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「最後までご静聴いただきありがとうございます!また明日もこの場でいたしますのでまたお越しください」
拍手と大量の園が、目の前に投げられた。園は夏華帝国の最小通貨で、十園で具なしの麺が食べられる。僕の推測は千園=一元でなかなかの稼ぎ。最近は紙というものが出来て商売上がったり。だがこの街は調子がよかった。
(まぁあの噂がなきゃもっといいんだが)
そんなことを考えていると、きになる気配したからその方向を向くと笠を深く被った少年?がいた。笠の隙間から綺麗な青い目が見えた。少年は目が合ったらどこかに行ってしまった。
(この国でも森の民の色でもない色…もしや西の民か?)
「おい、兄さん露店代出してくれないかなぁ」
僕の肩に手がかけられ振り返り尋ねる。
「長に露店代をお支払いしましたがどなたですか」
「あぁ、だめだめそれは公共ので俺達は民間の取り締まりだから」
いかにも悪いことしてますって顔の人が僕に話しかけている。
「さっすが兄貴!学がある言葉ですね」
その隣は僕の腰元だが成人の顔の男がいた。たぶん地の民だと思うが普通、職人が多いから珍しい。
「黙ってないで払ってくれないか兄さん。それとも恐くて体がうごけないのかなぁ?」
誰が恐がるかこんなとかげの尻尾なんか。でも僕は英雄じゃあるまいし普通ニ人も相手が出来ない。逃げる方向は……。
周りを見渡したが誰もいなかった。笠の人を注視している時みんな逃げ出したらしい。
「下手にでても出さないなら力ずくで貰うぞ!」
考え込み過ぎて行動が遅れた。殴られる覚悟をしたが何もおこらなかった。
「すっ助太刀します!」
男と僕の間に笠の少年が割り込んで男の拳を弾いていた。男もさすがに驚いたのか目を丸くしている。
「小便臭い餓鬼はすっこんでろ!」
「私は八百九十歳だ!」
「十八歳か十九歳の間違いだろ!」
身長や態度で考えると男達の言うとおりに見える……?だが手伝ってくれるのはありがたい。
「感謝します!でも怪我しないでください」
しかし僕の言葉は届いていなかった。
「邪魔です!下がってください」
ものすごーく殺気だっている。二人組の言葉がとても嫌だったらしい。
「わかった…」
僕が後ろに下がると少年は地面の平べったい小石を拾った。
「かかってきなさい」
「ふざけるな!」
兄貴が襲いかかると少年は、兄貴がいる方向の空中を殴りつけた。
「ぐわっ」
「兄貴!?」
兄貴は何もぶつかっていないのに吹き飛んだ。
「……猫より弱い」
「兄貴を馬鹿にするな!」
地の民は、大きな斧を少年に投げる。少年に斧が刺さり絶命する光景が浮かび目を瞑ってしまった。
「危ないです」
そう言いながら少年の指が動く、すると小さい音がして斧が割れた。
「何をした!?」
「普通に石を投げただけです。その人連れて帰ってくれませんか」
「「石を投げただけで割れないから普通!」」
うっかり敵と一緒に突っ込んでしまった。
「これでどうだ!?」
地の民は頭位の石を投げて金槌で打った。石の破片が少年と僕の方へ飛んできて僕は思わず叫んだ。
「そーれっ」
バッーーーーーーン
だが怯えも叫びもせず笠の少年は拍手をひとつした。
すると石は止まって地面に落ちた。地の民は自分の最大級の攻撃を止められた為か青ざめていた。
「すっ…すみませんでしたー」
地の民は兄貴の首もとを掴んで走っていった。でも顔が下向いてたから擦れたって怒られてそうだな。
「ご無事ですか…」
「大丈夫です。ありがとうございました」
「よかった」
「あっ、 お礼としてこれを…」
今日の稼ぎの3分の2を取り出した。我ながら安い命。だが少年は金品を欲求しなかった。
「私は竜滅物語を語っていただかなければ十分です」
僕は竜滅物語が、 成功談だから人気があるので悩んだ。戯曲や絵などにも好んで使われる題材でもある。
(ええぃ!背に腹は変えられない)
「わかりました。金輪際、竜滅物語を語りません」
「やった!ありがとう!」
少年は嬉しそうに叫ぶ。不思議な子だなまったく。
「そういえば名前は?」
「サイメイ!彩色の彩に明星の明」
「彩明?…女の子!?男物着てるから男だと思った…」
「‥‥‥今ならいいか」
彩明が笠をとった。笠の下には年頃の可愛らしい女の子の顔があった。
「ねっ、女の子でしょう。私の目は、日の光に弱いから笠を被ってるんです。もう暗いから大丈夫ですけど」
確かに空に星が昇る時刻になっていた。
「こんなに時間がたってたのか…」
「語り手さん?私を用心棒として雇ってください」
それを聞いて僕は驚いた。腕がたつようだが相手は見た目14歳くらいの少女だ。
「いくら強くても女の子だろう!」
「喜安郷で語り手や旅人が、行方不明になる噂を知らないのですか」
「知ってるが……」
「あと頼まれなくても守るつもりです」
拒否権なし…だけど強さは並み以上…使える。
「わかった、僕の負けだ。彩明を用心棒として雇う」
「影ながら護衛します。何かありましたら名前を呼んでください…」
彩明は高く跳び屋根に乗ってかけていった。でも屋根に登る必要があったのだろうか?




