2
蓉歌と他者からの視点です。
親の仇と言える叔父様に会える。そのことだけで嬉しくもあり緊張もしていた
まぁ三人揃って冗談を言ってくれたからいくらかましになったけれど
私は、そんなたわいないことを考え叔父様と十年ぶりに対面した
「蓉歌頭をあげなさい」
十年前の記憶と違い覇気が少ない。
「頭をあげなさい蓉歌」
「はい」
頭を上げると髭こそ伸びているものの精悍な顔立ちの皇帝が玉座に座っていた。
「大きくなったな‥‥‥‥。内密な話をしたい皆席を外しなさい」
内密な話とはなんだろうか?
皆が席を外すと私と叔父様だけになった。
「お前は目以外本当にアザレアに似ているな」
皇帝は、目を細めて私を見る。アザレアは、私の母で西の国から来た歌い手だった。西の国から来た見世物一座にいた母に一目ぼれし側室に召し上げたという経緯を持つ。それにしてもなにがしたいのだ?私は、あなたの位を奪いにきたというのにこんな話。
「母さんの娘だから当たり前です。何を仰りたいのですか」
「蓉歌、お前に皇帝の座を譲りたい」
はっ?はぁぁぁあっ!?
「確かにそのつもりで来ましたが普通こういう場合。一悶着あるもんでしょう!?それを簡単に‥‥‥!」
「簡単ではない。余は、この決断をするのに十年かかった」
「どういうことですの??」
「話せば長い。それよりも蓉歌お前は玉座を望んでいるのだろう。そのための敵は余ではない」
なら誰なのだ。私以外に継承権のある人物などいないはず。
「余の正妃、名を冬稟という」
「なぜ?正妃は、継承権は持てぬ筈‥‥」
摂政ならできる可能性はある。しかし身ごもったという話は聞いていない。
「冬稟は人ならざる身。千年以上生きてきた妖狐。見目は麗しいが人間を貶め騙し滅べば良いと思っている」
千年以上生きてきた狐!?彩明より年上じゃないの。
「なぜ??」
「知らぬ。だがこれだけは言える冬稟の企みを潰して余を止めてくれ‥‥頼む」
そう言って叔父様は、私に頭を下げた。何があったか知らないが虫が良すぎる。
「とりあえず冬稟を止めますわ。その後皇帝には、方々へ謝罪していただきますから覚悟して下さい」
今はこれだけで充分だ。
「それから冬稟という方は正妃ですから後宮にいますか」
「あぁそうだ。気をつけなさい。いつもヤーミという幼女と悟りという大きな化け物と一緒にいる」
「そうですか。失礼します」
私は急いで部屋から出た
「一度も杜清叔父さんと呼ばなかった。笑顔でさえも‥‥‥皇帝の座を与えたらいいのかと思ったのに」
そこに牛蛙のように肥えた呂宰相がやってきた。
「河寛皇帝陛下、蓉歌様が皇帝になられる時はぜひ私が後見人に‥」
「駄目だ。下がれ」
「しかし‥後見人は‥」
この馬鹿は、黙って引き下がるつもりはないらしい。かわいい姪に性根が腐った奴を近づけてたまるものか。
「下がれといったのが聞こえぬか呂宰相!!」
「ははっ!」
見た目に反する素早い動きで呂宰相は逃げていく。玉座に残っているのは、表情が暗い男のみだ。
「大切なものを無くし、いらぬものが増えてしまった‥‥」




