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「すみません!すみません!すみません!最近はそんな報告がなかったので大丈夫だと油断しましたぁぁ」
喜安街の長である倉泰様が、色々な水を流しながら僕に謝っていた。倉泰は、20代後半くらいのもやしみたいな体格に、糸みたいな目をした人だ。上に立つ人ってもっと厳つくて横柄な感じだと思うがこんなに威厳がなくて不思議だ。
「やめてください、僕はなんともありませんから。それにただで屋敷に泊めて貰ってますし」
あと侍従の人が僕を親の敵みたいな目でみてるんですけど。
「それだけじゃお詫びになりません。語り手さん!お詫びに夕食をご馳走します」
「ありがたく頂戴します!」
「あ~食べた。さすが貿易の要所の喜安街の長。海の幸、山の幸が美味しい。あと風呂入るだけだな」
着物を脱いで風呂桶に浸かる。人が多い場所での個人の風呂は、贅沢品なので非常にうれしい。
「あーいい湯。そういえば彩明はどこに泊まるんだろ」
「知りたいですか」
「うん、ここらに住んでるわけじゃなさそうだし…え゛っ」
窓の隙間から彩明がいるのが見えた。
「どうしました?」
「なっ、なんでここに!?」
「呼ばれたからです」
「違う、違う!考えごとをしていただけだから」
「失礼しました」
言い終えた後もそのまま彩明はそこに立っていた。
「あとそこにいると落ち着いて風呂に入れないんだけど…」
「なんでですか?」
いやいや、心底不思議そうにいわないでよ。僕が間違ってるかと思うじゃないか。
「お願いだから風呂の間は一人にしてください」
「…わかりました」
彩明は、暗闇の中に消えた。なんだか一部抜けてる子だな?




