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見ている者
一方……時は遡り
「あらら殺られてもたな。」
「だから言ったじゃんあの程度の魔物じゃあ勝てっこないって……」
イツキたちが倒した深海の悪魔であるクルベリンの残骸を見ながらハザマとシェイラはそう言った。特記戦力である勇者とイツキの実力を測りにわざわざ深海のまで潜り、クルベリンを叩き起こしたのち糸魔法で操り襲わせたのだ。
「せやかてあんさんも知りたくはなかったですか?」
「そういってもさぁ」
足を運んでここまで来たのにあっさりとやられてしまったため記録できなかったシェイラは悪態をついていた。
「あんさんがそういうと思うてな記録は撮らせてもらいました。」
ハザマは手に水晶を取りだしシェイラに見せた。シェイラは来た意味がわからない顔をしていた。
「もういい!帰る」
シェイラはそそくさと魔界に帰っていった。残されたハザマはニヤリと笑い次はどう遊んでやろうかと考えていた。水晶の映像からもう1人面白そうな駒を見つけ、不気味に微笑みその場から立ち去った。
「物語は始まったばっかりやで?イツキくん。」