泳げない
ザザ・・・ン・・・ザザ・・・ン・・・
キャッキャッ・・・
王族の別荘の部屋に荷物を置き、水着に着替えた後、海でユナ達が楽しそうに遊んでいる。
プライベートビーチだから誰1人もいない。女子たちは海に入って遊んでいる。イツキはパラソルの下にいて小説を読んでいる。アルさんがやってきて紅茶を淹れる。読むのを中止し紅茶にのはいったカップに手を取る。そして匂いで上等な茶葉を使用していることに気づいた。
ズズ・・・
「うん。これはなかなか美味しい紅茶ですね。アルさん。」
「お口に合ってなによりです。イツキ様。」
そんななか、俺は一人、水着に着替えず、ビーチパラソルの下、アルさんが淹れてくれた紅茶を嗜む。イツキもイロハの部屋の空き部屋を改造して牛やら豚などを飼育し、米まで造っているが、茶葉までは作っていないことに気付き今度から造ろうと考えていた。
「あれ?イツキさんは入らないんですか?」
「イツキ~~~結構気持ち良いよぉ~~~。」
「……」
「お兄~ちゃ~ん♪」
海に入って遊んでいるイリヤ、リリィ、ユナが笑顔でそう言ってくるが、イロハだけは無言で俺を見ていた
「君達は俺に死ねと?」
「え?イツキ。まだ治ってないのかよ。」
「俺、カナヅチなんだよ。」
『はあぁぁあああぁああぁぁぁああぁああぁぁっ!!?』
マリアからの言葉を遮りながらそう言う僕の言葉に対し、海で遊んでいたイロハ達はそう驚きの声を上げる。
俺はあっちでは泳ごうとしたことがある。だがあの能力者たちと同じような現象が起きてしまう。さらにプールでも泳げない。幼児タイプのプールでも……悲しいよね
風呂は大丈夫なんだが……なぜだろう。
俺は今でもカナヅチなんです。
まぁ、『拒絶の結界』を使えば、カナヅチを無くすことはできますが、それだと身体中が拒絶していることになるので海がこの世から無くなる。
あっちでは海の中の妖と戦うことがあるのだが、我慢して戦っている。ちょっと油断して怪我ばっかり負ってしまう。それを見兼ねたじいちゃんからは説教され、修行だと言われ東京湾に沈められかけたことか。ヤクザがやりそうだよ。
「え?イツキって…カナヅチだったの?」
「意外な弱点・・・」
(ちょっとイツキ!!カナヅチっておまぁ、それマジか!?)
俺がカナヅチだということにイロハとシェリカがそう言うなか、リカが“念話”でそう聞いてくる。
(マジマジ。泳いだらさすがの俺でも死ぬことはないけど、深海で身動きが出来ないまま人生を過ごすことになるよ。)
「お兄ちゃんは入らないの?」
リカが俺とそう“念話”をするなか、ユナが少し寂しそうにしながらそう言ってくる。
「ごめんな。ユナ。お兄ちゃんは一緒に泳いではやれないけど、ここでちゃんと見ているから・・・楽しんでおいて・・・」
「・・・うん……。」
俺がそう言うと、ユナはそう言って、海でイロハ達と遊び始める。
・・・なんか凄い罪悪感です・・・
しばらくして釣竿を投影して釣りに行く。大物を釣りながら笑っているとみんな引いていた。
解せぬ。
それとユナが暗い顔をしていたため、自重しなくては。申し訳なさそうに謝る。それを察したリカがある提案をした。