侵攻作戦と開幕の火蓋
あれから半月がたち、王都はようやく復興の兆しが見え始めた。
だが城内では話し合いが行われていた。ラグナ元陛下がようやく目覚めて、歩けるようにもなった。そしてその会議に参加することとなった。
「奴等は殲滅するしかあるまい!」
「それでは民を殺すという意味だぞ!わかっておるのか!」
「軍備を増強!!それしかなかろう!」
「それでは街の復興はどうするんだ!」
「それを後回しにする……奴等の根城は分かっているんだ!精鋭を結成し直ぐに叩く!」
テーブルをドンと叩く。
「それでは死者がでる!そこは様子見だろ!」
「それでは攻めてきたら終わりだぞ。」
「いっそうのこと逃げるか?」
「そんなことを本当に言っておるのか!」
「ではどうしろと!」
あわただしく扉が開いた。
「ほ、報告致します!」
「何事だ!会議中だぞ!」
「失礼します!密偵として監視していたSSSランクの情報屋が亡くなったと報告が!」
「あの有名な情報屋でもだめなのか!」
「会議中失礼致します陛下……」
「なんだフェルトよ。」
フェルトが会議の場に現れ会釈する。
「中断させて申し訳ございません。単刀直入におっしゃいます。その公国には私に決めさせて貰えませんか?」
「陛下の娘だかといって…そんなこと認められるわけなかろう!」
「状況をわかっておるのか!」
「わかっておるからこそです。これは戦争ではありません。友達を仲間を救う戦いです。」
「これは国同士の戦争なんだ子供は黙っていろ!」
「黙りません。ならば私たちだけで独断で行動いたします。」
熱くなったフェルトが咳払いしてお辞儀しその場を立ち去ろうとしたとき、陛下がとめる。
「勝機はあるのか?」
「いえ……」
「ほらみろ無いんじゃないか。」
「ですが希望はあります。天才魔道具技師【サイエンス】が動いています!」
「サイエンスだと!」
ざわつき始めた。無理もないこの戦いにサイエンスが協力するなど……素性も知らない何処に住んでいるかもわからない人物で連絡の取りようもない。それをフェルト姫がその情報を知っているからだ。
「よかろう。この戦いの指揮はフェルト……お前に任せる」
「陛下!」
「黙れ……フェルトしくじるなよ。」
「分かっております。この心は陛下の道を目指しております。」あれから1ヶ月がたち、王都は復興し始めた。
だが城内では話し合いが行われていた。ラグナのようやく目覚めて歩けるようにもなった。そしてその会議に参加することとなった。
「奴等は殲滅するしかあるまい」
「それでは民を殺と意味だぞわかっておるのか!」
「軍備を増強それしかなかろう!」
「それでは街の復興はどうするんだ!」
「それを後回しにする……奴等の根城は分かっているんだ!精鋭を結成し直ぐに叩く!」
テーブルをドンと叩く。
「それでは死者がでる!そこは様子見だろ」
「それでは攻めてきたら終わりだぞ」
「いっそうのこと逃げるか」
「そんなことを本当に言っておるのか!」
「ではどうしろと!」
あわただしく扉が開いた。
「ほ、報告致します!」
「何事だ!会議中だぞ」
「失礼します!密偵として監視していたSSSランクの冒険者が亡くなりました!」
「最高峰の冒険者でもだめなのか!」
「会議中失礼致します陛下……」
「なんだフェルトよ」
フェルトが会議の場に現れた。
「中断させて申し訳ございません。単刀直入におっしゃいます。ヒューレット公国には私に決めさせて貰えませんか?」
「陛下の娘だかといってそんなこと認められるわけなかろう!」
「状況をわかっておるのか!」
「わかっておるからこそです。これは戦争ではありません。友達を仲間を救う戦いです。」
「これは国同士の戦争なんだ子供は黙っていろ!」
「黙りません。ならば私たちだけで独断で行動いたします。」
熱くなったフェルトが咳払いしてお辞儀しその場を立ち去ろうとしたとき陛下がとめる。
「勝機はあるのか?」
「いえ……」
「ほらみろ無いんじゃないか」
「ですが希望はあります。天才魔道具技師『サイエンス』が動いています」
「サイエンスだと」
ざわつき始めた。無理もないこの戦いにサイエンスが協力するなど……素性も知らない何処に住んでいるかもわからない人物で連絡の取りようもない。それをフェルト姫がその情報を知っているからだ。
「よかろう。この戦いの指揮はフェルト……お前に任せる」
「陛下!」
「黙れ……フェルトしくじるなよ」
「分かっております。この心は陛下の道を目指しております。」
皆を黙らせこの場を退出した。
フェルト姫は修練施設を訪れる。扉を開け中に入るとリカとイツキがいた。フェルトに気づいた二人は作業をとめ、こちらに歩み寄ってきた。
「首尾は?」
「問題ありません。指揮権は私になりました。」
「そうかよくやったが問題はお前だよイツキ!いつまで腑抜けてんだよ!」
「いや……腑抜けてはない。ただ自分の不甲斐なさがな…。」
「前を見ろ助けるんだろ!皆を!主を」
「わかっている。やることはやるさ。」
「ところでリカ……例のあれは出来てますか?」
「あのとき言われたときびびったよまさかあれを創れって言われればな」
「なんだ?あれって?」
「後のお楽しみだ。」
リカはフェルト姫に勾玉で加工されたオプションワークス『アカツキ』を渡した。
「それとフェルト姫……魔武器を貸してもらえないか?」
「はぁ何するんですか?」
「強化するんだよ。」
「そんなことできるんですか」
通常魔武器は強化することができない。リカの能力なら強化することが出来る。それに追加能力を付与することもできる。
「それとフレイはどうなった?」
あのあと目覚めたフレイは姉が鬼人になったことに驚いた。次は敵になると倒せるだろうかと考えてしまった。今でも悩み続けている。
「それは彼次第でしょう……私たちも強くならないといけない。」
「フェルト姫……皆を呼んでくれ。」
「わかりました」
数分後、フレイを始めとする主要メンバーを集めた。そこにはラルドの姿もあった。
「これより修行を始める。ダンジョンに特訓階層を創る。そこでツーマンセルにて行ってもらう。」
リカは千変万化の能力で階層を造り、さらに増殖で棺桶を出現させる。蓋が開くとそこにはひび割れた人々がいた。これは千変万化の新能力『次元転生』である。別次元の人間を代償なしに呼び寄せる。
「これよりこいつらを使ってやってもらう。さあ始めろ」
皆の足下に術式を展開し、別々に階層転移していった。残ったリカとイツキは強くなるために、祖父から預かった妖狐を呼び出して、修行を開始した。イツキは死の特訓で妖力が上がり、体力も動きも変わった。そしてもう失態は繰り返さぬと誓った。
リカは別次元から呼んだ強敵を相手に組手を行い、その合間にオプションワークスを製作していた。そして製作能力を上げていった。
特訓開始から半年(現実では1日)みんながダンジョンから出てきた。顔つきや魔力量が変化していた。すべては皆を救いたいという気持ちから現れたのだろう。
「みんないいんだな……」
「当たり前だ!姉さんを皆を救うなら何だってやってやる。家族であり仲間だからな!」
「そうか……これからは敵のアジトであるところに向かう。だがここにも現れるだろうから人選した。予定通りに配置につけ。」
移動なんだがこれで行くぞ」
リカが指を鳴らすと戦艦が出現した。
戦艦型選択武装【イゾルデ】
その他武装を兼ね備えた完全移動要塞である。
燃料は大気のマナを原動力にしている。
「さぁ助けに行くぞ!」
「ちょっと待ってくれないか?」
リカを呼び止めそこにいたのは
ギルド【夜桜】《エンデューロ支部》
ベルト・ホーク支部長だった。
「突入任務俺たちエンデューロ支部も連れてってくれ……あの襲撃を防げなかった俺たちの責任もある。」
「いいだろ……。」
リカが次の言葉を言おうとしたとき、王都周辺の防衛線を越える一団が接近していることに気づいた。その一団は鬼人と目覚めた人々だった。予定より速い接近だった。イツキらは城壁に転移する。空を覆うほどの人数であった。視力を強化してみると、そこにはイロハらの主要メンバーがいないことに気づく。
「来るぞ……!」
「貴方たちは行って下さい。ここは私たちでやります。」
イツキは少し悩んだが、この好奇を逃したら駄目と思いフェルトに任せた。転移し、イゾルデに搭乗する。リカがブリッチにつくと、専用のオプションワークスを取り付けるとシステムが起動した。AIがすべてのシステムに任せる。そして修練施設の天井が開く。
『イゾルデ発進します。ステルス及び魔力錯乱発動します。』
敵に見つからないよう魔力感知を防ぐ魔力錯乱とステルス機能を発動させ、魔力の粒子を噴射し上昇する。外をでると城壁の外では騎士団と魔法師団が戦闘を始めていた。フェルト姫は城壁でリカが渡したオプションワークスを発動させる。
地響きが起きて街は地下に降下していく。降下が終わると空いた穴は防がれる。そして城壁に砲台が出現する。砲台は鬼人に向けて照準を定め砲撃を始めた。
フェルト姫は防衛組の皆を各地に分散させ戦闘を始めた。
「姫さんよ俺はどうすんだ?」
「貴方にはあれをやってもらいますよ。そのあとは好きにやってください。」
フェルトが指差した先には、大型魔獣が城壁に向かって3体が特攻しているのが見えた。
「了解~」
リカより新たに渡された装備型選択武装【弁慶】を装着する。このオプションワークスは既定値の攻撃を受けると砕け散り使えなくなる。
弁慶は無数のオプションワークスを装備するラルド専用に造られた。ラルドは武器を刀型オプションワークスを召喚し、特攻する大型魔獣に向かって飛ぶ。 そして
《雷光》
一閃すると大型魔獣は一刀両断され墜落する。その他の魔獣も両断し、鬼人に向かう。
さらにリカはオプションワークスに能力を追加していた。それは鬼の転生魔法を封じる【鬼封陣】がシステムが入っている。オプションワークスを使うものはすべて鬼封陣が入っている。お構い無く全力で戦える。
ラルドの周りを鬼人で覆う。ラルドはオプションワークスを使いこなし鬼たちを倒していく。骨のない奴等に飽き飽きしていたとき、ピンク色の攻撃が襲ってきた。その攻撃を斬り刻んでいく。そこには副会長のヒナ・ティタールが現れた。学園最強の彼が厄介の相手として見ていた彼女が現れたことにより、冷や汗がつたる。
「人間にしてはやる。特別に名を聞いてやろう。」
「ラルドだ。」
「そうか。私はヒナタという。貴様のようなやつは私が葬ってやろう。」
《桜魔法》……【残桜瞬鋼】
彼女の得意とする桜魔法の残桜が発動する。花びらが彼女の周りを旋回している。彼女の手の合図で動き出す。
ラルドはオプションワークス【黒刃】を抜き花びらを斬っていく。しかし数が多く捌ききれずラルドに当たる。傷が無いものの弁慶の既定値が減っていく。
「ほぅ…。その装甲がなければ死んでいたようだね。それがいつまで続くだろうか。」
「にゃろー…。」
ラルドは桜の弾幕に苦戦を強いられていた。そして弁慶の耐久値が低下して砕け散った。ラルドの戦闘感はすばらいものであった。ラルドは桜の1枚1枚を斬りながらヒナタに迫り一撃を与えた。が桜の弾幕が迫りくらってしまい大量に血を失いすぎてしまった。
コウガは治りきっていない体を抑えながら、この戦闘に参加していた。まだ痛みは感じるがこの国を守らないといけないと立ち上がった。装備型オプションワークス『クアンタ』を発動する。剣を無数に待機させそれを操る。
クアンタには他に英霊の力を借りる【英傑】というシステムを埋め込んでいる。
コウガは飛び出して鬼人を一掃する。時々痛みが襲うが構わず戦う。ある鬼人にまだ塞がっていない傷跡に攻撃をされてしまい血が噴き出してふらついてしまう。それを見た鬼人たちは一斉に攻撃を仕掛ける。血を吐きながらも気合いで倒していった。
フェルト姫は城壁にて指揮を出していた。鬼人の攻撃も要塞型オプションワークス【アカツキ】の反射能力により跳ね返る。そして上空から勢いよく降下してきた鬼人がいた。それはフェルトの姉であるエルザだった。
「姉さん……」
「姉さん?ふふついている姉妹でやりあうとは。」
「いまとなっては鬼人と成ってしまいましたね。私が倒します。」
フェルトは鞭を構える。エルザの前世の鬼人が魔武器であった双剣を構える。そして二人は駆け出す。遠距離を得意とするフェルトは鞭に魔力を流す。
《鞭魔法》…【飛翔光速鞭】
鞭の長さが増して城壁を抉りながらエルメスに攻撃をする。フェルトは冒険者のアデルから鞭の使い方を再度教えてもらった。
エルメスは上下左右から襲う鞭の軌道を読みフェルトに接近する。双剣をフェルトの首を狙う。しかし攻撃は行われなかった。鞭がエルメスの両腕を縛り上げ動きを止めていた。そして右手に貯めた魔力弾をエルメスの腹叩きつける。エルメスは耐えきれず吹き飛ばされる。エルメスは気力で態勢を整えた。
【飛翔無欠鞭】
「やってくれたわね小娘が!!」
[人は全て私に頭を垂れよ]
《鬼王魔法》…【言葉の重み】
その言葉によりフェルトはひれ伏した。これが王族に伝わる魔法である。あまり使う者はいないが捕虜にした他国の間者くらいしか使っていなかった。フェルトは動こうと試みるが体がまるで石のように重く動かすことは出来なかった。
エルメスがフェルトに近付いて蹴りあげる。フェルトは腹を押さえながら咳をする。
「こんなことをして何にもならないはずです。」
「それは人間の思い込みでもある。我らにはあるのだよ。お前ら人間を憎む理由がなあ!」
フェルトは何度蹴られ痣ができ、血が流れる。
「その理由はわかりませんが…民を国を襲うのなら私たちが止めます。オプションワークス起動!」
フェルトがオプションワークスを起動する。エルメスは一旦その場を離れ様子を見ていた。
[王は民の声を聞き…その言葉は信念となりて…引かず、倒れず、迷わず…その三つの言葉]
《言葉魔法》…【言縛】
《《動くな》》
《《頭を垂れよ》》
その言葉にエルメスは金縛りにあった。膝をつく。動かそうにも動けなかった。これも王魔法の一種であり憑依型オプションワークス『王位』の能力である。漢字の文字を書くことで発揮される。
フェルトは『伏』の文字を書き、エルメスはひれ伏した。フェルトはエルメスに近付き、『眠』の文字を書き寝かせる。そして『封鬼』の文字を書くと力が封印され、この戦闘は終わった。フェルトはワークスを解除し膝をついた。この能力はあまりにも魔力を消費するため使えなかった。オプションワークスとの併用により15分しかまだ扱えなかった。
もう少し鍛練する必要がある。ポーションを飲み体力を回復させたのちまた戦場に戻っていった。