わかり合うため
アンデットらが動き出した。フードを被った魔導師が次々に呪文を唱えている。マリアはコウガとリカ作の通信機で打ち合わせをし、行動にでた。
マリアは魔導師に向けて発砲する。が大きく外れていく。
【変動散弾】
大きく外れた銃弾が分裂し、アンデットを蜂の巣にし、その背後にいる魔導師に向けて放たれる。魔導師は
《屍魔法》
【腐血武装】
アンデットの肉片と血が魔導師の体に付着し、銃弾を防御する。
「まぁ…簡単には行くわけねぇよなぁ?」
《クーフーリン憑依》
【刺し穿つ血の荊槍】
クーフーリンに憑依したコウガはアンデットを串刺しにしていった。フード野郎は後退りをしたのを確認するとマリアが銃弾を切り替えて放った。魔導師が避けるがフードを掠め顔が露になると女性だった。
「女だったのか。」
「どうするよ?」
「ここだと話し合いって言いたいところだが学園内を無茶苦茶にされては殺すしか無いだろうね。」
「だってさ俺が楽に殺してやるよ。」
女に向けて銃口を向けたとき
「やめろー!!」
聖国の勇者がマリアに斬りかかってきた。あまりの突然のことに唖然となり、対応が遅れたマリアの間に入り、それをコウガが防ぐ。
「お前は何をしている!」
「女性を傷つけるやつが何を言っている!」
カイトがわけわからないことを言い始めた。この状況でよく言えたものだと思った。
「マリア!彼女を倒せ……この分からず屋は俺が殺る」
勇者の言葉を無視しながらカグツチで弾く。奴に目線を送りながらマリアに背中を合わせてそう言った。
「わかった……気を付けろよ?」
「お前もな。」
互いの拳を軽く当てるお、同時に敵に向かって突撃する。
コウガはカグツチにてカイトに斬りかかる。カイトは純白の刀武器である白鷺で防いだが、そこにはカグツチは無かった。振りかざした瞬間に左手から右手に持ち替えカイトのタイミングをずらした。
《真・天音剣術伍ノ型》
【二天風月】
の技を放つ。カイトは耐えきれず吹き飛んだ。
そして壁に叩きつけられ倒れる。がすぐに立ち上がった。さすがの生命力である。
「げほ。君も勇者なら……わかるでしょ……敵でも話し合い……すれば……」
「そうだな……」
「なら!」
「そんな詰まらないことで見逃せば、この国全体に被害がでる……そうしないために勇者がいるんだろ。昔の俺ならお前の言葉に耳を貸しただろうが、今は非常時なんでな。」
「わかり……あえるなら!」
勇者カイトは錯乱したように刀を振り回した。いくら素人とはいえそんな刀を振り回しては間合いには入りずらい……足に術式を展開し、カイトの腹部に峰を当て気絶させた。だがこいつのゴキブリ並の生命力に呆れた。
「ぼ、僕は勇者……勇者……きて皆!」
属性神の子どもたちを呼んだ。子どもたちはシンを睨み付けながらカイトを治癒していた。
「属性神の子供も甘やかされたものだな……」
コウガも属性神を呼ぶと子どもたちは青ざめた顔で震えていた。何故なら属性神の親たちだった。いつにも増して怖い顔で子どもたちを見ていた。そして「未熟者が何をしている」と子どもたちをぼこぼこにして帰っていった。
「何故なんだ女の子なんだよなんでそんなことが出来るんだ!」
「それは親だから間違っていることは正す常識だろ」
「ふざけるな!そんなの常識じゃない暴力だ。」
コウガはもういいやとカイトの声も聞きたくないと思い、一気に型をつけることを決めた。だがカイトの近くにいたアンデットがカイトの足を掴みカイトは飲み込まれてしまった。
《強制憑依魔法》
ー発動ー
【操る屍人業】
「マジかよ。」
【グオオオおおお!倒す!】
そこから出てきたのは正気を失ったカイトがいた。状態異常を調べるとアンデットに寄生されていただけだった。
そしてカイトが動く。先程とは素早さと剣捌きも違っていた。コウガは驚きはしたが、すぐに対処してみせた。そして新たに作り出した。
《真・天音剣術拾之型》
【尭風舜雨】
の技を繰り出して、聖国勇者を気絶させた。
一方勇者カイトをコウガに任せてマリアは屍の軍勢と女に目を向けていた。
「そのガラクタで何ができる!」
「お前を撃ち殺せるだけの力は持ってるよ。」
アンデットらが襲いかかる。ターゲットマーカがジャッチエンドに浮かび上がる。ターゲットをロックオンし一斉射撃し撃ち殺した。
《能力解放》
【神罰発動】
右手に持っている妖魔銃《骸福》から光を帯びて左手に同じ形をした銃が現れる。そして360度全方位に照準を定め撃ち乱れる。出鱈目な射撃に屍らが全滅した。
「どうしたもう終わりか?」
「まだだ巨大屍人業!?」
女がジャイアントアンデットを呼び出そうと魔方陣を展開したところマリアによって魔方陣を破壊された。弾に術式破壊を込め次々に破壊していった。
女は力尽きるように座り込んだ。マリアはゆっくりとジャッチエンドを構えながら女に向かう。
「まだだ!」
女が懐から注射器を取りだし自身の首に突き刺した。異変を感じたマリアは女から一旦離れる。
「がぁぁぁぁぁ!!すべてはニルス様のために!」
と叫びながら姿形が変わっていった。女の周りが朽ち始めた。
「おいおいマジかよ!これは!」
《肉体変形魔法》
【災いを齎す王の血】
女が使ったものは災厄級魔物
屍王の血だった。そして自身の屍魔法を併用し強化した。
《腐王魔法》
【腐食息】
危険と感じたマリアは光聖域弾を発砲し、光の空間が出来上がる。そしてマリア以外の区域が腐り始めた。動くことも出来ないまま光聖域を包み込んでしまった。
この状況に気づいたコウガは助けに行こうとしたが寄生されたカイトが邪魔をして援護出来ないでいた。
「そういや黒木場に渡されたこれを使えばワークス起動!」
光聖域が砕け淀んだ空気が覆う。女は嬉しそうな表情をしていた。その空気が消え始めると装備が変わったマリアが現れた。
《双王銃天》
「そんなものに!」
【天道電磁砲】
浮遊していた幾つものライフルがアンデットに向けてレールガンが放たれた。腕が吹き飛び臓物が吹き飛んでいた。
《腐食魔法》
【腐食武針】
腐属性の針がマリアを無数に襲うが背中に装備されている盾が動き出した。それを防御してもらう。
マリアは加速術式を瞬時に展開し間合いをとり、腰に装備してある小型の銃を女の腹に突き刺して、連続撃ち込んだ。
「ばかなぁー!」
女の魔物は血を吹き出しながら倒れた。そして人間の姿に戻ると、マリアは近づいて、そっと首に手を当て、脈を確認し死亡していた。
コウガのほうを見るとカイトを倒していてこちらに向かっていた。そして学園内に爆発音が聞こえ皆の元へむかった。