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蒼黒のオリジン  作者: ななかい
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プロローグ

 アクションMMORPG「クロス・フロンティア」

 ユーザーからクロフロやCFOなどと呼ばれ親しまれる人気コンテンツ。

 このゲームの醍醐味はPVPであり、ユーザー同士で戦い、勝敗を競うという従来のRPGとはかけ離れたシステムをしているが、この斬新さが人気を博している人気の一つの理由である。

 だが、それだけではない。人気であるもう一つの理由は装備の多種化だ。従来のRPGの醍醐味とも言えるPVE、フィールド内に存在するモンスターを倒すことでレベリングと素材やベースとなる武器を手に入れ、多様な武器を組み合わせて新たなる武器を作り、PVPでその成果を出す、という仕組みである。

 基本の武装ベースとなる武器には現在、大剣、長剣、短剣、槍、斧、棍、鎌、鞭、杖、銃、弓、糸、盾、鎖、刀、槌、籠手、具足がある。例えば、長剣を二つ持つことで双剣、組み合わせることで両剣となる。

 また、このゲームには色彩称号という、所謂ランクというものが存在する。これはPVPの戦績により反映される。

 ランクは下から無色(クリア)、赤銅(カッパー)、白銀(シルバー)、黄金(ゴールド)、宝玉(ジュエル)と分けられている。

 しかし、この色彩称号にはもう一つ上があるという噂がある。クロス・フロンティアPVPモードにおいて無敗であり、他を凌駕する圧倒的なプレイヤーにつけれられる最(・)強(・)の(・)証(・)。

 ―――その色彩は暗き闇色、「蒼黒(ダークマター)」であると。

 だが、この称号を持つプレイヤーはおらず、結局は噂の域を出ないとされていた。

 

 この時は、ま(・)だ(・)・・・・・


 とある日・・・・・その日はとても寒かった。街全体がクリスマスムードに覆われ、イルミネーションが彩る街路はカップルで溢れていた。彼女いない歴=年齢の零児には少し居心地が悪かった。

 足早でその場を後にし、自宅があるマンションに入り込む。

 零児は今年の春に親元を離れ都内の大学に入学した。新しい学生生活と一人暮らしはこの時期にはもうすっかり慣れ、今は長期休暇期間に入ってる。今日は週に3日程度あるアルバイトを終わらせ、帰路についていた。

 部屋に入ると速攻で暖房をつけ、着替えてからPCの電源を付け、ゲームを起動する。スタート画面では看板キャラクターであるエニグマが剣を振り回している。

 クロス・フロンティア・・・・・零児が今現在最も熱中しているゲームである。MMORPGなのだが、このゲームはPVPモードが人気である。

 PVPとはプレイヤー同士で戦うモードであり、FPSなどではPVPが主流だ。

 MMORPGでのPVPモードというのは結構珍しい。しかし、それ故にこの斬新さに零児もハマっていた。

 昨日までは新しい装備を作るためにダンジョンにこもりモンスターを狩っていたが、ようやく素材がそろい新武器を作ることができた。対戦が楽しみで仕方がない。

 早速ログインする。

 零児は「ゼロ」という名前でプレイしていた。よく厨二っぽいと言われたりするが特に深い意味はなく、単に名前が零児だからという理由である。

 所持アイテムを整理し、PVPエリアドームに入る。マッチングを開始し、対戦者のステータスが開示される。

 今回の相手は斧使いだった。それならばパラメータはパワーをベースとして振られているはず、と予想する。

 第一戦、画面の外で零児はつい笑みがこぼれた。

 「さあ、始めようか」

 つぶやくと同時に画面の奥で開始のブザーが鳴った。


 予想した通り、斧使いの彼はパワーにステ振りをしていた。それどころか全振りしているとんでもない脳筋だった。

 動きが鈍いので相手はカウンター狙いの戦い方をしていた。が、レベル差のせいもあってかスピードに対応できず、零児の圧勝となった。

 その後の戦いも全て零児が勝ち、戦績が更新される。零児も満足したので、対戦者にGG(グッドゲーム)と送信しPVPエリアドームをあとにした。

 ロードが終了し画面が映された直後、一通のゲーム内メールが届く。

 開いてみると、そこにはこう書かれていた。



 from:enigma

 クロス・フロンティアのプレイおつかれさん!

 戦績の更新ともに色彩称号が変更されたよ~。

 そしてなんと!今回は新たな舞台が整ったんだ!!準備ができたら下をクリックしてね!!


                «Participation»



 零児は首を傾げた。現在、自分のランクは宝玉(ジュエル)・・・・・一番上のランクのはずだ。

 ランクが下がったのかとも思った。しかし、零児はPVPで引き分けたことはあっても負けたことはなかった。ランクが下がる覚えはないのだ。それに、以前までランクの更新のメールは「from:GM」だった。CFOキャラクターの名義で送信されることはまずない。

 「どういうことだ?」

 多少の疑問はありつつも、通知していなかった新しいイベントだろうと思い、零児は参加ボタンを押してしまった。


 メール文は徐々に文字化けし、画面がバグりはじめた。

 背景には傷だらけの黒い熊・・・・・エニグマが不気味に笑っている。

 そして別の文へと変換されていった。


 【WELL COME TO THE TRUE BATTLEGROUND...】

 ようこそ真の戦場へ・・・確かにそう書かれていた。

 

 瞬間、視界は暗転する。

 これは何かなど理解する間もなくすべての感覚は奈落へ落ち、零児の意識は闇に消えていった・・・・・


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