し
殺るか殺られるかの日々を過ごしている人間もいる
それを見抜くことは難しい――――
それは
薄幸そうな一人住まいの中年女
毎日かかさず年老いた小型犬を散歩している背中の曲がった老爺
昼間からコンビニの前にたむろしている若者
いつも笑顔で挨拶してくれる人当たりのいい隣人夫婦
明るく礼儀正しい体育会系の配達員
子供好きで面倒見のいい素朴な女子高生
受験を控えた息子を持つ只今パート先の店員と不倫中のレジ打ち担当の兼業主婦
この中に潜んでいるかもしれない危険因子は
事が起きてからでなければわからない
誰にでも“別の面”があるのだから
※作者はサイコパスではありません。




