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りゅうの娘  作者: 猫田33
はじまりの町
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「うー、寒い眠い……」


この頃、雪が降るんじゃないかと思うくらい寒い。


「でも朝ご飯は食べたい……」


寒さと眠気を我慢して起きるか、そのまま惰眠を貪るかのどちらか……。


「飯が先に決まってる!寒っ」


そそくさと着替えて飯を買いに行った。


「やっぱり寒い日は温かい辛麺に限る」


朝ご飯は名前通り麺が辛い、だが汁が豚骨で辛さとみごと調和している。


「辛い!でも美味い」


「兄ちゃんいい食いっぷりだね。よし、肉をおまけしよう」


「ありがとうございます!」


朝早く起きると良いことあるなぁ。


「そこの人も食べるのかい?」


振り向くと笠を被った彩明だった。


「彩明食べるかい?」


「私はもう食べました」


そう言った時、彩明の腹が大きく鳴る。


「腹空いてるじゃないか。お金がないなら僕が払うよ」


「お金はあります……でも今食べてはいけないんです」


「宗教的な問題なのか?」


前あった南の人は、ある一定期間食べ物を食べることができないと言っていた。


「どんな生物も食事中油断しますので護衛中は、食べないようにしています」


「僕が食べ終えたら食べる?」


「そういうわけには…」


一際大きな腹の音が鳴った。


「やっぱりそうします」


顔を真っ赤にして彩明は答える。最初から素直に食べればいいのにと笑えた。


「兄ちゃん用心棒付きってもしかしていいとこの坊ちゃんなのかい?」


「僕はしがない語り手です」


「そういや最近、語り手や旅人が消えてるって話聞くなぁ。用心に越したことはないか。前の長の鍔尋(ガクジン)様のときゃあ名前のまんま安心で喜びが多い街だったんだがなぁ。今の長は…」


店主の顔が目に見えて青くなり、僕は店主の見ている方向を見た。そこには鎧を着た人達が何人かいた。


「そこの店主、倉泰様を貶める発言をしなかったか」


「いっ、いぃえ滅相もございやせん」


「ならよいが以後気をつけろ我々は仏ほど慈悲深くないからな」


そう言って鎧の一団は去る。装備は立派だがあまり柄が良いようには見られなかった。


「あの人達はなんです」


店主はさっきより小声で言った。


「自警団だ。鍔尋様の時は、そこらの奴を集めて街と外の見回りをやってたんだ。俺もやれるくらいだったんだぜ?でも今の長になった途端、貴族だけがなれる騎士団ちゅうやつになっちまった。長に意見するなら捕まえて牢に入れるだけでなく店だす権利を失うんだ」


酷いことするなぁまったく。それにそこまでする権利が長にあるのか。


「それで店はどうなるんですか。まさか空き家のままじゃないでしょう」


貿易の街なのだここに店を置けばそれなりに儲かる。


「空き家の方がまだましだ!いかがわしい店や高利の金貸しになっちまう」


「いかがわしい店ってなんですか」


さっきから黙って聞いていた彩明が突然入ってくる。店主が苦虫を噛み潰したような顔をした。たぶん僕の顔も似たようなものになっているだろうが。


「嬢ちゃんにゃ言いづらいなぁ。本当にわからないのかい」


「はい」


「まぁ、あまりいい店じゃないってことですよね店主」


「そう!そういうこった」


「ん……?」


彩明は不満そうだが、いたいけな女の子にいうような店じゃない。


「まぁ置いといて、嬢ちゃん辛麺食べるかい」


「いただきます」

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