気持ち
「上等」
イツキは失われた左腕を妖力で型どった腕を作り、リカ目掛けて突っ込んだ。いつものイツキならその行為は決してしない。頭に血が上っていたので我を忘れていた。
「詰まらん。」
妖力の拳が向かってくる。それを冷静に観察し千変万化を手袋にして拳を掴み能力を相殺しながら後ろに投げ捨てる。イツキは体勢を立て直しリカに攻撃を仕掛けるが簡単には投げ捨てられる。
「どうしたそんなもんか?」
「ふざけるなぁ!」
立ち上がって怒りがさらにヒートアップし、動きが単調であった。単調であるからゆえ簡単には対処できる。あえて殴られてやる。ドゴーンと音を立てるがリカはその場で耐えて見せた。
【砂圧縮】
砂を利用してイツキの動きを止める。動けなくなったイツキは出ようと必死に足掻いていた。
「いつものお前ならこの程度の攻撃を予知できたんじゃねぇか?」
「うるせぇ…!」
「またそれか……いつまでべそかいてんだよ負けたからってへこたれて他人に当たる子供か!
ばぁーか!
お前らしくもない
俺はなそれにムカついてんだ
1度の敗北を知ったからなんだ
それなら強くなって勝てばいいだろ!」
「うるさい!そんなこと分かっている!だが奴には勝てない。武器も失った左腕も失ったそんな俺に何ができんだよ!なにが守護者だ。何が神だ。俺はそんなものになりたくなかった。あんな思いはもうしたくねぇんだよ!死んで神と修行したからなんだ特訓したからなんだ!あの500年の厳しい修行が無駄に思えるくらいに!」
「だからどうした。」
「もううんざりなんだよ使い魔もこの世界も。」
リカは砂圧を解いて本気でイツキとリカは殴りあいをしていた。でもこの殴りあいは一方的にイツキを殴り続けると言うものだ。
「吐き出せ本当のお前を。」
血まみれのイツキをこれでもかというくらいに殴り続ける。そしめ渾身の一撃が鳩尾に直撃し倒れる。
「なんの為の主だ!なんの為の仲間だ!
もっと信用しろよ!もっと頼れよ!
へこたれたお前を俺やイロハたちは見てられねぇよ
なぁイロハ!」
イツキはリカの後ろでただじっと見守っていたイロハに気づいた。イロハは倒れているイツキに近寄ってきた。
「我慢してたんだね……ずっと……気づけなくて……ごめんね……私バカだから言われないとわかんないよ。私はそれに甘えて……」
「イロハ……の……せいでは……ぐぶぅ」
「私……強くなるよ……貴方の隣で歩けるように背中を任せられるように…頑張る。だから一緒に戦おう?」
その言葉を聞いたイツキは泣き始めた。溜まりにたまった鬱憤が爆発したのだ。イツキはイロハに抱きついて大声で泣いた。イロハはそっとあやすようにイツキを慰めてやった。今は使い魔と主の関係ではない1人の男として人間として泣き止むまで付き合ってあげた。
「まぁそのなんだ……ありがとな
こんな状況で言えたことじゃねぇがありがとな。」
「ふふ……いいよ。」
「な、なんだよ。」
「素直じゃないねまあ御馳走さんいい絵が録れたよ。めでたしめでたしそうだよなぁ皆!」
気配を消していたマリアたちが姿を見せてニヤニヤしていた。トマトのように真っ赤になった二人にさらにニヤニヤしながら見ていた。
そしてすべてを1からやり直そうと決意したイツキは神に許可を貰いに門を開いた。そして神の間に着いたイツキは交渉し地球に一旦戻ることを許された。イロハとリカ次いでにマリアとコウガも連れていけないか聞いたところ魔力を封印するならいいと言われ久しぶりの故郷に戻ることになった。
あと神に聞いたところハザマという男は邪神に従える邪人と呼ばれた犯罪神である。『未来』という能力を用いて暗躍している食えないやつと聞いた。