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Since711AD  作者: 胡堂 瞬
9/13

タタキ巫女

     一


 叫び交わす声が近づいてきた。その内に意味が聴き取ることができた。

「荷駄じゃぁー!」

 出羽守と骨皮左衛門尉道賢がいる社殿に、誰も正式の報告を持ってくる者はいないらしい。集団が動いていく気配だけが伝わってくる。しばらく待っていたがやはり報告に来る者も指示を仰ぎに来る者もいないので、出羽守と道賢は社殿を出てみた。

 確かに伏見街道を、台車の列が北上中であった。先頭はすでに麓を通過してしまっている。直近の街道を通る荷駄を、こんな近くに来るまで発見できなかったのか。誰も見張りなど立っていなかったのだろうか。出羽守は文句を言いかけて、さらに気がついた。

 細い伏見街道を通る荷駄など襲っても、その荷の量など知れている。こんなものは通るに任せて竹田街道や鳥羽街道を通る大きな荷駄列を襲うべきではないのだろうか。そう言おうとした。

「者ども、かかレぇー。かかレかかレー」

 狂気じみた、しかし完全に意味のない号令を道賢がわめいていた。軍勢と言うより、ただのならず者の一団は山の中腹まで駆け下りて、道賢の声など届くはずのない場所にいるのだ。誰も指揮など執っていない。皆自分勝手に動いていた。

 安全と思っていた稲荷山から暴徒が襲ってきたので、荷駄列に付いていた者たちは荷車を捨てて逃げ出した。牛が牽く車はなく、全て人力で牽いていた。それを見てもこの荷駄がたいした量でも質でもないことはわかる。もしかすると陣への兵糧ではなく、単に農民が都へ米を運んでいただけなのかも知れない。

 列の中間当たりに攻撃をかけたので、中程の荷に群がっている間に先頭の車も後ろの車もとり逃がしてしまった。たいした列でもなかったのに、捕獲できた荷は良くて全体の七割程度ではなかったのではないのだろうか。それでも骨皮左衛門尉道賢は上機嫌であった。

「見たか、出羽守殿。皆恐れをなして抗うことなく逃げ去ってござったぞ」

 いや。そもそも、どうみても農民が台車を牽いていただけなのだ。丸腰で抗うも何もあったものではない。

 翌日、調子に乗った骨皮左衛門尉道賢は竹田街道を通る荷駄列を襲った。これも列が良いだけ通過してから行動を起こしたので、実際に攻撃をかけることができたのは、列の最後尾あたりだった。最後尾から順に台車を襲って行く実に情けない行動を、骨皮左衛門尉道賢は山の上から賞賛した。

「おお! 見事じゃ見事じゃ見事じゃ! 見タカ見タカ出羽守殿、また一台襲いまシたぞ! おお! 次は二台一時に。こレは大戦果!」

 骨皮左衛門尉道賢は跳ね踊るようにして喜んでいた。しかし荷駄の列は、戦闘が行われている場所から半里もの長さに及んでいる。一台二台どころか、十台二十台を奪っても荷駄列にとっては蚊に刺されたも同然でしかない。京への物資を止めたかったら先頭を抑えて引き返させるしかないのだ。

 そのうちに、列の先頭を警護していた騎馬が、ようやく異変に気付いて駆けつけてきた。暴徒は迎え撃つのではなく、一斉に散ってしまった。散開して騎馬の攻撃に備えたのではない、ただ単に逃げたのだ。逃げたところでどうなるものでもなかった。平地に逃げた者はたちまち追い立てられ、斬られ突かれて殺された。稲荷山方向に逃げた者も、ほとんど山にたどりついた者はいなかった。

「オノれオノれオノれ! 卑怯ナ卑怯ナ卑怯ナ!」

 この場合、卑怯でも何でもないが。骨皮左衛門尉道賢は二尺も跳ね上がって口惜しがった。

 報いは即日やってきた。畠山義就が旗本など百騎と徒を率いて稲荷社にやってきたのだ。一応礼節を守って馬を降り、具足のままであったが社殿に頭を垂れた後に齋舘に現れた。

「お尋ねいたす。それがし畠山義就と申しまするが、昨日より稲荷山から暴徒が現れ荷駄を襲っておりまするが。稲荷社はこれをご存じか」

 出羽守は顔色を失っていた。敵が来たというのに、誰一人迎え撃つ者はいない。いや、この場合は却って都合がいいのか。知らぬ存ぜぬで押し通せば良い。

 しかしそうは行かなかった。

「荷駄が止まって早くも困り果てタか惰弱者が! ざまをミろざまをミろざまをミろ!」

 道賢が跳ね狂い踊りを始めてしまった。しかも今度は三尺は跳び上がっている、もはや人間業ではない。

「いかさまこれは!」

 畠山義就が思わず刀に手をかけた。その時、隠れていた道賢の手下が逃げ出そうとして徒に発見され、斬り合いが始まった。道賢は空中でくるりと身を翻し、畠山義就の剣をかわした。そしてぬたりと笑って言った。

「ひかえおろう。吾は八條権現なるぞ!」

「そんな物は知らん!」

 畠山義就はさらに斬りかかった、しかし具足を付けたままで室内で動き回るのは無理であった。旗本達が一斉に矢を射た。同時に数本が道賢の体を貫き、絶叫が起こった。しかし矢と共に床に崩れ落ちたのは直垂だけであった。

「これは!」

「知らぬ! 知らぬ! 何も知らぬ!」

 出羽守は叫びながら社殿の奥に逃げ込んだ。あちこちに隠れたならず者や山伏が次々と追い立てられ、片端から斬られた。

「火をかけよ! 全部焼き払え!」

 武士は命令さえ下れば躊躇はしなかった。秦家が空海のために作り上げた朱の社殿は、おなじく朱の火炎に、次々と包まれて行った。

 羽倉出羽守は煙に巻かれそうになりながら、命からがら八島が池の裏手に逃れ出た。あちこちで畠山の手勢が走り回っている。煙が流れて来る。見つからないように這いずって進みながら、出羽守は初めて心底後悔した。欲に駆られた自らを恥じた。

「宇迦大神。佐田彦大神。大宮能売大神。田中大神。四之大神。我を許したまえ。我を救い給え……」

 樹の下生えを這いずって、伸ばした手が白い足をつかんだ。

「あなや!」

 思わず出羽守は声を出し、這ったまま顔を上げた。足の上には汚れ黒ずんではいるが、緋色の袴があった。一人の巫女が彼を見下ろしていた。

「何を……。しておる」

 出羽守がそう言うと、巫女の額に青筋が立った。

「それはこちらが聞きたいことじゃ! たわけ者めが、勝手に兵など引き入れおって! 」

「無礼な。私を何と……」

「羽倉出羽守という愚か者であろ。知っておるわ!」

 一括されて出羽守は頭を抱えてひれ伏した。

「いつもいつも面倒くさいところにばかり呼ばれる」

 切れ長のつり眼で白い顔の巫女は、六尺はありそうな杖によりかかっていた。杖の先端には小さな金の輪がいくつも揺れて、微かな音を奏でている。出羽守は突然悟った、この巫女はこの世の物ではないことを。

「……どなた様にございますか」

「さあ……」

 巫女は池の向こう側、社殿が燃える様を見ながら言った。

「玉藻とも、阿子女とも名乗ったような気がするが。忘れた、名などたいした意味はない」

「どうかお助けくだされ。お助けくだされ……」

「助けるのは主の命か、それとも魂か」

「死して地獄は嫌でございます。何とぞ何とぞ……」

「生きて地獄と言うのもあるぞ」

「それはもっと嫌でございます」

「たわけ!」

 また出羽守はひれ伏した。

「今ここがどんな有り様かその目を見開いて見るが良い!」

 衣を掴まれて、もの凄い力で無理やり引き起こされた。稲荷社は全て炎と煙に包まれ、まだ逃げまどう者が追い立てられて突き殺され、斬られ、あるいは生きたまま火の中に投げ込まれている。

「どうだ、地獄であろ?」

「……いかさま」

「死して地獄の方がまだましとは思わぬか? 儂もその方が楽で良い」

 いきなり放されて、出羽守は地面に大の字になった。震えて顔も上げられない。

「とか言うと、何をしに行ったと怒られるからの……」

 巫女は杖で地面を突き、出羽守には聞き覚えのない呪を唱えた。

「山から逃れたところで、都も地獄じゃ。さて……、どこに落ちれば良いかの……」

 巫女の前に、ぼうと闇が涌いた。

「行くぞ、付いてまいれ」

「は……」

 巫女について闇の中に足を踏み入れた瞬間、耳の傍で風が鳴った。閃光に目がくらんだと思った瞬間、開けた場所に立っている巫女と自分に気がついた。

「ここは……?」

「稲荷山の、端の方らしいの」

「こ、ここでは逃げたことになりませぬが……」

「おぬし、誰かの恨みを買うようなことをした覚えはあるか?」

「いえ……。あ……、ござい……。いえ」

「あるのかないのか、どっちじゃ!」

「そ、それがしは。恨まれる覚えはございませぬが。何故か……、稲荷を陥れようと企てて、兵と偽ってあぶれ者をあまた引き入れた不埒者が……」

「身に覚えがないと申すか。まあ恨みとはそのようなものじゃ。それで、あそこにおるのがその不埒者か?」

「何ですと?」

 巫女が杖で指した先を見ると、畠山義就に斬られたはずの骨皮左衛門尉道賢が山道をひょいひょいと降りてくる。どこで手に入れたのか、女物の一重をまとっている。

「そ……、そうでございます。あれにございます」

「面白いやつよの……」

「……何がでございますか」

「お主。あの不埒物と、少し話しをしてみろ」

「話し……、とは。あの……」

 何を話すのか解らずうろたえている間に。道賢は山道を降りてきて、出羽守の傍までやってきた。巫女の姿など目に入っていないらしい。

「これはこれわ出羽殿、こんなところにおわシタか。ご無事でナご無事でナ」

「……貴殿は、斬られてはいなかったのか?」

「それがシも無事じゃ無事じゃ無事じゃ。しかし……」

「しかし?」

「出羽殿にナ、生きていられてはな、チと都合が悪いノじゃ悪いノじゃ」

「な、何と仰せられるか?」

「出羽守殿はナ畠山義就の手にカカって死ぬるのじゃ死ぬるのじゃ死ぬるのじゃ」

 道賢は異様な笑い声を上げた。

「これ」

「ひょぁう!」

 巫女に声をかけられて、道賢は二尺も跳び退った。

「何物じゃ。おのれは」

 気だるそうに杖に寄りかかって、巫女は道賢を見据えて言った。

「ぶぶぶぶぶ無礼な無礼な無礼な。これ卑シシシい巫女メメメメが、トトトト疾く疾く疾くイネイネイネ」

 道賢の顔が激しく歪んで涎をたらした。言葉がいっそう怪しく、聞きにくくなった。

「ただの野狐ではあるまいなぁ。元は人か? これ」

「出羽守殿! ソノソノソノ汚らわしい巫女を追イ払ってクダされクダされクダされ」

 巫女が片脚を踏み出し、地面を二度強く蹴った。出羽守はその音を聞いただけであったが、道賢は悲鳴を上げて跳び上がり、その姿勢のまま硬直してしまった。

 巫女の指が五度、鋭い音をたてた。その時出羽守は巫女の片袖が垂れ下がり、その中に何もないことに気がついた。

「おんきりかくそわかそのみあかせやばらしゃきゃけんなんへいしあぶどんかららんおんきりかくそわかおんきりかくそわか」

 道賢の姿が、砂であったかのように音もなく崩れ。また元に戻った。

「ぶひゃぁ!」

 無様な悲鳴を上げて地面に転がった。

「人と野狐が合わさったか。何をやってそんな姿になった。これ、大行事則正!」

 道賢の眼も口も、これ以上ひろがるまいと思うまでに大きく開かれた。そのまま長い悲鳴を引きずりながら参道を転がるように逃げ下って行った。名もない身分の者に斬られて果てたとも言われているが、あの化け物となった大行事則正がそう簡単に死ぬはずがなかった。

「あれはまたいろいろと仇を為す者故、滅してしまった方が良いのだがの……」

「なぜ……」

「滅する時には滅する、滅せぬ時には滅せぬのじゃ。全ていずれ必ず滅する定めだがの」

 巫女はそう言うと身を翻して歩き始めた。

「お……。お待ちくだされ!」

「お主は後は歩いてどこへでも逃れろ、儂はもう還るぞ」

「ど、どちらへお還りに?」

「主の知ったことではないわ!」

「この……。お礼はどのように……?」

「たわけ! さっさと社を建て直せ!」

「か、かしこまってございます。あの……、巫女殿お名を……」

「うるさい!」

 そう言い捨てて道を下って行った巫女が足を止めた。足元で地鳴りのような音がしている。

「よほどの恨みを抱いておるのか、封じるのも難しいわい」

「……は?」

 巫女は身軽に大きな岩の上に登り、再び二度岩を踏み締めた。そして出羽守を見下ろした。

「羽倉出羽守。よいか! まずひとつは儂の足元にある岩。ひとつは船岡山の磐座。もうひとつは……。ええい、丁度良い場所がない。仕方ない、遠いが松尾の社の岩を借りる。このみっつの磐座に妖狐封じの祈願をかけて祀れ。それで当分は出て来られぬ。儂がしてやれるのはここまでじゃ! 後は主らが考えろ」

 命じられた通りに羽倉出羽守は稲荷山の磐座、船岡山の磐座、そして松尾大社に頼んで磐座で妖狐封じ祈願を執り行った。その後の羽倉出羽守がどうなったのか、歴史のどこを見ても名が出てこないのでさっぱり解らない。




     二


 観名が、京都に滞在を続けるための理由が尽きていた。御霊符のことが全くの宙ぶらりんになっている件が理由になりはするが、そっちは観名にとってはあまりにも荷が重い仕事になっていた。

「ご霊符は愛染稲荷さんに預かってもらって、帰ってきなさい」

 京都滞在三日目、遂に叔母にそれを言われてしまった。

「でも……。それじゃ無責任です」

「観名がそこにいたって何かできるわけじゃないでしょ。迷惑になるだけだわ」

 確かに、今のところ観名はトラブルの原因になっていることの方が多かった。それだけに、何かひとつくらい役に立ちたかった。

「でも……。ここで美夜子さんたちのお仕事を見て、勉強したいんです」

「それはわかるけどね、まだだめ。ようやく見習い終わったばかりの巫女がいきなり……。そんな、特殊な仕事なんて」

 雅恵自身は、愛染稲荷社の了解が貰えるのならば。もう少し見学させてもらっても良いと思っていたが、父がひどく心配しているのだ。

「卒業式もあるんだから。今日中に帰ってくるのよ」

 有無を言わさない言葉を最後に電話が切れた。観名は助けを求めるような目で美夜子と由加里を見た。

「帰って来いって言われたんでしょ。まあ仕方ないよねー」

 二日酔いなのか憑依の後遺症なのか、まだぼんやりとした様子の由加里が言った。

「私に姪っ子いて、そんなことになったら。やっぱり帰ってこいって言うと思う」

「観名が、家の命令を無視してまで京都にいなくちゃならない理由はないわ」

 観名にも、ようやく美夜子の表情というものが何となく読めるようになってきた。口調は冷静だが、どうやらかなり落胆しているようだ。

「でも……。私、今帰りたくありません」

「そりゃ、気持ちは解るけどさ」

「私も……。観名がいてくれた方が楽しいけど……」

 決着が付くところを見ることができないまま帰るのは、非常に心残りだった。たった二晩だったが、何だか妙に居心地の良さを感じた本光寺を去らなくてはならなかった。御霊符を美夜子に預け、代わりにこちらで買ったカップと身の回りの物をバッグにしまった。

「ついでだから、どこか観光して行く? 今日は私達の仕事は休みだから」

 観名は元気なく首を横に振った。そんなことをしたら余計に帰りたくなくなる。駅までは、どんなにゆっくり歩いても一〇分ほど。

 途中で、何故か美夜子が駅とは方向違いの道を指示した。さらに何度か角を曲がる。

「もしかして、付けられてる?」

「ええ……。何か気配が付いてくるの」

 由加里と観名が背後を伺うが、尾行者らしい影は見えない。

「駅、行っちゃえば?」

「付けている目的が、観名だったら?」

「あ。それがあるか」

 美夜子が口の中で何かを唱えながら道の端に寄って地面を軽く蹴り、それから何かを踏みにじるような仕草をした。そして変な歩き方で道の反対側まで行き、同じように地面を蹴って踏みにじった。

「なに? 今の?」

「付けてくるのが実体のないものだったらあれで止められる。と思う」

 そのまま今度は駅に向かった。塩小路通りに出たところで美夜子が眉をひそめた。

「だめね、来てるわ」

 京都駅に入り、エスカレーターでコンコースに上がった。少し離れた場所に移動して、付けてくる『何か』を待ってみた。

「……消えたわ。気配が」

「待っていること、バレた?」

「知恵がある相手なら、気がつくでしょうね。結界張ったことも気付いたでしょうし」

 観名もエスカレーターで上がってくる人間に注意を払っていたが、特に何かを感じるような人物は発見できなかった。

 藤森神社の巫女、並河貴子は京都タワーの前で管狐を回収した。サングラスをかけ、携帯で話している風を装って顔を隠しながらエスカレーターでコンコースに上がった。今日は風邪と偽って藤森神社のご奉仕を休んでいるのだ。

 思った通り、エスカレーターの登り口を見通せるあたりに例の三人がいた。無視するようにして新幹線改札の方に歩き、人混みに紛れ込んで背後から様子を伺った。適度に騒音もあるので、管狐の声も何とか聞こえるだろう。

「新幹線乗ろうとしはったら、どないするん? 黙って帰す?」

「カエセ……」

「何しに来はったのか、聞いてみたいんやけどな……」

 三人はややしばらく、そこで尾行してくる者を待っていたのだろう。やがて諦めたのか窓口まで移動した。黒いセーラー服が空席状況の表示を見上げている。

「一人だけ帰るみたいやね、何でみんなで帰らへんのやろ?」

 貴子がタタキ巫女と見当を付けた一人は残るようだ。それなら別に構わない、それにしても声をかけるなら、人がいない方が都合が良かった。

 ふと貴子は、手の中にある竹筒に異様な振動が起きていることに気がついた。

「どないしたん?」

「ヤコ……、大勢……」

 向こうにいる、白い杖を持った一人が顔を上げた。


「……狐!」

 美夜子も駅の中に満ちつつある異様な気配を察知した。

「来たの?」

「誰かが、呼んだか出したわ。それも……。多い」

「多い?」

 当然目には見えないが、京都駅に向かって狐霊が集合し始めていた。乗客の中で、霊的に敏感な人たちは気分の悪さや目眩、突然の頭痛などを感じていた。

「何かありましたか?」

 観名が言ったとたんに、携帯が震えた。

「ちとやっかいなことになりそうじゃの。狐が集まってきておる」

「え? ここにですか?」

「十や二十ではないな、数えきれぬわい。誰が呼んだのかの?」

 由加里は激しい目眩がして、立っていられなくなった。

「美夜子……。ヤバいよ!」

 美夜子もこんな現象は初めての経験であった。あまりにも狐の気配が多すぎて、どう対応して良いのか解らなかった。

「これ観名、吾を出しや。出ろと言えばソレで良い。ちと奴等を追い払ってくれる」

「出ろ」

 観名が開いた携帯をさし上げると、光りではなく熱気でゆらぐ陽炎のようなものが立ちのぼった。

突然、コンコースの中を突風が通り抜けた。あちこちでガラスが音を立てた。もう一度、逆方向に風が走った。

 由加里は突風が吹き渡るたびに、体と頭が軽くなるのを感じた。美夜子も、急速に狐の気配が消えていくのを感じた。陽炎が観名の携帯に戻って来た。

「雑魚ばかりだが、どこかで号令をかけているのがおるな。そいつはただ者ではないぞ」

「ありがとうございました。号令かけてるのって、どこにいます?」

「卯辰の方角じゃ」

 観名は携帯を畳んだ。

「卯辰の方角で、今の狐たちに号令をかけている物がいたそうです」

 券売機のカウンターに縋っていた由加里が、ようやく立ち上がった。

「卯辰は、東からちょっとだけ南よりです」

「何かあったっけ、そっち?」

「辰巳なら伏見さんか東福寺さんだけど、何かあったかしら?」

「観名ちゃん!」

 ふいに由加里が言った。券売機が全部『取扱中止』になっているのだ。改札にも乗客が溜まって駅員が何か説明にあたっている。

「どうしたの?」

「新幹線。止まっちゃったみたいです」

 美夜子の眉間に縦皺が寄った。

「観名を、帰さないってことなのかしら?」

 三人は本光寺には戻らず、パーキングに行ってパジェロミニを出した。車の中から東京に電話を入れ、事情を説明した。JRには悪いが、この状況は観名にとっては大歓迎だった。

「線路の南ですと……。今熊野さん。あとは……、いずみわき寺さん」

後席で観名が地図を拡げた。

「『せにゅうじ』ね」

「美夜子。どっち?」

 美夜子は眉間の縦皺をさらに深くして、考え込んでいる様子だった。恐らく感じようとしているのだろう。

「泉涌寺……。かしら?」

「婆さんに聞いてみて」

 美夜子は『らくらくホン』のボタンを探ってチヌの携帯を呼び出した。

「……出ないわ」

「こっちが今日休むっての知ってるから、どっかに出かけたんだ」

「兵庫の方って、ゆうべおっしゃっていましたよ」

「宝塚だ。婆さんそっちが目当てで、きっとこっちはついでだ」

「えー? 意外。チヌさん宝塚のファンなんですか?」

「そう言えばDVD観てたわ」

 パジェロミニは泉涌寺山道に繋がる細い道に入った。由加里がもう少し注意していれば、続いて右折してきたプジョーに気がついたはずだった。

「えー? 山門そのまんま入っちゃって良いんだ」

「この先、お寺だらけです」

「あ」

 美夜子が声を上げて携帯を出した。

「美夜子です」

「何かあったのかい?」

「今日は何組なんですか?」

「うるさいよ。幕間は短いんだから、用があるんなら早く話しな」

 美夜子は手っ取り早く京都駅での出来事を説明した。

「よりによって泉涌寺かい」

「何か関係するもの、ある?」

「泉沸寺本堂の裏の方に、善能寺って小さい寺があるよ。そこはね、元は八条猪熊通りにあった二階堂稲荷って御旅所が移されたものだよ。それから由来はあまり確かじゃないけど、日本最古稲荷社ってのも善能寺の中にある。しかし、あまり感心しない経緯だね」

「罠だと思う?」

「罠だとしても、あんまりにも見え見えだね。頭の悪い奴が考えた罠だ」

「罠じゃなかったら?」

「さあねぇ……。用があって呼んだのかもね。嫌な感じがしたらすぐ引き返しな」

「はい。切ります」

 美夜子は携帯を畳んでポケットに戻した。二人に説明した。

「確かに怪しすぎ」

 由加里はパジェロミニを停め、カーナビで付近を調べた。

「善能寺ってのは、出てないね」

「さっき山門のところに地図ありました」

 分かれ道のところでターンしてもう一度道を下った。途中で登ってくる銀色のプジョーとすれ違った。一瞬、由加里がバックミラーでそれを凝視した。

「どうしました?」

 観名は特に注意を払っていなかったし、そもそも乗用車とトラックの見分け程度しかできなかった。

「いや……、何でもない……」

 由加里は藤森神社の境内でプジョーを目にしていたのだが、あまりにもうっすらとしか記憶に残っていなかったので、警戒レベルには届かなかった。

 地図で場所を確認したのは良いのだが。山門の外に出てあたりをひと回りしてなくては寺に戻れなかった。おかげで由加里はプジョーのことを忘れてしまった。

 客が戻ってくるのを待つ観光タクシーの後ろにパジェロミニを停め、善能寺へは泉涌寺の裏手に回る小砂利の道を歩かなくてはならなかった。美夜子が足を取られそうで、由加里も観名もそっちに注意が向きっぱなしだった。

「これ……、でしょうか?」

「何か、でかくない?」

 参拝の受付らしい小屋で聞くと、善能寺は石段を下ったところであった。美夜子にはさらに最悪の道だった。観名は何回か美夜子を背負って行きたくなってしまった。ようやく善能寺の門をくぐる三人の姿を、三寶大荒神へ繋がる参道の奥から並河貴子が監視していた。

 善能寺は。泉涌寺の境内の中にある、小さな寺であった。小さいと言ってもお堂が小さいだけで、塀で仕切られた境内はやけに広い。

「あの本堂は……。どう見たって新しいよね」

「あれが稲荷社ですね」

 門を入ったすぐ右に、赤い鳥居と祠がふたつ並んでいた。三人はやや警戒しながら祠に向かい、礼拝を行った。

「何か感じる?」

「……静かね。何も感じないわ」

 美夜子が微かに首を振った。観名は祠の覆い屋根にかけられた額を見上げていた。

「日本最初稲荷神石社って書いてますけど……。これ木でできてますね」

 確かに、祠は見慣れた赤い色で塗られた木造だった。

「お寺の本堂が新しくて、石社が違ってるの?」

 美夜子が困惑の表情を浮かべていた。

「もうひとつ、小さい祠も木です」

「やっぱ、罠?」

 俯いて何か考え込んでいた美夜子が、弾かれたように顔を上げた。二人も少し遅れて気がついた。石畳をハイヒールの足音がやって来るのだ。ただの観光客かも知れないが、美夜子の反応が過敏だった。

 待つまでもなく女性がひとり、善能寺の境内に入ってきた。お堂には向かわず、三人の方に向かってきて鳥居の前で一礼した。観名には、それだけで女性が巫女であることがわかってしまった。膝丈のデニムのスカートにセーターと、どうやらカシミヤらしいコートを羽織っているが。その立ち振る舞いは間違いなく巫女のものである。

「藤森神社の巫女で、並河貴子申しますぅー」

 女性はあるかなしの笑みを浮かべて言った。京都言葉独特の、ゆっくりとうねるようなイントネーションだった。

「昨日。うっとこの境内で、ようよう騒がはったお人たちですなぁ?」

 観名は京都の言葉で話しかけられるのは初めてだったが、意味は理解できた。

「ええ。あん時はどーもお世話になりまして。良いお水たっぷり頂きました」

 由加里の声が尖っていた、社務所の中にいた巫女であることに気がついたのだ。

「ほかのお人にやくたいかかりますよって。あないなことされるとうっとこも困りますー」

 由加里は横に一歩動いて、美夜子をガードできる位置に立った。

「やくたいかけたくてやった訳じゃないんですけどね。何か飛ばしてきたの、あんたでしょ?」

「かなんわぁ、うちが石投げたみたいに言わんどいて。タタキ巫女やのにうっとこに入らはるからあきまへんのや」

 『タタキ巫女』がどのような意味であるのか解らなかったが、その吐き捨てるような口調が全てを物語っていた。観名は、伏見稲荷で美夜子が「黒い巫女ってバレたら塩を撒かれる」と言っていたことを思い出した。

「タタキ巫女ってのは何よ?」

「あら、知らしまへんの? ほかの呼び方いうたら、イタコかも知れまへんなぁ。いろいろよせて、憑かれはって物言わはったり、踊らはったり……」

「ちっがーがな!そんなことしねーよ!」

 由加里が怒って、つい群馬弁が出てしまった。

「ほな。あんたはんはどないな事しはりますの?」

「それ聞いてどうするのよ」

「……あんたはんどこの人?」

「……産まれも育ちも群馬県高崎市ですけど何か?」

「何でそない遠くから、こんなとこまで来はったん?」

「あんたに説明する必要あるの?」

 貴子は由加里から視線を外さず、息をついた。

「あんたはん、しらばっくれてはんの? 昨日うっとこ来はって、今日は京都駅からまっすぐここ来はりましたやんか。あんたはんが、いっとぉ知ってはることですやん」

「昨日からうちらの行動、監視してたんだ」

 由加里はようやく銀色のプジョーのことを思い出した。

「……藤森神社の巫女さんだからって。新幹線止めていいの?」

 思いつきだったが、並河貴子は一瞬怯んだ。

「あれ、うちとちゃいます」

「あんたが付けてきて、あんなことが起こるの。どう考えたって偶然じゃないよ」

「うちのクダちゃいます言ってますやん!」

 『クダ』が何か解ったのは美夜子だけだった。

「ほかの管狐の仕業だったのですか?」

「どこのクダが悪さしたか知りまへんけど、やろ思ったらできる思います。数も多いし」

「クダが、機械とかを操ることができるんですか?」

 貴子はその質問を馬鹿にしたような息をついた。

「クダに昔と同じ御利益貰うても困るやないですか。今、昔の小判山ほど出されても、どないしたらええ思わはります?」

 言われてみれば確かにそうだった。と言うことは、現代の管狐はネット回線の中も走り回るのだ。

「それで……。狐使いの藤森神社の巫女さんが、何の用よ?」

「それ、うちが聞きたいことですぅ」

 由加里は一瞬考えた。

「あたしらが、ここに何しに来たかってこと?」

「はい」

「観光。グルメツアー」

「嘘や。平日のうっとこも、ここも、そないな目的で来るとこやありまへん」

「観光でなかったらさ……」

 由加里はもの凄い勢いで考えた。並河貴子をどう扱ったら良いのか。その本人は巫女によくいる大人しめの外観で、特に危険そうには見えなかった。しかし問題は隠し持っている『何か』だ。

「あたしらがここに来ることに、何か問題あるわけ?」

「ええあります。うちが巫女やってる神社と、うちが大事にしてる神さんのとこに続けて来はったやないですかぁ。それは普通の人が、勤めはってる会社と、住んではる家の周りに怪しい人うろうろされてんのと同じですぅ。えらい気持ち悪いやおまへんか?」

 ひどくまだるっこしい言葉だったが、二秒ほどかかって由加里は理解した。不審人物だと言われてしまったのだ。

「あなたも……、狐を使ってるじゃないですか」

 観名に言われて、貴子はちょっと首を傾げた。

「……うちは確かに管ケツネつこてます。そやけど憑かれとるわけやあらへん。あー、ちょい待って」

 貴子は両手を顔の前で振った。

「こないな話し、しに来たんちゃいます」

「始めたのあんたでしょ」

「そやからぁ……あーもう、せわしのぉて嫌やわぁ……。あんなぁ、話す速度が全然違うからぁ、標準語で話すとね。タタキ巫女は狐落としが仕事でしょ、それがどうして私の周りばっかりウロウロするわけ?」

「……何で最初からそれで話さなかったのよ?」

「かんにんしておくれやす。ここは京都やさかい、京ことばが標準語ですぅ」

「それはスイマセンねぇ。どっちの標準語圏でもない群馬県民でぇ」

「その群馬の人たちが、どうしてここに来ることができたのか。教えてくれませんか? 普通、ここに来る人はいないのに」

 標準語になると、貴子の言葉には冷たさばかりが際だった。由加里は横目で美夜子の様子を伺ったが、美夜子は気配まで薄れていた。

「あんた、やっぱり京都弁で話してた方がいいね」

「うちも標準のは好きやおまへん。まあどっち使こてもええんですけどぉ。ぼちぼちたいぎなことになってきてます。うちが聞いたこと、答えてくれまへんやろか?」

「答えなかったら、狐で何かする気?」

「あの……」

 観名が口を挟むには、どうしても前置きしなくてはならない雰囲気だった。由加里と貴子では険悪さが増していく一方だった。

「藤森神社さんでは。襲われたの、私なんですけど。あれって間違えたんですか?」

「そないなこと、知りまへん。タタキ巫女追い出す言うたのはうちやなくて管ケツネやし」

「でも愛染寺の御霊……」

「観名!」

 美夜子がようやく口をきいた。

「それ言っちゃだめ」

 自分の迂闊さに気がついて、観名は顔が赤くなった。

「なんやそちらさんにも事情があるんはわかりますけどぉ、聞くこと聞かれへんとうち帰られへんのですわ。昨日はただお参りに来た言わはるんならそれでええし、金輪際ここと藤森におみや踏み入れへんと約束してくれはったら、うちはそれで引き下がります」

 数秒して由加里が言った。

「……ごめん。今のところ標準語で」

「今後二度とここと藤森神社にタタキ巫女を連れてこないって約束してくれたら、それでいいわ」

「何でそこまで嫌うのよ。何か恨みでもあるの?」

「何でも何も。タタキ巫女言うたら、伏見はんの愛染寺のものやおまへんか? そないなやすけないもんに、うっとこに来てもらいたくありまへん。それだけや」

「何かわからないけど。その差別、すっごい深くて時代がかってるんだね」

「何言うてはりますのん。差別ちゃいます、資格の問題ですやん。あんたはんはドレスコードを差別や言うて怒らはります?」

 そう言われてしまうと反論できなかった。と言って納得できるはずもない。

「……すいません。京都の神社って、全部そうなんですか?」

「お嬢さんも巫女? どちらの助勤はん?」

「東京の、国立にあります赤穂天満宮です。等々力観名っていいます」

 『赤穂稲荷』と名乗ることができなかった自分が嫌だった。

「はい、よろしゅうに。伏見稲荷はんとうっとこは、ぎょーさん因縁がございましてなぁ」

 観名は、弘法大師が藁を繋いで藤森神社の土地を囲って、とんでもない広さの土地を借りてしまった話しを思い出した。

「伏見稲荷はんがいてはる土地は、元々藤森神社が建っておりましてなぁ。それを弘法さんが来はって。藁たばいっこ分言うてな、稲荷山ぜぇーんぶかって行かはりましたんや」

「え? ちゃんと買ってくれてたんですか?」

「『かって』は標準語で『借りて』な。そいで、それが千と三百年前でな。それからうっとこが毎年毎年祭りのたんびに神輿持って、土地返せ土地返せ言いに行かんならんようになりましてん」

 では藤森神社側から見た歴史的な経緯も合っているのだ。

「弘法大師……さんて、偉い人なのに。どうして、そんなことまでして借りたんですか?」

 観名の質問に、明らかに藤森神社の巫女は意表を突かれた様子だった。

「それは……うちに聞かれても困りますぅ」

「そうですね、すいません」

「ここ、ずいぶんおかしな場所ですね」

 美夜子が初めて貴子に向かって話した。

「どうしてこんなに、境内をスカスカに作っているんでしょうね。まるで、来た人をがっかりさせることが目的みたいですね」

「ここはうちに縁もゆかりもないお寺ですきに、ようわかりまへん」

「こら。さっきあんた『大事にしてる神様』とか言ってなかったか?」

 由加里がまたいらつき始めた。

「……うち、そないなこと言いましたか?」

「言った」

 由加里と観名の声がハモった。

「いけずやわぁ……」

「この稲荷社。本物ではあるけど。これは何かを隠すためにわざわざここに持って来たものですよね。あなたはそれを知っているから、私達がここに来るって知ってたんですよね」

 美夜子の言葉に、貴子が明らかに怯んでいた。墓穴を掘ったことに気がついたのだろう。

「知りまへん」

「あちらのお堂の、後ろの方にあるの。何ですか?」

「何もあらしまへん」

「だったら、行ってみてもいいですよね」

 美夜子は杖で敷石を探って歩き出そうとした。

「あきまへん」

 貴子が立ちふさがった。美夜子が軽く衝突してしまう。

「理由を教えてください」

「関係ない人が行くとこやおまへん」

 こつんと、美夜子の杖が貴子の足元を打った。

「あなた。正中踏んでますよ」

 貴子の顔が紅潮した。誰も制止する余裕もなかった。美夜子の頬が派手な音をたてた。物音ひとつしない山の中で、その音が木々に吸い込まれて消えるまで。全員が凍り付いていた。

「……なに、すんのよ。あんた」

 由加里が呻くように言った。

「だいじょうぶ」

 美夜子は数歩よろけて鳥居によりかかったが、転ばずに言った。倒れ込みそうな様子なのは貴子の方だった。

 紅潮した顔が、今度は蒼白になっていた。走って行くハイヒールの足音が聞こえなくなるまで、全員が動けなかった。

「由加里さん。お堂の裏に連れて行って」

 美夜子の頬に、赤い手形が残っていた。

「ぶたれることまで予想してた?」

「怒らせようとして言ってみたんだけど、ツボ突き過ぎたみたい」


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