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りゅうの娘  作者: 猫田33
不撓寺
17/36

「ただいま!蓉歌姉様」


「ただいま」


「おかえり!彩明ちゃん、語り手」


蓉歌は、笑顔で迎えてくれたが不思議なものを持っている。


「なんですかこの大量黒い物は?もしかして火薬の大玉‥‥戦が始まるんですか」


「私が作ったおにぎりに決まってるでしょ!ほらっ!!」


火薬の大玉もといおにぎりを口に入れられた。見た目はともかく塩辛くないし変なものも入っていない。


「味はいいですね。意外におにぎりの塩加減は難しいんですよ」


「やった!誉められた!!」


「私も貰っていいですか?」


彩明は、お腹を押さえて言った。


「もちろん!でもみんなが集まってるから来て」


「みんなって誰です?」


蓉歌は彩明の質問に答える前に腕を掴んで走っていった。置いていかれたけど行き先はわかっているから早歩きでその場所に向かう。


「お久しぶりです住職」


酒は出ないが三十人近くの大所帯だ。うるさくならない筈がない。


「おぉ、語り手久しいな。元気そうで何より」


「えぇ、おかげさまで。それよりこちらに女の子が来ませんでしたか」


「あそこにいるぞ。そんなこわい顔せずとも何かあったら助けに行く」


住職が指差した方向には坊主の集団しか見えない。蓉歌のおにぎりを食べながらしみじみ住職はいった。


「最初来た時緊張したみたいでしたがすぐ打ち解けましたよ。不思議と心の囲いを越えて来る子だね」


「そうですか?僕はどちらかというと囲いを開けたくなります」


住職は突然大声で笑い出した。


「そうくるか!‥‥やっぱり面白いね君は‥‥」


「僕の発言のどこに面白い所があるんですか」


住職が、近くの器からおにぎりをとって無理やり僕に食べさせた。なんで血が繋がってないのにこの親子は、同じことをするかな!?


でもからかわれてイライラする僕をなだめるようにご飯が甘さが身に染みる


「昔からどんな時も食べ物をやると機嫌が直るね。まだまだあるから食べ‥‥‥ない!?」


皿からおにぎりがなくなっていた。住職は、ばたばた走り回る坊主の襟元を掴んだ。


「私の皿からおにぎりをとったのは誰です?」


住職の静かに響く声はとても恐ろしい。


「あのー‥僕です。でも先輩達が大食い大会始めてしまって‥‥‥」


「どこで?」


「あそこ‥‥です」


指差したのは彩明がいる場所だった。住職は無言でその場所に行った。賑やかだった場は、住職が通るだけで静まりかえる。


「お前達!これは百姓が汗水たらして作った米だ!日照りと重税にも負けずに我々に無償でくれた米だ!大食い大会なんぞの遊びで食べるでないわ!!」


鐘の音のように辺りに声が響いた。最初に発言したのは、見た覚えがない若い僧で声を震わせている。


「‥‥すみませんでした」


「私でなく百姓の皆様に態度で示しなさい!それに何も言わぬ者も肝に命じておきなさい!!」


住職は、いうだけ言って元の場所に戻る。


「みんな!おにぎりの追加出来たわよ~‥‥何!?どうしたの??」


蓉歌の所には住職の怒声が届いていなかったようだ。


「蓉歌私の所にくれないか?」


何事もなかったように優しい声音でいった。住職は基本娘の蓉歌に甘い。


「そういえば父さん言ってくれた武術大会の話」


「あぁ、言い忘れていたよ」


住職は、部屋を見渡してから言った。


「二日後、寺で内々の武術大会を開催する!詳しくは今から蓉歌が説明するから聞きなさい」


住職、苦手だからって話が短いし説明もなしですか‥。住職は蓉歌に場所を譲るように後ろへ下がった。


「お父様が言った通り武術大会をするわ。対戦形式で相手が、降伏すればどんな戦い方でも勝ち。審判以外ここにいる全員強制参加だからよろしくね♪」


「もしや僕もですか」


「当たり前よ♪」


嫌な予感が的中した。


「言い忘れてたけど優勝したら一年間当番免除と城下町への旅ね」


それをきいて僧達は色めき立つ。僕には、ありがたみの少ない商品だ。さっき一人だけ謝った僧が嬉しそうに顔を輝かせる。


「蓉歌さん!さっきどんな戦い方でも降伏を言わせれば勝ちといいましたよね」


「えぇ言ったわ」


「なら、剣・棒・槍・弓・柔術・拳闘とかでもいいんですか?」


「んー‥弓以外は刃物使わなきゃいいわ。というより(カン)!言われなくてもわかりなさい。幼児でもこれくらいわかるわよ!」


「あー、はい。すみません」


閑は恥ずかしそうに笑って答えるのでみんな笑っていた。


「これは理解出来なかったり忘れたりしないでね。この不撓寺は、己と民を虐げる権力に不撓不屈の精神でいくのよ!」


蓉歌の言葉に拍手が起こる。


「今日はこれでお開きよ。皿洗い・風呂焚き・寝床敷きの当番は、早く行動しないと寝る時間が無くなるわよ」


それを聞いて何人かが急いで出て行った。


「騒がしかったですね」


「そうですね。いつもは、静かだが客人が嬉しいんでしょう」


住職とそんな話をしていると黙々とおにぎりを食べている彩明が見えた。僕は、住職に断りを入れて彩明の所に行く。


「彩明どうしたの?」


なんで泣きそうな顔でおにぎり食べてるの?


「食べながらでいいから外行こうか」


彩明が頷いたので腕をとって外に出た。意外に細くて何度もこの腕で助けられたのがうそみたいだ。


「ここに座って食べる彩明?」


まだ食べ続けてるので大きめの石に座らせた。僕もその隣に座る。


「彩明おにぎり美味しいかい?」


「うん」


涙ぐんだ声で彩明は返事した。やっぱり嫌なことや悲しいことをおにぎりと一緒に飲み込んでたのか?


「僕じゃ役にたてないのかな」


「そんなことないです!ただ」


「ただ?」


「お坊様に怒られた時‥‥自分が悔しくなった」


なんでそんなこと思うのかわからない。


「彩明は、普通におにぎり食べてただけじゃないか」


「違う、私が‥‥たくさん食べたから面白がって‥」


「彩明は悪くない」


「私‥注意できたはず‥‥‥‥なのにほっといて食べてた」


おにぎりを食べ終わり今度は自分の手を固く握った。


「終わったことは仕方ない。次同じようなことがあったらしてみればいいし。毎回正解ばかり歩ける人はいないと思うよ」


「毎回失敗してる時は?」


「僕には失敗しているように見えないな。きっと彩明は頑張り屋なんだよ」


「そんなことない!語り手さんは‥‥‥私に甘すぎます」


「そうかな?でももう少し肩の力を抜いて周りをみて。僕や蓉歌たぶん驍燿も彩明の周りにいるよ」


彩明が服に顔を押しつけるように抱きついて泣き出した。


「本当にいる?いなくなったりしない?」


「とりあえず今は彩明の前にいるよ」


「‥‥‥‥それでも遠い」


「何が遠いの?」


「ここに来てから語り手さんが遠くにいる気がする。蓉歌お姉様やお坊様といる時とても楽しそう」


住職の時はともかく蓉歌の時そう見えるか?確かに幼馴染だから臣下といえど気楽な雰囲気になっているかもしれない。


「追いかけっこ得意なのに、追いかけても追いかけても語り手さんに追いつけない。頑張らなかったら置いてかれそう‥‥」


「それじゃあ僕はもっと速く走ろうかなっ」


いきなり顔を上げたから顎に頭が当たった。今度は僕が泣きたいんですが。


「なんでそんなこというんですか!‥‥真面目に言ったのに」


「あー痛い、あのね彩明。僕は彩明が一生懸命ついて来ようとするのが嬉しいんです。今まで僕に近づこうとする人はいませんでしたから」


間諜としてとりいることはある。でも近づこうとした人は、いないし寄って来ても僕と同じ間諜だった。


「驍燿さんはどうなんですか」


「驍燿はこれを見たから近づいて来たんだ」


僕は耳飾りを指差した。


「蓉歌の間諜は、みんなこの青い石みたいなのをつけるんだ。二つ役割があって一つは、見分けをつけるため。もう一つは‥‥‥この石の毒で自害して情報をながさないため」


「自害!?」


「そんな顔しなくても最終手段だから大丈夫。それに来年も彩明と蒲公英を植えに行きたいしね」


出来れば蓉歌も連れて墓参りをしたい。荷物は持ち続けなくていい。荷物は降ろすものだ。


「よかった!」


彩明はやっと泣き止んだみたいだ。でも涙に濡れた僕の衣が少し冷たい。


「目赤くなっちゃたね。‥‥もう少ししたら戻ろうか」


「はい」


忘れてたけど言わなきゃいけないことがある。


「彩明、悪いけど武術大会まで留守にするから蓉歌をよろしく」


「なんで留守にするんですか?」


「秘密。だからついて来ないでね彩明」


「いなくならないって言ったのに!」


言わないと黙ってついてきそうだし念のため。地団駄踏んでも駄目なのは駄目だよ。


「今の所ね。戻ろうか彩明。寺の朝は早いよ」


「それは私じゃなくて語り手さんです!」


「フフッ、そうかな?」


僕達は寺の中に戻っていった。


「語り手さん!全くどこ行ってたんですか!?」


「彩明おはよう。場所に関しては秘密だと言った筈です」


あれから武術大会の朝まで僕は出かけていた。帰ってきた途端に彩明に見つかった。


「そういえばおはようございます」


「あら、語り手。寂しいけどしっぽ巻いて逃げたと思ったわ」


「蓉歌様が無理やりだされてもそんなことしません」


「でもまぁ、その様子だと準備万端ね。あー、楽しくない。語り手が恐くて逃げ回る様をみたいのに~」


それが好きだという人に対する態度か!?


「おかげ様でなんとか。いつから武術大会を始めるんですか」


「今からよ。ついて来て」


僕と彩明は、蓉歌について行った。


「本格的ですね」


「でしょう!彩明ちゃんと驍燿に手伝ってもらっちゃた」


僕の目の前には、広場と段々になった四つの観客席、少し高めの椅子が二つあった。よく出来ていると見ていたら頭に固いものが当たる。


「お前二日間どこ行っていた。暇なら手伝え」


驍燿が石を当てたみたいだ。なんだか僕ずいぶん驍耀に頭にものを投げられてる気がする。


「駄目よ~驍燿。語り手には、一番に出てもらうんだから。ほら始めるんだから持ち場につきなさい」


驍燿はしぶしぶ高い椅子に座った。たぶん審判台なのだろう。


「これから武術大会を始めるわ!守るのは二つ、一つは降参と言わせるか気絶させれば負け。もう一つは、刃物など命を奪いかねないものは却下します。以上の二つを守ってください。まずは私の所に語り手と(タク)。反対の場所は、(ジュン)(コウ)ですわ」


僕は最初からか‥‥‥面倒くさい。でも負けても後で住職と蓉歌がこわい。


「語り手さん頑張ってください!応援してます」


一番素直で優しいのは彩明だな。癒しだ。


「いってきます」


「優男じゃないか!!これなら賞品はいただきだぜ」


見たことない顔だから最近入った坊主だろう。何も持っていない所を見ると拳闘か柔術かな?好都合だけど。


「それはどうでしょうか?どんな方法でも相手を降伏させればいいんですよ」


気がつくかな?


「何がいいた‥‥」


蓉歌が坊主の声を遮って叫んだ。


「一回戦を始めます!赤、厠掃除の卓!青、語り手!始め!!」


卓は腕を肩まで上げて僕へまっすぐ走りだした。


「うおりゃー―――!!」


僕は体一つ分右によけて足を卓の腹に入れる。骨の当たらない柔らかい感触がする。卓はよろめきながらも立つが、僕は耳元でこんなことを囁いた。


「卓さん、住職に黙って色街に行きましたね?いやぁ、春蘭が教えてくれましたよ」


卓は顔を真っ青にした。


「不撓寺は女犯禁止のはずですよね~?住職が知ったらどうなるか」


卓は顔が白くなった。気持ちはわかりますよ。僕も怒った住職相手にしたくない。


「どっどこにそんな証拠‥」


僕はいったん離れて口元に手を当てて叫ぼうとした。


「降参です!!降参します!!」


卓が大声で止める。蓉歌はその言葉を笑って聞いた。


「勝者!語り手」


僕は、その場でお辞儀をし広場から出た。


「語り手さんすごいです!相手の方に何をされたんですか?」


彩明が飛びつくように聞いてきた。でも彩明にはお薦めできないな。そもそも彩明が脅しとかできるとは思えない。


「秘密です。彩明の試合はこの次ですね。楽しみにしてますよ」


「精一杯頑張ります!」




「彩明殿はこれにでて大丈夫なのか?」


彩明を見届けるといつの間にか住職が隣に来ていた。


「全く問題ないほど強いです」


「隼は堅実で抜け目がないが大丈夫か」


相手の隼が広場の中に入る。隼は、頭から黒い布のようなものを被っていた。手には、盾と細身の剣が合体したようなものを持っている。


「二回戦を始めます!赤、彩明!青、本堂掃除の隼!はじめ!!」


「寺にきて二十年‥修行の成果を見せる」


その言葉に何人かが息をのむ。隼という僧はそんなに強いのか?


「私も頑張ります」


そういうが二人とも動く気配がない。しかし突然、甲高い音が鳴り響く。


「くっ!指弾‥‥。受けた力が、大きくて手が痺れるな」


彩明が目を見開いて見た。もしや前の石を投げた攻撃がはじかれたのか!?


「熟練した修行者が気と力を合わせてうつ指弾。‥‥‥初めてみたぞ」


住職は嬉しそうな顔をして言った。破壊衝動を抑えても諍いが、好きなら変わらないんじゃないか。


「私がいた所では、もっと早い物がありましたから見えますよ。それでは今度はこちらから!」


隼は彩明に盾でぶつかってきた。彩明は右によけて蹴りを入れようとしたが切り返しが早く剣で受け流された。そしてまた両者間合いをとる。


「両者互角。でも隼はあんな動きをして大丈夫だろうか」


「動きが常人離れしてますね」


そういったら住職が珍しそうに僕の顔を見た。


「調べなかったのか?」


「外で調べても何も出てこない人が住職を含め二人もいました。まるで寺から一歩も出てないみたいに」


そうでもない限り情報が集まらないのはおかしい。


「私と隼は特に寺から出んようにしている。語り手は意味が解るね?」


それだけ外に出ると危険な人物なのか。でもまだ自覚があるから多少はいい。


「彩明殿が何かするみたいだ」


目を広場に戻すと彩明が空中を殴った。そこからまっすぐ隼の所へ風が吹いて黒い布が後方に吹き飛ぶ。すると隼は膝をついて倒れこむ。布が無くなった隼は、地面をのたうち悲鳴を上げる。


「痛い!暑い!降参だぁ!!」


「勝者彩明!早く誰か影がある場所に連れていくか。布を被せなさい!!」


それを聞くと僧の一人が布を被せる。すると隼はヨロヨロ立ち上がり本堂の方に歩いていった。


「なんだったんだ今の‥‥‥?」


「吸血鬼って知ってるか」


住職が突然言い出した。どうやら住職は吸血鬼というものを知っているらしい。


「いいえ」


「吸血鬼は、生き血と暗闇を好み力も強いが光や銀を苦手とする生ける死者だ。隼もその一人なのだよ」


だから光に敏感に反応したのか。いわゆるキョンシーと似たものと考えていいのかもしれない。


「あんなに光を浴びて大丈夫ですか」


「うーむ、抑えていた吸血衝動がでるかもな。‥‥終わった奴に猪か兎でも生け捕りさせよう」


住職は終わった僧を捕まえて山に行かせた。


「よし!次は私の番だからよく見なさい!!」


住職は意気揚々と広場にでた。でも相手の僧は、完全に戦意がなく顔が真っ青だ。


「四回戦!赤、住職の犬延(ケンエン)!青、玄関掃除の天典(テンテン)!はじめ!!」


「こっ、降参です!」


降参を言ったとき住職の拳は、天典の頭に当たる一歩手前だった。天典は、それに気づくと腰を抜かした。


「試合終了!勝者、住職の犬延ですわ」


「短いとはいえ勝負していただきありがとうございます」


住職は、にこやかな顔で天典に手を出す。


「こっ、こちらこそ‥‥」


礼を重んじる住職らしい行動だった。こういう住職だからこそ恐くても寺に残るのだろうだがこっちに戻ってきて住職は。


「全く!消化不良だ!!あー、山に行って猪か兎を採りにいきたい」


台無しです。


「そういえば彩明殿はどうした?二回戦からいないな」


「ちょっと探しに行きます」


「暇だから私も一緒に探そう」


「お願いします」


とりあえず薬堂に行くことにした。彩明が隼を心配して見舞いに行った可能性がある。


「彩明いますか?」


「はい」


案の定彩明は薬堂にいた。中に入ると青白い肌の三十代の男が寝ている。男は短い金髪に碧眼で完全に西の民の見た目だった。


「隼、もう起きていて平気か?血は飲んだのか」


「あぁ、お前が頼んだ奴から鶏をもらった。野生を生け捕りは難しくて民家からもらってきていたけど」


「民家から貰いにいったのを怒りたいが、その前にあなたです隼。無茶な試合をしたうえに太陽を浴びるなんて」


住職は青筋を浮かべて言ったが隼は微笑んでいる。鈍感なのか恐いもの知らずなのかわからないが度胸がある。


「彩明さんと試合した時嬉しくてね‥‥。なかなかいないじゃないか我が輩達と同等かそれ以上のものなんて。だから熱くなってしまったよ」


「まぁ私も楽しみだからお互い様か」


住職は怒りを引っ込めて笑いだしている。


「私も‥‥勉強になって楽しかったです。できれば今度夜にでも指導していただいてもいいですか?」


「いいですよ。そのかわり獣を生け捕りしてください。死んだ獣は飲みにくいんですよ」


「その話私ものっていいかな」


「語り手さんもいかがですか?」


「僕は遠慮しとくよ」


この武道派三人にはついていけない。でも彩明が楽しそうだからいいか。僕は彩明のそばにずっといられない


「語り手さんが一緒じゃなきゃ嫌です」


はて?こんな子だったっけ。


「語り手様、次の試合です‥‥」


坊主が一人やってきたがここにいる面々を見て百面相した。でも見ている側は面白がっている。


「わかりました。ありがとうございます」


笑って答えると坊主は顔を赤らめた。まさかと思うがこれくらいならもしもの時に使えそうだ。


「おーい、清。薔薇には気をつけろよ」


住職に言われたことを清は理解してないみたいだ。余計に好都合。


「和尚様、彩明様は語り手様の次ですから準備してください」


そう言って清は全速力で走っていった。名は体を表すとはよくいったものだ。


「それでは行ってきます」

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