不思議な話
昔はいろいろなものが身近にあって見えていたらしい。今は見えないと思う。
昔は医者は居たには居たが、現代みたいに電子機器も少なくて移動手段もほぼ徒歩であった。
曾祖父ちゃんはある日、とある患者を診てくれと頼まれていた。
曾祖父ちゃんは脱臼や出産など、少々その方面の知識があった。
頼まれていたその患者は、当時だがおそらくもう助からない類の病であったそうだ。
曾祖父ちゃんは夜中の患者の容体が急に変わったと言う知らせに、家をすぐに飛び出して夜道を走った。
しばらく走って、真っ暗な空を走りながらふいに見上げた。
空を大きい一つの流れ星が通り、消えた。
その時曾祖父ちゃんは瞬時に確信を持ったらしい。
患者が亡くなったと。
そして曾祖父ちゃんは患者の家に着いた時、ちょうど今なくなりましたと言われたそうだ。
昔は魂が空を駆けたらしい。
本当だろうか。
祖父ちゃんが言うのだが、魂が祖父ちゃんに礼を言いに来たのだろうと言っていて、ちょっとだけ羨ましいと思った。でも怖い。