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陰キャ後輩が入ってくると思っていたらお嬢様になっていた件

作者: ヤスヤナ
掲載日:2025/10/20

元陰キャ後輩、1年経ち入学したらお嬢様になっていた。

多分ラブコメ。

「わ、私、ライトノベル作家になりたい」

いつも、そう言う後輩がいた。

髪は長いしボサボサで、眼鏡で、なんか畳の臭いがするような子だった。


『ライトノベル作家になりたい』


それを言うことにどれ程の勇気がいるか。読書家の僕にはよくわかる、よくわかるつもりだ。作家になりたいとは思わないから、結局のところ、なんとなくでしかないんだけど。

けど、いつもその後輩は言っていた。

たとえ、周りからバカにされても。


「明日から、また応援できる」

呟く。

差は、1年だけ。

僕は、高校2年生になり、運が良ければ、また、あの子と一緒。


まだ、陰キャなのだろうか、畳の臭いは現役なのだろうか。

まあ、それでもいいし、そっちの方が応援のしがいがあるんだけど。


今日は、入学式。明日から、高校生活。


「とんでもない美人がいるらしいぜ!」「お嬢様だとか!」「明日から楽しみだな!」

教室の中、男子たちが騒いでいる。


お嬢様、お嬢様ね。

まさか、あの陰キャ少女がイメチェン、いやいや、ううん、どうなんだろう。

ま、ないか。




「何でしょう、先輩」

「やっぱり、違うな」

僕は首を傾げる。

「名前は同じなんだけどな。

本当に君、あの陰キャ後輩ちゃんか?」

返事はない。

怒ることなく、何でもなさそうに、冷静と。


今は放課後。

周りには誰もいない。

僕が気になって、この子と放課後に誰もいない所で約束したのだ。

初日から、男子から、女子からも、キャーキャー言われていて、僕は驚いた。そして、こんなに可愛かったか? とも。本当に、お嬢様みたい。ご令嬢みたいな。

約束してくれるということは、この子はあの畳の子で、僕を嫌ってはいないってことなんだろう。好きでもないのだろうが。


ボサボサだった髪はストレートに、眼鏡じゃなく多分コンタクトレンズ。臭いは、畳ではない。恐らく臭いはしない。可愛い後輩の臭いは、知りたくないんだけど。畳は、嫌でもキテたから。

胸は、ないけど。


お嬢様、みたいだな。


「なんか卑しい視線を感じます」

「ああ、ごめんね。

なんか、2年前とは違うから」

「そうですか」

「畳の臭いがしないなとか」

「訴えますよ」

「だからごめんって」

後輩ちゃんはため息を吐く。

いや、後輩ちゃんじゃなく、後輩さん、か?

「確認だけですか?

なら、もういいですね。帰ります。もう私に話し掛けないで下さい。前の私を知っているだけで気安く話しかけてきて、いくら先輩でも迷惑です」

僕は、あの後輩ちゃんに、そう言われて悲しくなる。好きだった訳じゃない。いや、好きだった。好きだったんだけど、それは恋愛じゃなくて、ヒトとしてで。

なんだ、それじゃ、

「もう、ライトノベル作家は目指してないのか」

返事はない。言うまでもないこと、なんだろう。表情も変えず。なんか眉がピクリと動いた感じがしたけど。

「応援したかったんだけどな、折角頑張っていたのに」

また、眉がピクリ。

いや、気のせいだろう。変わってしまったのだから。

「そうだね、変わったんだね。わかった。ライトノベル作家は目指さないと。

うん、話し掛けないよ。頑張ってね」

僕は微笑む。

「ありがとうね、バイバイ」

「ま、待って」

「え?」

「いや、待ってください」




鞄からメモ帳を取り出すと、それに何か書く。

なんか、陰キャがさっき出たような。気のせい?

あ、書き終わったか。何書いたんだろう。

ビリビリ、とちぎると後輩さんは、

「はい」

差し出される。

「私の連絡先です」

「なぜ? もう関わらないんじゃ」

「先輩だけ、応援してくれるから。

あの、2人きりのときしか話し掛けないでくださいね? 私は変わったので」

まだ、やめてはいないらしい。

ホッ、とする。

そして、後輩さんは、挑戦的に、

「あと、今の私がいいってこと、教えてあげますから。昔の私よりも今の、この私の方がいいってことを」







読んでいただき、ありがとうございました。


まさか、陰キャのときから先輩を…?

謎ですね。

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