勉強会II
生徒会の仕事を終えて部屋に戻る。
「ただいま~……って何だこれは。」
リビングの隅に置いてある机に突っ伏して何かをぶつぶつ唱えているフレイとグレンが、その前に金髪で俺の分身が仁王立ちしていて、他のメンバーは全員大きな机を囲んで和気あいあいと食事をしていた。
「ルーチェ、何この状況?」
「あっ、マスター!おかえりなさい!」
「ああ、ただいま。それであの暗雲を背負ってる二人と背後に阿修羅のスタンドを出してる一人に何があったんだ?」
入り口近くの椅子に座っていたルーチェに声をかけて明らかに別世界を作り出している三人について聞く。
「ああ……あれはですね―――――――――」
ルーチェの説明をまとめるとこうだ。
俺の分身が二人に勉強を教えていたが二人に集中力が無さすぎて難航→そこで一旦食事にして休憩しようとイロハが提案→その提案を聞いた二人が歓喜のあまりイロハに抱きつこうとする→分身激怒→イロハと二人でボコボコ+飯抜き+分身の説教←イマココ。
「なるほどなるほど……ちょっと殺ってくる。」
「ストップストップ!何でまた暴〇公を出すの!?」
「離せユウヤ!奴らを殺らねば怒りが治まらん!」
「いや!洒落にならねえから止めろ!」
《影魔法》【シャドー・プリズン】
「甘いわコウガ!!俺を止めたくばこの3万倍の強度は持ってこい!」
「うわ!壊された!」
その後ユナに怒られたので止まりました。
「で、勉強はどこまで進んだんだ?」
「あ~ようやくフレイは薬学を40点とれるようになったとこで、他はまだ30点止まり。グレンは未だに全教科20点代止まりってとこだな。フレイはともかくグレンはとても間に合わないな。」
「ふーん……。」
コウガから報告を受けて思考に意識を切り替える
こいつらはバカだけどコリー書記みたいに素直ではないからなぁ……単純なくせに無駄に勘は鋭いし。
「仕方ない。フラス。悪夢珈琲を2杯淹れてきてくれ。」
「了解~、ミルクはどうする~?」
「ブラックでオーケーだ。」
「わかった~。」
リカの使い魔であるフラスを勝手に召喚して、コーヒーを持ってきてもらうよう頼んだ。
「悪夢のコーヒーって何だよ。っていうか俺の使い魔になにやってんのww」
「確か一杯にカフェインが1000g濃縮されて入っているっていうコーヒーですよね?」
「あれ?カフェインの致死量って1012gじゃなかったっけか。」
「コーヒーなのになんで悪夢?」
「それはこのコーヒーを飲むと一週間は興奮状態で、寝たくても寝られないんだが、効果が切れたときに死んだように眠り、その時に必ず起きている間に起こったことが無限ループするという悪夢を見ることからついたそうだ。」
「何だその拷問www」
「淹れてきたよ~。分量はきっちり量ったから~大丈夫だと思うよ。」
「ああ、サンキュ。」
お盆に二つのコーヒーカップを、乗せて戻ってきたフラスからコーヒーを受け取り、フレイとグレンの前に置く。
「さぁ、おあがりよ。」
「待て待て待て待て!何だよこの色!ブラックを通り越して漆黒じゃねえか!!」
「しかも湯気じゃなくてなんかどす黒い瘴気を放ってるしwww本当にコーヒーかよwww」
コーヒーを見た二人が必死の形相で詰め寄ってくる。
「しかもさっきフラスがきっちり分量を量ったって言ってたよな?wwwもし分量が違ったらどうなる?www」
「ああ、このコーヒー、一杯に致死量ギリギリのカフェインが入ってるから分量を計算しないと本当に飲んだ人が死ぬんだよ。
ちなみに分量が少なかったらまだ多少効果が弱くなるだけだからまだいいが、多かったら………。」
「おいww目を逸らすなwww」
「大丈夫だ!フラスは強欲の悪魔だが医者だ!フラスを信じろ!俺も信じるから!」
「安心出来るか!」
「……仕方ない、おまえらに安心出来るいい言葉を教えよう。」
二人が俺の言葉に耳を傾けてくる。そして私は魔法の言葉を発した。
「今はギャグパートだ、ギャグキャラ共。」
「「凄く安心できた。」」
ギャグパートではギャグキャラは基本的に死なないし。
「というわけでグレン、覚悟を決めて逝きまたえ。」
「字が違うよな!?……しょうがない、男は度胸だ!いただきます!」
そう言ってグレンは一気にコーヒーを飲み干す。
「………に」
「に?www」
「にげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!水!水をくれ!」
顔を蒼白にしてグレンは口を押さえながらのた打ちまわる。そりゃ通常はミルクとかで何倍にも薄めるもんだからな。カルピスの原液を一気飲みしたようなもんだ。味は違うが。
「どうぞ、水です。」
【アクアボール】
「ガボボボボ!!」
のた打ちまわるグレンに更に追討ちをかけるセーレ。セーレはグレンの顔を水の球体で覆い窒息させている。
「あれを見ると飲みたく無くなるな(^_^;)」
「つべこべ言わないで、さっさと飲みたまえ。」
「フレイくんの~ちょっといいとこ見てみたい~!ハイ!」
「「「「「一気!一気!一気!一気!」」」」」
コウガ達男子陣の声援?を受けてフレイは一気にコーヒーを呷る。
「~~~~~~~~~!!!!!」
そしてこの世の終わりにでも遭遇したかのような表情になった、ら
「にっげぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!何だよこれ!!本当に人間が飲むものか!?」
「まあまあ、1日味覚が苦味以外感じられなくなるくらいの害しかないから。」
「見事に今がそうだよ!唾液が苦いわ!!」
「ハハ、良薬口に苦しってな。」
「毒薬の間違いだろwww」
「否定はしない。」
俺も一回飲んだけど流石に泣いた。でも味覚は即現返で回復させたけどな。
「でもこのコーヒー本当に効くのか?今は口の中が苦い以外なんともないんだけど。」
グレンがそう聞いてくる。まあ特に変化が出てるわけじゃないしな。
「夜になれば解るさ。ほら、ここからは私が見てやるからさっさと教科書広げろ。」
「飯は?」
そうフレイが言ってきた。
「苦味を更に感じたいなら出してやるが?」
「「結構です…」」
残念、シェリカ作の暗黒物質(目玉焼き)をご馳走してやりたかったんだが。
AM4:00
「え~、シュー草は接種した生物に一時的に興奮作用をもたらすことから気付け薬に使われる。副作用としてはエネルギーの消費を促すので大量の炭水化物をとる必要が出てくることだな。」
「お米食べろよ!ってかwww」
「はいせんせ~!この古代語ってどういう意味ですか~!」
「ん?「福音」?ああ、これは良い知らせって意味だな。」
「ふーん、」
俺は今は二人に授業をしている。
「にしてもあのコーヒー本当に効くんだな。全く眠くならないわ。」
「確かに、まだ口の中は苦いけどな。」
二人は俺が作った小テストをしながらそう感想を漏らす。致死量ギリギリのカフェインが入ってるし効いてくれなきゃ困るんだがな。
「まあ眠くならないとはいえ、ずっと勉強ってのも辛いだろ。」
「ああ、腹減ったよ……。」
「同じくでも今何か食っても苦いだけだよな。」
ふむ、晩飯抜きだった上にもう朝の4時だしな。朝食にはちょっと早いけど、軽食くらいは摂らせるか。
「しょうがない。」
【二人の味覚の異常は嘘】
俺はルーチェの能力を使って二人の味覚の異常を覆す。
「どうだ?味覚は治っただろ?」
「あ、ホントだ。」
「何今のwwマイナス?」
「いや、あれとは違うぞ。簡単に言うと現実の改変だ。
ほら、味覚が戻ったところで食え、朝飯までの軽食だ。」
そう言って俺は二人に10個のお握りを空間から取り出して渡す。
もちろん米は、一部屋を改築した妖世界【アルテシア】と呼ばれる空間の88層で作ったもので今回はコシヒカリを使用した。
「おお!有難いぜ!」
「ちなみに具は?www」
「ん?えっと、普通の塩お握り、鮭、おかか、梅干し、塩昆布、納豆、わさび、ツナマヨ、エビマヨ、いくらだな。」
「何かロシアンルーレット化してないか?www」
「気のせいだろ、ほら、さっさと最初の一個を選べ。」
「完全にロシアンルーレットじゃねえかwww」
ちなみに作者は仲間数人とロシアンルーレットたこ焼き(10個中激辛1個)に挑戦して初っぱなでハズレを引き当てた過去がある。