米田探偵の事件簿*1
こめだ探偵の事件簿:USBメモリと消えた証拠
こめだ探偵事務所の午後は、ちょっとだけ焦げた豆のにおいと、米田の「うーん、これは…たぶん失敗」の声で始まる。
カウンターの上には、逆さまになったフィルターと、なぜかスプーンが三本。
「さつきー、スプーンって、こんなにいる?」
「いらない。ていうか、なんで三本?」
そのとき、ドアが開いた。
すっと入ってきたのは、黒いスーツの女の人。目が真っすぐで、声は少し震えていた。
「USBメモリが…なくなったんです。会社の不正を記録した、大事なデータが入っていて」
米田はうなずいた。真剣な顔をして、メモ帳を開く。
でも、そこには昨日の「コロの好きなクッキーランキング」が書いてあった。
「えーと、まずは…コロに聞いてみようか」
「なんで犬に…」とさつき。
「ゆーえすびーって、ぶすってするやつでしょ?」
ひよりがジュースを飲みながら言った。ストローをくわえたまま、目だけがきらきらしている。
「ぴかぴかしてて、ちっちゃくて、あたし、前にさわったことあるよ。ぶすってしたら、パソコンが『うぃーん』って言った!」
「それだ!」と米田。
「それは、たぶん…正しい」とさつき。
話によると、USBは会議のあとバッグに入れていたが、帰宅すると消えていた。
「会議室には5人いました。誰かが抜き取った可能性があります」
「じゃあ、みんなに聞いてみよう!」
ひよりが立ち上がる。靴は左右逆、髪の毛にクッキーのかけら。
「おねえさん、バッグにおかし入ってた?」
「え?…入ってましたけど」
「じゃあ、USBはおかしのにおいで、どこかに行っちゃったかも!」
米田はうなずく。
「なるほど…USBは、甘いものに弱い。俺もそうだし」
翌日、会社に向かった。
「こんにちはー!たんていです!」
ひよりが元気に挨拶すると、社員がぽかんとした顔で見つめる。
「えっと…どちらの探偵事務所ですか?」
「こめだ探偵事務所です!」
「喫茶店じゃないんですか?」
「両方です!」と米田が胸を張る。
ひよりは社員の机を見て、ある人物の引き出しを指さした。
「ここ、なんか、ぴかぴかのにおいする!」
「USBににおいなんてあるのか…?」と米田。
「あるよ!ぴかぴかのにおい!」
その人物のPCには、USB接続の履歴が残っていた。
「すみません…会社の不正を隠したかったんです」
USBは机の奥から見つかった。
事務所に戻ると、ひよりはジュースを飲みながら言った。
「たんていって、たのしいね!でも、ジュースのほうがすき!」
「ひよりがいなかったら、俺まだUSBって何か考えてたかも…」と米田。
コロは椅子の下で丸くなり、さつきは静かにコーヒーを淹れていた。
今日も、事務所には事件と、ちょっとした笑いと、ぴかぴかの午後があった。
コんちゃポルちゃんとでも読んでください
日常系底辺作家です




