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3.お弁当が良い

「ん?」


「なんの匂いだ?」


僕がお弁当を開けると2人は顔をしかめた。中から香っている独特の香り。約束通り、巳波ちゃんは○液を入れてくれたみたい。丁度良くハンバーグにかかってるね。いっただっきま~す。


「おい。変な匂いしてるのにそのままいったぞ!?」


「例え腐ってても立川は躊躇しそうにないな。恐ろしい」


躊躇せずにお弁当を食べる僕を見て、友達は若干引いていた。確かに、腐ってるものでも躊躇せず食べるけどさぁ。そんなに引かなくてもよくない?ただちょっと人より食べ物に執着が強いだけなんだから。

これは個性だよ。個性。


「あっ。水もってくるの忘れてる。……俺、自販機でジュース買ってくる」


「むっ。それならば、俺も一緒に行こう。丁度茶を飲みきってしまっていたとかろだったんだ」


友達も食べようとしたけど、飲み物がないみたいで買いに行っちゃった。そうなると一時的に僕はぼっち。悲しいので、この匂いの原因でもある隣の巳波ちゃんに声をかけちゃおう。


「巳波ちゃんは今日もパン?」


「え?あっ……うん。パン」


そう言って見せてくれるパンからは、いわしの頭が飛び出ていた。

いわしパンだね。この学校の購買で1番不人気なメニューらしいけど、巳波ちゃんは好きなのかな?


「おいしいの?」


「う、ううん。おいしくない。……でも、1番競争率が低いから」


「そ、そうなんだ」


僕と同じで、味には無頓着だったりするのかな?でも、一瞬嫌そうな顔をしてたから本当に美味しいとは思ってないと思うんだよね。他のパンは競争率が高いから、巻き込まれたくないって気持ちは分かるけど。

……あっ。そうだ。


「じゃあ、今度お昼作ってきてあげようか?」


「……え?」


呆けた顔になる巳波ちゃん。目元は隠れてて普通の人よりは表情が読み取りにくいけど、今の表情は分かりやすかったよ。理解が追いついてないって顔だね。


「ど、どういうこと?」


「そのままだよ。僕が巳波ちゃんにお弁当作ってきてあげようか?っていう話」


「……い、いいの!?」


「当たり前じゃん。美味しくないモノ食べるなんて、もったいないでしょ」


僕みたいに何でも美味しく食べられるなら良いけど、美味しくないなら無理して食べなくても良いよね。僕が美味しいお弁当を作ってあげれば良いんだよ。


「で、でも立川君のお弁当はお母さんがつくるんじゃ」


あっ。それも知ってるんだ。そういえば昨日も髪の毛をお母さんのとか言ったんだったけ?それで覚えてたのかな。


「そういうことにしてるけど、いつも自分でつくってるんだよ」


「そ、そうなんだ」


こういうことは、それこそ友達には言えない。巳波ちゃんくらいに微妙な距離がある方が、踏み込まれないから言いやすい。なんでお母さんは作ってくれないの?なんて聞かれても辛いだけだからね。


「で、でも私、お金はそんなに払えないし」


「ふふっ。お金なんていらないよ。僕の分をちょっと多めに作れば良いだけだし」


「そ、それに皆の前で渡されても、そういう風に勘違いされるかもしれないし……」


そう言う風って、カレカノの関係って事だよね?僕は別にそういう風に見られても良いけど、巳波ちゃんは嫌なのかな。


「うぅん。それなら、巳波ちゃんの家まで届けに行こうか?僕は朝早いから」


「うぇ?……そ、それはそれで親がいるし………じゃ、じゃあ、私が立川君の家に」


おぉ。僕の家に来てくれるんだ。それは良いかもね。僕もわざわざ時間かけなくて済むし、………あと、そういうことだよね?

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