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りゅうの娘  作者: 猫田33
はじまりの町
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「こんな良い語り手がいる時に来れたのは、運がよかったな。語り手もし城下にきたら私の屋敷を訪ねなさい。できる限り面倒をみよう。場所は林狼千(リンロウセン)と言ったら誰でもわかる筈だ」


「わかりました。城下に立ち寄りましたら訪ねたいと思います」


心持ち丁寧に丁寧に頭を下げる。貴族に気に入られた方が実入りもいいし泊まる場所や場所の斡旋がきやすい。


「うむ、倉泰私は疲れたから寝るがよいか」


「はい大丈夫です。どうぞ休んで下さい」


狼千が出て行くと夕食の宴は自然とお開きになった。はっきりいって眠いから僕も与えられた部屋に急いで戻った。




「長、僕は明日ここを出ようと思っております。長はこれからお忙しくなるでしょうから今のうちにお礼を言いにまいりました」


「そうですか……、もう少しここに滞在してもいいんですよ?」


長はすがりつくような眼差しを僕に向けた。気味悪いのを無視して長に答えた。


「どうしても3月中によりたい所がありまして正月中にでることになりました」


「どうしてもですか?」


「はい、………今までありがとうございました」


頭を下げていた僕は知るよしもなかった。長の目が鈍い金色に光り僕を獲物を見る目で見ていたことなど。




いつもの場所で語った後の長の屋敷への帰り道。僕は夕飯をどこで食べるか歩き回っていた。


「語り手さん」


さすがに僕も突然現れるのに慣れたらしくあまり驚かなかった。だがそれよりもめずらしく彩明が怒っている様子が気になる。


「彩明どうしました」


「人気のない場所にはあまり行かないでください。いくら私が護衛していても………無防備すぎます」


「僕はいい加減大人だしこんな顔してるけど男だよ?それに語り手や旅人が消えた原因そうな二人も昨日のことで起き上がれないよ」


「でも…!何かあってからじゃ」


「確かに僕に何かあったら彩明が貰える手当てが無くなるね。そんなに心配なら先に手当てを出そうか?」


「そんなつもりで……護衛をしようと思ってた訳じゃないです」


「じゃあどんなつもりなの」


彩明は黙って動かない。それを見てよかった気分が悪くなった。


「反論出来ないじゃないか。まぁいいそれあげるよ」


僕は彩明に五十元が入った袋を投げる。二年は、遊んで暮らせる金額だ。


「それじゃ彩明」


彩明はその場から動かず僕をじっと見つづけていた。違うと言ってもいいんじゃないか?





でもしばらくすると


「ちょっといいか?」


僕は裏路地で誰かに襲われ意識を失った。

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