表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幼馴染の身体を意識し始めたら、俺の青春が全力疾走を始めた件  作者:
第6章 天使と悪魔(10月)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/124

第56話 獣の視点、堕ちた天使

 文化祭なんてくだらない。


 ガキどもが、安い材料で、ままごとのような店を出し、内輪で盛り上がっているだけ。

 俺、西園寺さいおんじたくみほどの男が、わざわざ参加してやる価値もない、茶番だ。


 だが、今年の文化祭には、一つだけ見過ごせない「出し物」があった。


 二年五組の「天使の癒しカフェ」。

 そして、そこに舞い降りたという、一羽の可愛らしい天使。


 日高ひだか陽菜ひな


 俺は、その、極上の獲物を狩るためだけに、この、退屈な祭りに足を運んだのだ。


 カフェの前には、案の定、馬鹿みたいな行列ができていた。

 俺は、舌打ちをしながら、その列を横目に教室の中を窺う。


 いた。


 天使の衣装に身を包んだ、日高陽菜。

 短いワンピースの裾から伸びる、白い脚。


 男を誘っているとしか思えない。


 早く、手に入れたい。

 あの、小さな身体を、この腕でめちゃくちゃにしてやりたい。


 桜井の、あのヘタレな顔が、苦痛に歪むのを見てみたい。

 想像しただけで、身体の奥がうずいた。


 俺が、仲間と共に入り口へと向かうと、見慣れた生意気なガキが立ちはだかった。

 橘とかいう、 あの桜井の親友気取りのチャラ男だ。


「いらっしゃいませ。……と、言いたいところですが、あいにく満席でして」


 その貼り付けたような笑顔と、全く笑っていない目が、俺の神経を逆撫でする。


「あ? 満席? いくつか、空いてる席あんだろ」

「いえ、すべて、予約で埋まっておりまして。申し訳ありませんが、お引き取り願えますか、先輩」


 こいつ完全に、俺をブロックする気だ。

 日高に近づけさせないために。


 面白い。 面白いじゃねぇか。

 あの、桜井だけじゃない。こいつもあの女の騎士気取りか。


「……なんだよ、その口の利き方は。客だぞ、俺は」

「お客様は、神様、ですか? ……残念ですが、うちは、天使のカフェなんで。神様より、天使の方が偉いんですよ。……それに」


 橘は、一歩前に出た。

 そして俺の耳元で、囁いた。


「……あんまり、うちの天使たちを汚い目で見ないでもらえますか。……特に貴方については、揉め事が起こるようならすぐ言えと、先生方から言われてるもんでね……」


 その冷たい声に、俺は一瞬だけ背筋が凍るのを感じた。

 だが、すぐに、猛烈な怒りが込み上げてくる。

 このガキが。 俺に説教だと?


「……ちっ。ノリの悪い奴らだな」


 俺は、そう吐き捨てて、その場を立ち去った。

 ここで騒ぎを起こすのは得策じゃない。


 獲物は、ゆっくりと追い詰めるに限る。

 俺は、口の端に歪んだ笑みを浮かべた。


 祭りは、まだ始まったばかりだ。





 文化祭、最終日の放課後。

 俺は、体育倉庫の裏手で、その時を待っていた。

 俺の、完璧なシナリオの最終幕が、今、始まろうとしていた。


「……巧さん、本当に、やるんすか?」


 仲間の一人が不安そうな顔で聞いてくる。


「当たり前だろ。……いいか、お前は、あいつの背後をゆっくりつけてきて、あいつが倉庫に入ったら、外から、かんぬきをかけろ。絶対に、誰にも開けさせるなよ」

「……うす」

「安心しろよ。合意の上だって言えば、誰も文句は言えねぇよ。あの女も、本当は俺に抱かれたいんだからな」


 俺はそう言って、ケラケラと笑った。


 馬鹿な奴だ。

 俺の言葉を、すぐに信じ込む。


 俺が、少しだけ、女をあてがってやっただけで。

 おこぼれ狙いで全部俺の言うことを聞くようになる。

 チョロいもんだ。


 やがて、ターゲットが現れた。


 日高陽菜。


 予定通り、一人で大きな段ボール箱を抱えている。


 まだ、あの天使の衣装のままだ。

 好都合だ。 その方がそそる。


 仲間がゆっくりと天使の後ろを歩いている。

 それを確認すると、自分は、倉庫の中へと忍び込む。


 闇の中で、俺は息を潜め、獲物が罠にかかるのを待った。


 ぎぃ、と、重い音を立てて扉が開く。

 夕日の、オレンジ色の光と共に、日高が入ってきた。


 そして、俺の仲間の手が、外から扉を閉める。


 ――バタンッ!


 ガチャン、と、かんぬきがかかる金属音。

 完璧だ。 これで、この空間は、俺と、こいつだけの密室になった。


「……え?」


 闇の中で、日高が戸惑う声が聞こえる。

 

 可愛い。

 その、怯えたような声が、俺の嗜虐心をくすぐる。


「……だ、誰か、いませんかー! ドアが、閉まっちゃって……!」


 必死に、助けを求める声。

 無駄だよ。 誰も、来やしない。



 俺は、ゆっくりと闇の中から姿を現した。


 スマートフォンのライトをつける。

 その、青白い光の中に浮かび上がった、日高の絶望に染まった顔。


 最高だ。

 最高に、そそる。



「……よぉ、日高」


 俺は、ねっとりとした甘い声で言った。

 彼女の大きな瞳が、恐怖で見開かれている。

 その顔が、たまらなく興奮した。


「……お前が、悪いんだぜ? そんな誘うような格好しやがって」


 俺は、彼女の背中についている、小さな羽にそっと指を伸ばした。

 その指が、彼女の肌に触れる。


「ひっ……!」


 悲鳴を上げて、俺の手を振り払う。


 いい。 その、抵抗が、いい。

 もっと、怖がらせてやりたい。

 もっと、絶望させてやりたい。

 そして、最後には、俺の身体を受け入れさせて、お前を悦ばせてやるよ。


「さわらないで!」

「はっ! いいじゃねぇか、別に。……なあ、日高。俺と楽しいことしようぜ? 気持ちよくしてやるからさ」



 俺は、彼女を、壁際に追い詰めた。

 そして、その細い腕をがしりと掴む。


「……やだ、離して……!」

「うるせぇな。……少し、黙ってろよ」


 俺は、彼女のワンピースの肩口を、乱暴に掴んだ。

 ビリッ、と、布が裂ける音がした。


 ご馳走を頂く、始まりの音だ。

 天使様の白い肩が、ついに露わになった。


 時間もだいぶ経つ。


 そろそろ頃合いだ。

 俺は、彼女を、床に積まれた古いマットの上に、力強く押し倒した。

 彼女は、目を瞑り、もう抵抗する力を失っているようだった。



 いよいよ待ちまったメインディッシュだ。

 獣のような、熱い息が、俺の、口から、漏れる。


「それじゃ、日高。今から、お前を、おいしくいただかせてもらうな」



 俺は、彼女の上に跨った。

 眼下で、涙を浮かべて震える、小さな天使。


 その、絶望に染まった顔を、俺は、心底満足した気持ちで見下ろしていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ