哀れなるかな、無常
灰色の世界で生きている
色彩は失われ、雲まで灰色になっている
墜落して四散した、巨大航空機の骸
白、黒、茶、青、全てが霞んでいる
大嵐の日、全て色彩を失う感覚
線路からはみ出し、鉄錆びる電車の列
世の中を覆う厭世観、ニヒリズム
暗闇が全てを塗りつぶす
広がる廃墟の中で、ネズミの目だけが光っている
地面を掘れば、廃油で腐敗した粘着質の沼
空を飛べば、灰が漂い黒い雨が降っている
海は、汚染され黒いプラスチックで覆われている
ここは未来のことだろうか、否
今、すぐそこの世界に他ならない
廃墟の中で、最後の人間たちが集まっている
餓えと渇き、汚染され尽くされた世界で
最期の時を待っている
間もなく、灰色の世界が訪れる
黒い雨が、震々と黒い海に堕ちていく
永遠、輪廻の終焉へ
天には両界曼荼羅、地には響く読経の声
廃虚となった国会議事堂
泥に半分埋まった赤色のコカ・コーラの空き缶
哀れなるかな、無常