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りゅうの娘  作者: 猫田33
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「語り手いよいよやで。ちびらんようにきぃつけや」


「下品な言い方をしないで下さい。まぁ、そろそろ休暇に飽きてきましたし」


僕は、宮城に足を向けた。宮城(キュウジョウ)の目の前に蓉歌様と彩明が待っている。


「来たわね。行くわよ」


「はい」


僕らは終着点でもあり出発点でもある宮城に足を踏み入れた。


などと格好良い出だしをいったが門番に不審がられ止められてしまった


「何者だ!用がないならただちに立ち去れ」


「おい、兄ちゃんその言葉早よう通さんと首飛ぶで‥?まだまだ夢みたいやろ若いんやから」


「何を言って」


「蓉歌様お待ちしておりました。ささっ、どうぞ!門番が失礼いたしました」


「呂宰相さまこちらはどなたですか?いくら呂宰相さまと言っても身元がよくわからない者を‥‥」


すると蓉歌様は、懐から印を出した。印の手持ちには、剣が刺さった竜が彫られている。


「私は三十二代皇帝の娘の蓉歌です。本日宮城に参内するよう書簡が届きました」


続いて達筆な字で書かれた書簡を門番に差し出した。


「しっ!失礼いたしました」


門番は、急いで道を譲りやっと宮城に入ったのだった。


「蓉歌お姉様?私達も一緒に入って良かったのですか」


そういえばそうである。おまけが三人もついているのはどうなのだろう


「まぁなんとかなるでしょ」


丸投げですか‥‥?


「そうそうこれ以上やることあらへんからその場で対処や」


「どうなってもしりませんよ」


そんなこんなで扉の目の前についたがさすがに止められた。


「入っていけないんですか!?護衛も?」


「すみませんが決まりです。こちらで待っていて下さい」


これ以上追い詰めると死にそうなほど顔が白いので止めた。


「蓉歌様なら大丈夫です。いっそ相手殴るくらいの勢いで話した方がいいかもしれませんよ」


「相手を殴るかはともかく勢いよく話すちゅうのはわいも賛成や」


張平と意見が被るのは嫌だな。


「お姉様ならできます。またお茶を飲みにいきましょう」


「いつのまに茶飲みにいったんや?一日一回戻ってたんやで」


戻りすぎでしょう。まったく‥‥。


「女の子の秘密よね~」


「ね~」


蓉歌様が首を傾けて言うと同じように彩明も首を傾けた。そんな仕草が可愛らしい。


「そろそろ入っていただけませんか?」


「ごめんなさい入るわ」


蓉歌様は扉の中に入っていった。


「行ってしまいましたね」


「あぁ行ってしまった」


これ以上僕ができることはない。


「そんな陰気な顔するもんやないで?」


「それもそうだな。ちょっと行ってくる」




「お嬢さんなんで僕らを見ていたの?」


僕は、相手の視線に合わせる為に体を屈める。相手の白髪の少女は、扉の前で話している時からずっと僕らを見ていた。


「面白そうだったから部屋から出てきたのじゃ。案の定あの張平と言う奴は、可笑しくて笑える」


「そうですね」


笑って返事を返すとふと少女に違和感を感じた。この国は、絹の道が通るため様々な人・文化が入ってくる。でもこの少女の服装は珍しい和の国の物だ。


「お嬢さんお名前は?」


「妾の名は夜亞弥姫じゃ。みんなヤーミ姫と呼んでおる。そなたこそ名はなんじゃ?」


ヤーミ‥‥?どこかで聞いたことあるような気がする。でもこの子と面識はない。


「僕には名前がないんです。ヤーミ姫。他の人は、僕を語り手と呼びます」


「妾と違い親がいるだろうになぜ名がない。名は親が与えられる最大の贈り物じゃろう?」


親の記憶などない。あえていうなら師匠が親代わりだった。


「そうですかね?」


「そうじゃ。‥‥語り手殿、名がわかったら嬉しいかの?」


「さぁ?実際聞いてみないとわかりません」


ヤーミ姫は、余計わからないようだ。


「普通は嬉しいと思うがの」


「それならさっきの質問が成り立たないですよ。あとまぁ名前が(ケイ)とか嫌でしょう」


なかなかいないだろうがそういう名前もありえる。


「確かに妾も嫌じゃ。なるほどそういう考え方もあるの」


ヤーミ姫は、一人頷いていた。本当にこの子は、何者なのだろうか。小さい子がうろつける場所ではない。


「それに語り手と言う通り名は気に入ってますし」


語り手と呼ばれたら語り手と認められたということだから嬉しい。


「面白いの語り手。気に入ったついて来るのじゃ。どうしたのじゃ?」


「待たせている人がいるので行けないんですヤーミ姫」


するとヤーミ姫はやけに大人びた笑顔を浮かべ言った。


「大丈夫みな時機に来る」


「どういう意味です‥‥?」


思案していると忙しない足音と共に彩明が現れた。


「語り手さん!危ない!!」


「えっ?」


僕の視界が真っ暗になった。

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